お風呂に入っただけで1日寝込んだ…「謎の体調不良」に苦しむ患者たちに医師が付けた"診断名"

お風呂に入っただけで1日寝込んだ…「謎の体調不良」に苦しむ患者たちに医師が付けた"診断名"

見た目や採血結果、頭部MRIでは異常が見られない

新型コロナに感染した後、微熱や倦怠感が続くケースが報告されている。ヒラハタクリニック院長の平畑光一さんは「症状は多岐にわたり、コロナ後遺症が原因で働けなくなる人もいる。医療従事者の理解が追いついておらず、適切な診断・治療を受けられないことも課題になっている」という――。 ※本稿は、平畑光一『コロナ後遺症 〜治らない“慢性不調”の正体〜』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

散歩が原因で3日間、ほぼ寝たきりに

コロナ後遺症では、「入浴すると1日寝込む」「1時間散歩した翌日から3日間、ほぼ寝たきりになった」「ドライヤーを持っていられない」「かぼちゃを切ろうと力を入れたらだるくなって1日寝込んだ」「身体のあちこちが痛むのに、検査で異常が出ない」「CTで異常がないのに、家の階段を上るだけで息が切れる」「3メートル小走りをしただけで1週間足が痛む」といった症状がよく見られます。

日常生活を送るだけでも大変な苦痛を覚える症状群ですが、一方で、医師から見ると普段見ている疾患とはあまりにも違う症状であるため、精神疾患を疑いたくなったり、「少なくとも自分の科の疾患ではない」と考えてしまったりしがちです。

これらの症状は「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」と酷似した症状なのですが、実際のところ、ME/CFSを専門とする医師は、日本全国でも数えるほどしかいません。

生きていくのもやっとの状態で、這うようにして外来を受診しているのに、医師から「自分の科の疾患ではない、他をあたってくれ」と言われ続けることのつらさは、想像を絶するものがあります。

1年で「完治」した人はわずか15%

症状のしつこさも大きな問題です。nature communications誌に掲載されたフランスの論文(※1)でも、罹患後1年で寛解かんかい(いったんすべての症状がなくなった状態)になった人がわずか15%となっていますが、実際、多くの患者さんが、なかなか「完治」とはならないという現実があります。4年以上強い症状に悩まされている方も少なくありません。

患者さんには「あとどれくらいで治ることが多いのですか」とよく聞かれますが、なんとか絶望させないように言葉を選びながら、「数カ月で改善することが多いです」などといった説明をするのが精いっぱいというところです。

特に症状が重い患者さんの場合は、治療の当面の目標は「生活が楽にできるように、できれば仕事ができるところまで、症状を『改善』させる」ということになります。もちろん、完全に寝たきりの方であっても、仕事ができるところまで改善することは十分にあるため、希望を失う必要はありません。

本稿では、コロナ後遺症でよく見られる、典型的な症状について解説をします。

※1 Tran, V.-T., Porcher, R., Pane, I. & Ravaud, P. Course of post COVID-19 disease symptoms over time in the ComPaRe long COVID prospective e-cohort. Nat. Commun. 13, 1812 (2022).

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2025.09.01

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