これができないと「孤独な老後」が待ち受ける…和田秀樹が「65歳になったら徹底せよ」と説く"人付き合いの姿勢"
世間体や見栄、プライドを捨て「人の力を借りる生き方」を
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年齢を重ねても、元気に楽しく生きる人は何をしているか。医師の和田秀樹さんは「定年退職によって、『対象喪失』と『自己愛喪失』が一挙に押し寄せてくる一方で、『恋活』をしている人はそれまでの束縛から解放され、自由を手に入れる最高の機会となる。『歳をとったら、自分がやりたいことをやる』を徹底するといい」という――。 ※本稿は、和田秀樹『60歳からこそ人生の本番 永遠の若さを手に入れる恋活入門』(二見書房)の一部を再編集したものです。
人に頼ったり甘えられたりする人は「強い人」
じつは今、リタイアの前後に恋愛活動=恋活れんかつを始めている人が増えています。恋活とは、ワクワクドキドキする異性・同性と出会うための活動です。人生の後半、第二の人生こそ「恋活が大切」という前向きな活動に、私も賛成です。
「人は、他者と良い人間関係を築くことで回復していく」
そう説いたのが、精神科医のハインツ・コフート(1913~1981)でした。
コフートは、他人に頼ることや甘えることで、人は、より生きやすくなると述べました。人は、それほど強くもなければ立派でもなく、一人ひとりの能力には限界がある。だからこそ、お互いに依存したり共感し合ったりすることで成長していけるのだ、という主張です。
私自身、一人の精神科医として、コフートの考え方に非常に共鳴します。人に頼ること、甘えることができなければ、精神的にも追い込まれます。
一人で悩んでいると、「これしかない」といった心理的視野狭窄きょうさくを起こして、最悪の判断や行動をとってしまう人も出てくるからです。
心理的視野狭窄になると、イエスかノーかの二元論的な思考になり、「会社を辞めるしかない」「この人とは別れるしかない」「自分はもうダメだ」「自分のことをだれもわかってくれない」「自分のことを好きになってくれる人などだれもいない」「だから死ぬしかない」といった考え方から抜け出せなくなり、周りの人の意見を聞き入れることができなくなります。
一般的に、人に頼る人や甘える人は「弱い人」だと考えられがちですが、困ったことがあったときやつらいときに、自分の悩みを話せたり素直にSOSを出せたりする人は、逆に「生き延びていける強い人」なのです。