四季がなければ桜が咲くことも、米が育つこともなかった…今さら聞けない、日本に春夏秋冬がある気象学的理由

四季がなければ桜が咲くことも、米が育つこともなかった…今さら聞けない、日本に春夏秋冬がある気象学的理由

地球の自転の角度と緯度の関係性

なぜ日本には四季があるのか。気象学者で名古屋大学教授の坪木和久さんは「地球は垂直から23.4度傾いて自転しているため、太陽高度が変化する。加えて日本は北回帰線の北に位置しているため、豊かな季節変化を享受することができる」という――。 ※本稿は、坪木和久『天気のからくり』(新潮選書)の一部を再編集したものです。

清少納言「春はあけぼの」から感じる日本の四季

日本は四季がはっきりしていて、春夏秋冬、それぞれの季節に美しい風景を見ることができます。四季を描いた文章や詩はたくさんありますが、その中でも誰もが知っている最も有名な随筆は、枕草子の第一段、「春はあけぼの」ではないでしょうか?

「春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは……」

このフレーズから始まる文章は、春夏秋冬の順にそれぞれの季節の美を描いています。おもしろいことに、「春はあけぼの」には、春や秋を最も美しく飾る桜や紅葉が一切出てきません。それでもこの随筆からは四季それぞれの美しい風景を思い浮かべることができます。そこが清少納言の表現力の素晴らしいところなのだと思います。

傾いて自転しているため、太陽高度が変わる

「春はあけぼの」のおおもとを気象学の観点から考えると、それは地球の自転軸(地軸)が傾いていることといえます。地球は太陽の周りを公転していますが、その軌道を含む平面(公転面)の垂直軸に対して、23.4度傾いて自転しています。そのため日本のような中緯度地域では、四季が訪れるのです。

地軸が傾いていることで、太陽に対する位置によって、太陽高度(それぞれの場所の水平面から太陽を見上げる角度)が変わります。日本では、太陽高度は6月21日ごろの夏至のときが最も高く、12月21日ごろの冬至のときが最も低くなります。

たとえば東京の緯度は北緯35度ぐらいですので、夏至のころの太陽高度は北緯12度付近の春分・秋分の日の太陽高度と同じになり、逆に冬至には北緯58度付近のそれと同じになります。つまり地球が傾いているために、東京付近の緯度帯は1年の間に熱帯と亜寒帯の地域を行ったり来たりしているようなものなのです。

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2025.07.04

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