出産するも産後うつ→保育園休園…窮地のサイバーエージェント女性役員を救ったのはかつて衝突した戦友
28歳で役員就任→産休育休→復帰後に役員再就任
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【前編】年上部下に「あなたに査定されたくない」と言われ… サイバーエージェント27歳女性局長が挑んだ「謝罪ランチ」 インターネット広告営業のスペシャリストであり、サイバーエージェント執行役員を務める河合典子さん。「28歳でいったん役員になったが、その後、結婚と出産、産休育休や時短・リモート勤務を経験して再び役員に。つまずくこともたくさんあったので、その経験を活かし、仕事とプライベートの両立を目指す女性社員を全力で支援したい」という――。
内示もなく28歳のとき営業局長から執行役員に
27歳の若さでインターネット広告事業の営業局長に就任し、それを機にプレイヤーからリーダーへと成長を遂げた河合典子さん。現在は執行役員という立場にあるが、ポジションに関していえば、自ら道を切り開いてきた実感はまったくないという。
「当初はマネジメントのマの字も知らなかったし、意識もしていませんでした。今の自分があるのは、組織に引き上げてもらった結果だと思っています」
局長になっただけでもすごいのに、28歳のときには、突然、執行役員に“引き上げ”られた。本人は何も知らされないまま、全社員が集まる半期に一度のグループ総会でいきなり発表されたのだ。事前の打診はおろか、「なぜ選ばれたのか」という説明もなかった。
「びっくりですよね。でもうちってそうなんですよ」と河合さん。役員になったからといって新たな仕事やミッションを与えられることもなく、最初の経営会議では「典子、役員になったけど何やる?」と逆質問されたほど。聞けば、サイバーエージェントではそれが普通なのだそうだ。
ちなみに、このときの就任は同社独自の人事制度「CA18」によるものだ。現在は廃止されているが、将来の経営人材(幹部候補)を育成するための社内選抜プロジェクトで、8人の取締役と執行役員待遇の幹部10人で構成し、幹部10名のうち5人ずつを半期ごとに入れ替えることで役員会のオープン化や経営の網羅性を図るという取り組みだ。
女性活躍のロールモデルとして期待された
人一倍元気で明るく、意欲旺盛で入社後に大きく伸びたタイプ。社員にとって身近で親しみやすい存在で、今では経営陣からの信頼も厚い。だから若手のモチベーションアップにつながる存在として、また女性メンバーのロールモデルとして適任だと思った――。
「ありがたかったですね。でも役員として何をやるかは自分で考えて提案していく必要があったので、そこは大変でした。自分は何をすべきなんだろう、何ができるんだろう、どんなチャンスをつかめばいいんだろうと散々考えました」
就任時はまだ28歳。役員としてのあり方を模索すると同時に、兼任していた営業統括との仕事のバランスにも試行錯誤する日々が続いた。そんな中、29歳で結婚。
役員になったばかりで迷うところもあったが、「子どもは授かりものだから、自分たちのタイミングを優先していいんだよ」という上司のひとことでスッと気が楽になり、31歳のとき、男の子を授かった。