男系男子であればいいという問題ではない…島田裕巳「参院選の混乱で見えた"選ばれし器"の重要性」

男系男子であればいいという問題ではない…島田裕巳「参院選の混乱で見えた"選ばれし器"の重要性」

愛子天皇待望論が生まれるワケ

皇位継承の本質とは何か。皇室史に詳しい宗教学者の島田裕巳さんは「天皇として認められる『必要条件』は男系継承だが、その一方に『十分条件』があることも見逃すことはできない」という――。

二つに分かれる国家のあり方

もしも日本に皇室が存在しなかったとしたら、とんでもないことになっていたのではないだろうか。今回の参院選で起こったことを考えてみるならば、私たちは、そう考えざるを得ない。

参院選で示されたことは、自民党をはじめとする既成政党の凋落である。自民党と連立を組む公明党も大幅に票を減らし、議席も失った。公明党の長年のライバルであった日本共産党も、社民党のような少数政党への道を歩んでいる。

一時は羽振りのよかった維新の会もふるわず、野党第一党である立憲民主党は、比例代表では国民民主党に抜かれたことはもちろん、新興勢力の代表で、今回大躍進をとげた参政党にさえ及ばなかった。他に堅調だったのは、れいわ新選組と日本保守党である。

世界を見渡してみたとき、国家のあり方は二分される。皇室を含めた王室のある国々と、共和政を敷いた国々である。共和制を敷いた共和国では、国家元首には大統領がなる。つまり、頂点に王(天皇も含む)を戴くか、大統領を戴くかに分かれるわけで、両者が併存する国は存在しない。

参院選で見えた天皇制の恩恵

仮に、日本が日本共和国で、国家元首が大統領であったとしたら、国民の投票によって選出される大統領は、議会における第一党を支持基盤とするか、第一党を中心とした連立政権を基盤としているはずだ。

今回の参院選によって、自民党は比較第一党の地位は確保したものの、衆議院でも参議院でも、連立を組む公明党と合わせても過半数を確保できなくなり、政権基盤は一気に弱体化した。

そうなると、日本共和国の大統領の地位は不安定なものとなり、そのことは社会に対して深刻な影響を与えたはずだ。国の根幹が揺らぐのである。

ところが、日本には天皇がいて、皇族がいる。その地位やあり方は、選挙の結果にはまったく左右されない。天皇は日本の象徴として、あるいは日本国民統合の象徴として機能し続ける。それが、どれだけ私たちに安心感をもたらしているのか、その恩恵ははかりしれない。

重要なことは、多党化現象が進む中で、どの政党も、現在の象徴天皇制を支持していることである。終戦直後の日本共産党は天皇制の廃止を主張していた。しかも、2004年の綱領改定までは君主制の廃止を掲げていた。しかし、現在の共産党は、綱領を改定し、「天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」と、少なくとも廃止は主張しなくなっている。

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2025.07.31

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