「これからも上がり続ける」根拠などない…「史上最高値」の今こそ「オルカン、S&P500一択投資」を見直すべき理由
「広く分散」しているつもりが簡単に崩れるポートフォリオになっている
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S&P500などの米国株インデックスファンドが史上最高値を更新し続けている。個人投資家でYouTuberの宮脇さきさんは「オルカン、S&P500一択の投資は危険だ。『長期では必ず上がる』という楽観論は、トランプ大統領の関税ショックで崩れ去った」という――。 ※本稿は、宮脇さき『世界の新富裕層はなぜ「オルカン・S&P500」を買わないのか 20代で純資産4億円をつくった超レバレッジ投資の極意』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「とりあえずS&P500かオルカン一択」の落とし穴
世界規模での大きな構造変化の可能性を前にして、なおも「とりあえず、オルカンかS&P500に長期積立投資しておけば大丈夫」と考えることは、これからの時代においては、リスクの高い、あるいは少なくとも思考停止に近い戦略と言わざるを得ません。
なぜ、史上最高値更新が続く米国株に警鐘を鳴らすのか? 本書執筆時点(2025年7月)で、S&P500は6200ポイントを超える史上最高値圏で推移しており、市場は絶好調のように見えます。
しかし、歴史の大きなサイクルで見れば、この力強い株価上昇こそが実はシステム全体の脆弱性を示す兆候なのです。つまり「これまでの数十年間、世界の勝者であり続けたアメリカ経済が、これからも勝者であり続ける」という、歴史の大きな転換期にもっとも疑ってかかるべき前提に依存しているからです。
過去数十年の米国株の好調は、アメリカが世界の覇権を握り、ドル体制が安定していた「上昇サイクル」の結果です。世界は今、アメリカ一強から多極化へと移り変わりつつあります。「今まで通りでいいのか?」という視点を持つことが、これからの資産防衛には欠かせません。
過去のデータは、将来の成果を何ら保証するものではないのです。
「広く分散」のつもりが崩れやすいポートフォリオになっている
現在のS&P500やオルカンへの集中投資、あるいは「とりあえずコア資産は全部アメリカ関連」という投資戦略は、サイクル転換期のリスクがいくつも潜んでいます。
特に見落としやすいのが、S&P500もオルカン(その構成比率の約6割は米国株式)も、実質的にはアメリカの巨大テック企業群(いわゆるGAFAMやそれに類する企業)への投資の比重が非常に高いということです。
つまり、「広く分散」しているつもりが、時代の変化で大きく崩れる可能性をはらんだポートフォリオになってしまっているわけです。結果として、衰退サイクルに入りつつある国の限られた一部の産業に資産を過度に集中させることになってしまいます。