「いい親」をやめればうまくいく…心を閉ざした「学校に行かなくなった子」に効いた"親子の絶妙な距離感"
手出し、口出しだけが愛情ではない
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学校に行くのを渋る子供に、親はどのように接すればいいのか。自身の子供も不登校になり、『誰にも頼れない 不登校の子の親のための本』(あさ出版)を書いた野々はなこさんは「家にずっといるわが子に苛立ちを覚えても、絶対に怒鳴ってはいけない。それは回復を遠ざけてしまうだけだ。心を開いてもらうには、会話の進め方にコツがある」という――。(第1回)
“学校にいかない子供”を見てイライラしてしまう
私は子どもが自分の本心に気付き、登校を諦めた時期を「諦め期(1カ月~2カ月)」と説明しています。ただ、学校には行きたくないという気持ちは認識できているものの、何が不登校の原因なのか自分でもさっぱりわかっていません。心が落ち着き何年もしてから「そういえば○○だったのかも」と気が付いたというケースが多いようです。
例えば、「教室がうるさくて嫌だった」「友人にからかわれた」「先生の一言に傷ついた」「勉強の競争に疲れた」などといったことがありました。どれかひとつのことが原因で不登校が始まったわけではなく、さまざまな問題が絡み合って起こります。
諦め期では、親が負の感情に陥りがちです。登校が出来なくなってきた頃は体調の悪さに気を取られていたのが、家で過ごす時間が長くなるとともにだんだんと苛立ちへと変わっていくのです。
「どんどん勉強が遅れるのに、なぜ勉強しないんだ」
「見守られているからといって怠けているだけなのではないか」
「こっちは仕事と家事で大忙しなのに、のんびりゲームをしてどういうつもり?」
勉強せず、家の手伝いもしない。食事は食器をそのままにして片付けもしないという子どもも少なくないでしょう。ゲームに熱中している姿を見ると、親は怒りが湧いてきて怒鳴りたくなる衝動に駆られます。
「叱る」「怒鳴る」は絶対に避けてほしい
しかし、ここで叱ったり怒鳴ったりすれば、子どもはリビングから出ていき自分の部屋に籠もるようになります。お籠もり期には2つのパターン(前向きな心のリセット・傷心からのリセット)がありますが、子どもの気持ちを逆なでするような接し方をしていると、長期的な時間が必要となる傷心からのリセットへ進んでしまう可能性が高まります。
ではどのような接し方が子どもによい影響を与えるのでしょうか。基本は見守りを続けていきますが、もし子どもが話しかけてきたら、次のような方法でコミュニケーションを取るとよいでしょう。
私たちは子どもを支えたいと思っていますが、子どもがなかなか本心を話してくれないというのはよくある悩みのひとつです。どうしたいのか、何を感じているのかを親は話してほしいのですが、子どもは肝心なことは何ひとつ言ってくれないのです。こういったときは会話の受け答えを活性化させることで、子どもの心の扉を開くことを試みましょう。
それほど難しい方法ではありません。会話のなかでポジティブな内容が出てきたら、積極的に喜び、よかった点やどうやってそれができたのかなど建設的な質問をするのです。