「痛み止めを飲んどけば大丈夫」は危険すぎる…すぐに救急車を呼ぶべき"命に関わるヤバい頭痛"の3症状
頭痛にはいくつかの種類があり、それぞれ原因や対処法が異なる
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命に関わる危険な頭痛はどのようなものなのか。産業医・心療内科医の吉田英司さんは「頭痛の中には注意が必要なものも存在する。肩こりや気圧の変化で起こる頭痛は問題ないが、別の病気が原因となり、その症状の一つとして頭痛が現れるタイプのものは命に関わる場合があり、すぐに受診が必要だ」という――。 ※本稿は、吉田英司『一生健康に働くための心とカラダの守り方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
人間にとって不自然な現代の生活環境
現生人類のホモ・サピエンスは数十万年前から存在しています。しかしその当時から、私たちの筋肉や骨などの身体の構造や、自律神経の働きは、今もほとんど変わっていません。
数十万年前の人類は、狩猟や採集をしながら生活していました。朝は日が昇ると目を覚まし、夜になると眠ります。日中は食料を確保するために動き回り、やがて夕暮れを迎える生活を送っていました。
そのような生活をしていた彼らと、現代を生きる私たちの身体や脳の働きは、実はそれほど大きく変わっていません。環境に適応し、それが遺伝子レベルで変化するには、長い長い時間が必要であるためです。
しかし、文明の発展スピードは遺伝子の変化とは対照的です。特にこの数百年の文明の進化は、それまでの数万年の変化をはるかに上回る速さで進んできました。
その結果、私たちの身体や脳は数十万年前と同じままであるのに、生活環境だけが大きく変わってしまった世界に我々は生きているのです。例えば、1日のうちの7〜8時間も同じ姿勢で椅子に座り続ける生活は、昔の人類にはなかったものです。
そのため、私たちの身体は本来、そのような環境に対応する身体にはなっていないわけです。
また、昔の人類にとって、緊張状態はほとんどの場合、生死をかけた戦いや危険な状況で起こるものでした。そのため、身体は「戦うか逃げるか」という短時間のストレス(数分から数十分)に対応できるように作られていました。
古代と現代のスタイルの最適なバランス
しかし、現代ではストレスが何カ月も続くことが珍しくなく、私たちの身体はそのような慢性的なストレスに適応できるようにはなっていません。
こうした現代の環境と合わない身体や脳神経の働きが、頭痛、肩こり、腰痛、自律神経の乱れなどの症状を引き起こしているのです。
つまり、自分の身体と心をケアするためには、今の働き方と数十万年前の人類の生活を比べて考えることが大切です。人間が本来持っている筋肉や骨、自律神経にとって不自然な状態を、どのように改善するか、あるいはその影響を最小限に抑えるかを意識する必要があります。
座っている時間やストレスを感じている時間と同様に、日光を浴びている時間、1日の多くをオフィスなど閉ざされた空間で過ごす、仕事で求められる細かい作業、就寝時間の遅さなど、数十万年前とは大きく異なる環境が数多くあります。