銀座の超高級寿司店が「ミシュラン」から消えた…世界に誇る"鮨文化"が星を取れなくなった予想外の理由
「1年先まで予約満席」の超人気ぶりが裏目に出た
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「ミシュランガイド」は、レストランを星の数で評価する国際的なガイドで、東京都内には星を獲得した店が多数存在する。グルメジャーナリストの東龍氏は「近年、銀座や六本木の超有名鮨店が相次いでミシュランガイドから姿を消した。しかし、これは店の評価が落ちたことを意味するわけではない」という――。 ※本稿は、東龍『レストランビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
手頃な価格帯も対象にして拡張したミシュラン
日本で最も成功を収めているレストラン評価は、『ミシュランガイド』です。その理由は、3つあります。
1つ目は評価のわかりやすさです。一つ星の「近くに訪れたら行く価値のある優れた料理」、二つ星の「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」、三つ星の「そのために旅行する価値のある卓越した料理」という評価は、シンプルで非常にわかりやすいので、迷うことがありません。『ミシュランガイド』の評価にならって、三つ星という表現が散見されるほど巷間に浸透しています。
2つ目はブランド力を維持しながら巧みに拡張していることです。手頃な価格の「ビブグルマン」が『ミシュランガイド東京・横浜・湘南2014』から追加されたことによって、これまで対象外であった料理カテゴリーを増やすことができるようになりました。
「ミシュラングリーンスター」が『ミシュランガイド東京2021』で新設されたことによって、サステナブルガストロノミーも評価できるようになっています。
「ミシュラングリーンスター」は名前に「星(スター)」が付けられていること、毎年の発表会での扱い方や付与軒数が三つ星と同等であることから、『ミシュランガイド』が非常に重要としている価値であると推察されます。