どんな失敗をしても心が折れない人には共通点がある…「苦手な上司は距離をとる」が正しくない心理学的理由
「生きづらい」と感じている人が陥っている"脳の歪み"
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なぜネガティブな考えに囚われてしまうのか。マインドトレーナーの田中よしこさんは「私たちが日常的に抱えている悩みや不安などの原因は、脳の『クセ』にある。クセを理解することで、捉え方や行動は自分で大きく変えられる」という――。 ※本稿は、田中よしこ『私は私を幸せにできる 脳が作り出す「無意識の思い込み」にさよなら』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
なぜ思考の歪みが生まれるのか?
幸せになりたいのに、どうして生き辛くなる思考の歪みが出てきてしまうのでしょうか?
それは、「経験をどう解釈したのか」という過程にかかっています。
私たちの脳は五感を通して外の物事を「情報」にして、脳内に格納します。その時に自分がどう感じたのかという「感情」と一緒に記憶しているのです。
例えば、大勢の前で褒められたことを「嬉しい」という感情で格納すると、それは良いこととして脳内に記憶されます。反対に、大勢の前で褒められたことを「恥ずかしい」という感情で格納すると、嫌なこととして脳内に記憶されます。
まったく同じシチュエーションで同じ経験をしても、人によって全く別のものになるのです。どちらがいい訳でも悪い訳でも、優れている訳でもありません。ただ、感じ方が違うだけ、捉え方が違うだけ。もっとシンプルに言えば、脳内情報が違うだけ、なのです。
どのような情報を格納するのかは、自分で選べます。脳のオーナーは私たち自分自身です。ですから、捉え方を自分で修正して、好きな情報に作り替えることはいつでも可能なのです。
ラベリングしてしまうのは「人間の習性」
自分から見て良いもの・悪いもの、という解釈に沿って評価をした情報が、私たちの言動や感情に強い影響を及ぼしています。
例えば、何かで失敗した経験があると、「私はいつも失敗する人間だ」「どうせうまくいかないんだ」というように、自分自身を勝手に決めつけてしまいます。
心理学用語では「ラベリング」と呼ばれています。人前で褒められた経験について良い解釈をすると“頑張ると人から認めてもらえる”というラベリングになります。一方で、悪い解釈をすると“頑張っても人前で恥ずかしい想いをする”というラベリングになります。
私たちは、大なり小なり、こういったラベリングをしながら物事を見ています。しかし、これは全部、脳の習性ゆえの“ただのクセ”です。
新しい情報が入ってくるたび毎回最初から処理をするのは脳が大変なので、過去に貼ったラベリングに沿って判断しています。そうする方がラクだからです。だから、ラベリング自体は習慣的なものにすぎません。
でも、クセは、直そうとしないと直せないものですよね。私のラベリング=思い込みは本当に合っているのか?と見直していけば、誰でもラベルの内容は変えられます。もちろん、ネガティブなラベリングをポジティブなラベリングに変えることだって可能です。