SNSのクソリプは迷わず「ブロック」していい…ベテラン公認心理師が説く「人間関係で対話以上に大切なこと」
「内なるチャイルド」が怯えていたら、逃げていい
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イヤなことを言われたら、どうするのが正解か。公認心理師の伊藤絵美さんは「逃げることは悪いことではない。意外と思われるかもしれないが、私自身、SNSで理不尽な攻撃を受けたとき、問答無用で『ブロック』することに決めている」という――。 ※本稿は、伊藤絵美『自分にやさしくする生き方』(ちくまプリマー新書)の一部を抜粋・再編集したものです。
自分にとって「より危険の少ない環境」に身を置く
前回記事では、「無条件の安心安全」を感じることの大切さを説明しました。
では、それを確保するにはどうすればいいのでしょう。
安心安全を確保する最初のステップは、安全な環境に自分の身を置くことです。
もちろん100パーセントの安全が保障される環境など、この世のどこにもありませんから、ここは相対的に考え、「自分にとって比較的安全だと思える環境に身を置く」ことだと理解してください。
あるいは、「自分にとってより危険の少ない環境に身を置く」というように言い換えてもよいでしょう。
さらには「自分にとってより居心地の良い環境に身を置く」というふうに言い換えることもできます。
それは具体的には、住居だったり、家庭だったり、職場だったり、学校だったり、近隣のある場所だったり、もしくは文化だったり、種々の人間関係だったりします。
具体的には、
「自分にとって比較的安全で、危険がより少なく、居心地のよい住居で暮らす」
「自分にとって比較的安全で、危険がより少なく、居心地のよい家庭環境に身を置く」
「自分にとって比較的安全で、危険がより少なく、居心地のよい職場生活や学校生活を求める」
「自分にとって比較的安全で、危険がより少なく、居心地のよい近隣を求める」
「自分にとって比較的安全で、危険がより少なく、居心地のよい文化のなかで生活する」
「自分にとって比較的安全で、危険がより少なく、居心地のよい人間関係のなかで過ごす」
ということです。
上司がパワハラをする人だった
それは逆説的にいえば、今ある環境(住居、家庭、職場、学校、近隣、文化、人間関係)が自分にとって安全でなかったり、危険があったり、居心地がよくなかったりするのであれば、自分の安全を守るために何らかの問題解決を講じる必要が出てきます。
書籍『自分にやさしくする生き方』(ちくまプリマー新書)のなかで作成した、サポートネットワークを活用して誰かに助けを求めるとか(例:ハラスメント窓口や警察に相談する)、そのような環境を改善するよう関係各所に働きかけるとか、関連する人物に言動を改めるよう求めるとか、自分の方からそのような環境や人間関係から離れるとか、そういったことです。
ここで私自身の体験をお伝えしましょう。
私は一時期、民間企業のなかで契約社員としてメンタルヘルスの仕事をしていたことがありました。それは大変やりがいのある仕事で、仲間にも恵まれ、とても充実しており、また契約社員といえども雇用環境は良好で、できればその企業で長く働きたいと考えておりました。
しかし問題が一つありました。
私が関わっていた事業のトップ(女性)がパワーハラスメントをする人だったのです。