実家から出ず、親からの"お小遣い"で生きていく…中国で「専業子ども」を選ぶ若者が増えているワケ
日本よりもさらに残酷な「親ガチャ」の国
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不動産バブルが崩壊した中国は今、どうなっているのか。外交官・島根玲子さんは「若者の失業率が特に高く、定職につけずに親のすねかじりをする若者が増えている」という。著書『13歳からの国際情勢』(扶桑社)より、一部を紹介する――。
庶民は家を買えない「不動産バブル」
中国で今一番問題となっていることは不況です。経済がとても悪く、人々の生活が苦しいのです。その主な原因が、不動産バブルの崩壊です。中国では、人々の生活が豊かになるとともに住宅建設がどんどん進み、不動産の価格がつり上がりました。いわゆる不動産バブルです。
特に、深圳しんせんや北京などの大都市では一時、不動産の価格が年収の50倍以上と、庶民には一生かかっても手が出ないような値段にまで上昇しました。今でも北京や上海などの大都市では、中古住宅でも年収の25倍を超すことが珍しくありません。
日本では、新築マンションの全国平均価格は年収の10倍ほどです。近年、「高すぎて買えない」と叫ばれている東京でも、年収の約18倍ですので、中国の不動産がいかに高いかがわかります。しかし、日本もそうだったように、バブルというのはいつか崩壊します。
習近平政権の対策も焼け石に水
不動産バブルが崩壊した中国では、家が売れなくなり、建設を中断するマンションが目立つようになりました。あまりに住宅が売れないので、マンションの部屋一つ買ったらもう一部屋プレゼント、なんていうびっくりキャンペーンまであるそうです。
中国では、不動産業がGDPに占める割合は3割ほどで、中国経済の大きな部分を占めています。そのため、不動産業界が傾くと、中国経済にとっては大きな打撃となります。
これに対し中国政府は、住宅ローンの金利を引き下げたり、不動産業の支援をしたりと、いろいろな対策を打っているようですが、今のところあまり効果は出ていないというのが現状です。