「通勤のときに階段を上っている」だけの人はもったいない…「下り」の動きが身体にもたらす"素晴らしい効果"
エスカレーターやエレベーターを待つ時間があったら取り入れてほしい
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健康維持のためには運動が大切だ。だがその時間が取れない人はどうすればいいのか。医師の加藤浩晃さんは「歩くことには身体的にも精神的にも効果が期待できる。日々の生活の中で歩く距離を伸ばすにはコツがある」という――。 ※本稿は、加藤浩晃『休養ベスト100 科学的根拠に基づく戦略的に休むスキル』(日経BP)の一部を再編集したものです。
都市部の一駅分は歩くのにちょうどいい距離
歩くことの効用は、昔からさまざまにいわれています。身体的な健康効果はもちろんですが、気分がリフレッシュできることで、精神的な健康にも大きな効果が期待できます。
日々の生活の中で歩く距離を伸ばすコツは、これも昔からある方法ですが、「一駅分歩く」ことです。目的地の一駅手前で降りて、残りは歩く。通勤の行きと帰りでこれをやれば、かなりの距離を歩くことができます。
私自身、一駅分歩くことを実践しています。歩くことで頭がリセットできて、いいアイデアが浮かんでくることもよくあります。周囲の風景を楽しんだり、季節感を味わいながら意識的に歩くことを心がけています。
日常的に歩く機会が減りがちな現代社会では、意識的に歩く時間をつくることが大切だと思っています。
都市部ならば、一駅分はだいたい1~2km でしょうか。「さあ運動するぞ」と構えることもなく、毎日の通勤や買い物などの日常生活に運動を組み込むことができます。
一駅分歩く習慣を実践するためのコツは以下です。
・予定を詰め込みすぎることなく、時間に余裕をもって行動する
・いつでも思い立ったときにできるよう、普段から自分に合った歩きやすい靴を選んではく
・スマホをバッグにしまい、周囲の風景を眺めながら歩く
最近は、革靴でも歩きやすさをうたったものがあり、私はこれをはいています。
「歩いて10分の距離」なら歩く習慣をつける
また、郊外や地方に住んでいると、一駅分の距離が4km程度になったりして、なかなか歩くのは難しいかもしれません。
4kmですと、1時間ほどかかってしまいます。
ただ、車での移動が中心の生活を送っていると、近くへの買い物や食事にも車を使いがちなので、歩いて10分くらいの距離ならば、おっくうがらずに歩く習慣をつけましょう。あるいは、車で移動するときも、目的地からあえて1~2分歩く駐車場に車を停めたり、車を降りてから少し遠回りをして、短い散歩を兼ねて目的地まで歩いたりするのもおすすめです。
私は、徒歩の移動時間を大切な「思考の時間」として活用しています。歩きながら、その日の仕事で気になったことを整理することもあります。また、年間100回くらい講演をしているので、歩きながら次の講演の構成を考えたりすることもよくあります。
歩くという単純な行為が、身体の健康だけでなく、思考の整理や創造性の向上にも役立っているのを実感しています。