100回の会議でも、雑談でも、飲み会でもない…上司が「舐めプな部下」から尊敬を集める意外すぎる方法
「1回」で圧倒的な一体感が生まれる
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チームをまとめられるリーダーは何がちがうのか。経営コンサルタントの加藤芳久さんは「リーダーはみんな不安を抱えているが、本音を正直に吐露することが大切。それだけで、チームに一体感が生まれ、部下のモチベーションが高まり、生産性アップにつながるきっかけになる例を多く見てきた」という――。
男の涙は「あり」か「なし」か
もし、会社の上司が突然会議中にワッと泣き出したら、あなたはどう感じるでしょうか? 戸惑ってしまったり、引いてしまったりする人もいるのではないだろうかと思います。
しかし、涙には、周囲へ「意外」な効果があるのです。今回は、自分の感情の変化に素直になるための方法も紹介できればと思います。
きっかけになったのは「監督の涙」
A企業の実業団の選手を対象に、メンタルトレーニングの研修を実施していたときのこと。
監督は、年齢の若い男性。その分指導の経験が少ないものの、勉強熱心で責任感が強く、一途に指導にあたるタイプの方でした。それゆえに頑固なイメージを持たれやすく、せっかくの指導や監督の想いが選手に届きづらい現状となっている――。そんなもったいない印象を持ちました。
実は前年、この実業団は試合で惨敗していました。新年度を迎えて、心新たにみんなで頑張っていこうというキックオフのタイミングに、私が研修を行うことになったのです。
みんなが緊張していたので、まずは肩肘張らない雰囲気をつくることに。身体を動かす体感型のワークやマインドフルネスなウォーキングをして、和やかな空気感ができてきました。頃合いを見て、「次は、皆の顔が見えるように向かい合って、輪になって座ってください」と伝えました。
事前に監督には、「輪になって座ったときには、素直に飾らずに、自分の気持ちを弱音も含めてみんなに話してください。正直であればあるほどいいです」とお伝えしていました。
全員で深呼吸をして、気持ちが落ち着いたところで監督が話し始めました。
意を決した表情の監督は「去年は予選突破できると思っていたのに、できなくて本当に悔しかった。選手のみんなに申し訳ない。自分の経験不足、指導力不足でみんなを勝たせてあげられなかった。本当に申し訳ない」と、男泣きしながら自分の気持ちを吐露したのでした。
監督の言葉を受けた選手たちもまた、口々に話し出しました。
「私も前年はめちゃくちゃ悔しかった」
「こんなに監督が私たちのことを想ってくれていたのに、私は本気を出せていなかった」
「これまで反抗的な態度を取ってしまって申し訳ありませんでした」
メンバーそれぞれが内省して、これまで黙っていた本音を言い合えたのは、監督が飾らずに弱さを見せて、自分の気持ちを正直に伝えたからです。その場にいる誰もが、チームとしての一体感を強く感じたであろう瞬間でした。
これはスポーツの現場で私が見た光景ですが、ビジネスシーンでも同じようなことは起こり得ます。監督とはビジネスの職場でいえば「管理職」のこと。
もしあなたが管理職の立場であるなら、ぜひこの監督のように、まず自分が本音を吐露することで、“部下たちが本音を話せる”雰囲気を作り出してほしいのです。そうすることで、チームに一体感が生まれ、部下のモチベーションが高まり、生産性アップにつながる例をこれまでたくさん見てきました。