安心してわが子を預けられる学校かどうか一発でわかる…中学受験のプロ「学校見学で絶対に聞くべきこと」

安心してわが子を預けられる学校かどうか一発でわかる…中学受験のプロ「学校見学で絶対に聞くべきこと」

リニューアル校から伝統校まで70校の校風一覧

頑張って受験して入ったのに、どうも何かが違う! そうならないために中学受験の学校選びはとても重要です。大学受験のためだけでなく、わが子の一生に関わる大切な宝物を得られる場所であってほしい。志望校の選び方、教えてもらいました。

多感な6年間を過ごす環境としてどうか

中学受験をするにあたって、志望校選びは大切な一歩。とはいえ、たくさんの学校がある中で、いったいどういう基準で選べばいいのか。

「かつて志望校選びは、難関大への進学実績が重視されていました。しかし、最近は首都圏を中心に『多感な成長期にあたる中高6年間を過ごす環境』という観点から学校選びを考える親御さんが増えています」と言うのは、算数教育家で中学受験カウンセラーとしても知られる安浪京子さんだ。

「『とにかく東大へ』という家庭は今も一定数ありますが、単に大学受験のための勉強ではなく、将来にわたって宝物になる本質的な教育をしてくれるかどうかという観点で学校選びをする家庭が増えていると思います」(安浪さん)

一方、「親世代が抱くイメージとはずいぶん変わってきている学校もあるので、とにかく足を運んで実際に見てみることが大事です。広報・宣伝の上手な学校や下手な学校もあります。実際に先生や生徒の姿を見ることでわかることがたくさんあります」と語るのは、私立中高一貫校情報誌「SCHOOL」の編集長・吉田玲唲れいじさんだ。

学校見学に行く前の知識として、どんなタイプの学校があるかを教えてもらった。

「偏差値や進学実績というわかりやすい区分とは別に、校風を知ることが学校選びの基準になります。一定期間で先生方が異動する公立校と異なり、建学の精神を持つ私立校は先生方の在任期間も長く、そのため特有の文化、校風が形づくられることが多いのです」(安浪さん)

公立中学校は基本的に男女共学だが、私立には男子校もあれば女子校もある。

「男子校や女子校は異性の目を気にすることなく、のびのび過ごせる点が一番のメリット。ちょっと他人とは違う個性やマニアックな趣味を持っている子にとって居場所を見つけやすいでしょう」(安浪さん)

私立には、大学付属校というカテゴリーもある。その名の通り、系列の大学に進学できる枠がある学校だ。中学受験で合格すれば、大学までの進路が確保されるという安心感から人気を集めている。

「とはいえ、中学時代の成績があまりにも不振だと高校への内部進学が認められないこともありますし、系列大学への進学枠が少ない学校もありますので、学校研究をされることをお勧めします」(安浪さん)

わが子に合うのは秩序タイプか自主性タイプか

校風による学校選びの参考として今回紹介するのが、「秩序を重視するタイプ」か「自主性を重視するタイプ」か、さらにそれぞれについて「革新度が高いか低いか」で分類する方法だ。これらを首都圏の男子校、女子校、共学校の三つのカテゴリーと関西の学校について、おおよその校風がわかるように分けてもらった。

「『秩序を重視』とは、学校が学習面や生活面の秩序を保とうとする学校で、いわゆる管理型の学校です。『自主性を重視』とは、学校があまり介入せず生徒の自主性に任せていて、放任型とも言いますね」(安浪さん)

男子校については、中学課程では生徒の精神の発達段階に応じてほぼどこも秩序タイプだが、高校課程では学校ごとに文化やポリシーの差が出てくる。したがって、男子校の分類は高校の校風を基準にしている。女子校は中高でそれほどポリシーに変化はないが、男子校と比べると「秩序」と「自主性」の幅はそこまで広くない。

「生活面の管理はゆるいけれど、勉強面の進捗しんちょく管理などは厳しいといった学校もあります。その場合はどの程度のゆるさと厳しさかを総合的に評価して分けました」(安浪さん)

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※()内は偏差値と所在地。首都圏の学校は四谷大塚の2025年入試の予想偏差値。※同カテゴリー内の記載順と革新度の高低に関係はない。(安浪京子、吉田玲唲=表作成)

開成(男子校、東京)は、自由度が高そうなイメージもあるが、授業の後にノートを提出させるなど、勉強もしっかりさせていることから秩序タイプに分類されている。聖光学院(男子校、神奈川)は都内の学校とは異なり、近くに大学受験予備校がないため、学校がしっかり受験対策を行っている。その結果、秩序タイプに分類されてはいるが生活などほかの面では自主性重視だ。女子校では、女子学院(東京)が自主性タイプ、白百合学園(東京)は秩序タイプに分類される。

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※()内は偏差値と所在地。首都圏の学校は四谷大塚の2025年入試の予想偏差値。※同カテゴリー内の記載順と革新度の高低に関係はない。(安浪京子、吉田玲唲=表作成)

自分の子供の短所を直したいと、子供のタイプとは反対の学校に入れるのはアリなのか。たとえば、あれこれ介入されるのが嫌いな子を秩序タイプの学校へ、主体性がない子を自主性タイプの学校に入れてみてはどうだろうと親は思いがちだが、安浪さんは「避けたほうがいい」と断言する。

「身だしなみに構わなすぎる男子の親御さんから、『共学校に入れれば女子の目も意識してマシになるでしょうか』と相談を受けたこともありますが、絶対にやめたほうがいいです。短所をつぶすのではなく、長所を伸ばすという考え方を基本にしてください」

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2025.08.23

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