だから見るだけで「メンタル不調」が軽快する…医師が勧めるドーパミンを自力で出す「絵」と「写真」
ポジティブ回路を働かせる「ドパ活」入門
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心の病に効く自然治癒力の一つとして「ドーパミン」神経の働きに注目が集まっている。医師・脳生理学者の有田秀穂さんは「脳内の『癒し中枢』を興奮させ、ポジティブな気分をもたらすドーパミン神経を活性化する簡単な方法がある」という――。 ※本稿は、有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
誰でも体のなかに100人の名医を持っている
私たちの脳には、ストレスとうまく付き合っていけるよう、いくつかのありがたいシステム(予防・解消・対策の各システム)が備わっています。
現代医療では、ストレスが続いて心と体に症状が現れたら、医者のところに行って検査を受け、薬で症状を軽くさせるという方法をとります。血圧が高くなったら降圧剤。血糖が高くなったら糖尿病薬。うつ症状が出たらSSRIなどの薬が処方されます。つまり、現代医学は「薬物治療」が主流で、かつ有効性が高く、それが最大の武器になっています。私は医師として、それを否定するつもりはまったくありません。
その半面、ギリシャの医聖(近代医学の父)ヒポクラテスが唱えた格言(医療哲学)を、私は信奉しています。とりわけ、次の2つの格言を胸に刻んでいます。
人間は誰でも体のなかに100人の名医を持っている 私たちの内にある自然治癒力こそ真に病を治すものである |
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30年以上にわたる脳科学研究で、心の病に関わる「名医=自然治癒力」として、「ドーパミン」「オキシトシン」「セロトニン」に着目し、その特性を研究してきました。これらを理解するためにも、まず脳の基本システムについて説明します。
人間の体には「陰陽」のリズムが刷り込まれている
私たちの脳と体には、二つの対立するシステムが共存していて、一方が働いているときには、もう一方は働けなくなります。二つが同時に働くことはありません。
具体的には、
・「覚醒システム」と「睡眠システム」 ・身体活動を活発にする「交感神経」と疲労を回復させる「副交感神経」 ・「ストレス中枢」と「癒し中枢」 |
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です。
これらの対立する生体システムが、交互に働いています。
古代中国では、医学の世界で「陰陽学」という概念を確立させましたが、それは、人体には二つの対立するシステムが共存していること、二つが同時に働くことはないことを熟知していたからです。現在の私の考え方は、この「陰陽学」にも通じます。
なぜ人間の体の中でこのような周期的変動が起きるのかといえば、地球の自転と関係しています。
自転によって昼と夜が周期的に繰り返されることが、その地球上で進化し、生き延びてきた人間の生体リズムに刷り込まれているからです。