50代の魚摂取量は半減…元水産庁職員が「魚離れにはコレ」と推す胃と財布にやさしく「うまみ」抜群の魚の名前
特殊な構造に見えるが実はさばきやすい
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物価高の中、どうすれば魚というタンパク源を食卓に確保できるか。ライターの大宮冬洋さんは「50代の魚摂取量は1日たった55.9グラムで20年前と比べると半減している。脂が少なめでおいしく調理もラクな魚はないか、探った」という――。
この20年間で50代の魚摂取量は半減した
若者よりは中高年のほうが魚を多く食べていることは誰もが想像がつく。しかし、50代の魚摂取量が激減していることはご存じだろうか。2003年は1日あたり105グラム以上食べていたのに2023年はほぼ半減の約55グラム。現在はさらに減っているだろう。アジ1匹の可食部は60グラムほどなので、社会の中枢を占める世代がいかに魚を食べなくなったのかが伺える。
かと言って、回転寿司などで人気のサーモンを中高年がどんどん食べるとは思えない。筆者はまだギリギリ40代だけど、年齢を重ねるにつれて、脂たっぷりの肉や魚は体が受け入れにくくなったのを感じる。旬のブリなどはおいしいけれど、刺身だと3切れぐらいで十分だ。
脂少な目でおいしい魚は何か
我々の活路は、脂は少なめでうまみが強い魚にあると思う。いま食べるとしたらどの魚がいいのか。多様な魚を店頭に並べている鮮魚店に相談するのがいい。筆者が頼りにしているのが鎌倉の住宅地にある「サカナヤマルカマ(以下、マルカマ)」。同店のアドバイザーである上田勝彦さんは元漁師かつ元水産庁職員という「魚の伝道師」だ。あまり流通しないような魚もマルカマの厨房でさばきながら、その生態や料理法を教えてくれる。今日のお勧めはトビウオだ。
「こないだ教えたシイラ(記事はこちら)とセットの魚だよ。どちらも黒潮にのって日本列島にやってくる。トビウオの背の深い青色が黒潮の色と似ているのは鳥から狙われにくくする保護色なんだね。腹の銀色は海中から見上げた時の保護色だ。海の中でシイラなどの天敵に襲われると、海上にジャンプ。大きな胸ビレを広げて数百メートルも滑空する。だから、脂は少なく内臓は小さい。筋肉とコラーゲンの塊のような魚で、筋肉の多さゆえの強いうまみが特徴だよ」