歯が全部残り、裸眼で広辞苑が読める…糖尿病発症から23年「75歳で薬なし」の現役医師が食べているもの【2025年5月BEST】
中年時代は「白米+ビール+日本酒」で糖尿病に
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2025年5月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。老後部門の第4位は――。 ▼第1位 92歳で週4日勤務をこなすマックの人気クルー「民ちゃん」が毎日3回食べる"ヨボヨボ回避のヘルシー食材" ▼第2位 「タンパク質といえば肉」では不十分…管理栄養士が「60歳を超えたらコレ」と強く勧める"高タンパクおやつ" ▼第3位 だからヨボヨボにならずに2時間の電車通勤ができる…「92歳の栄養学者」が朝食で食べている緑色の野菜 ▼第4位 歯が全部残り、裸眼で広辞苑が読める…糖尿病発症から23年「75歳で薬なし」の現役医師が食べているもの ▼第5位 運転をやめさせるより断然いい…和田秀樹が「高齢者の交通事故を減らすにはこれ」というテレビが報じない対策 糖尿病患者は約580万人(2020年調査)と増加傾向だ。医師の江部康二さんは「かつては米飯中心の食生活を推奨し実践していたが、52歳で糖尿病になり、糖質制限食に切り替えた。その結果、糖尿病の治療は必要なく、75歳の今でも視力や聴力が衰えていない」という――。 ※本稿は江部康二『75歳・超人的健康のヒミツ』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
52歳で糖尿病を発症、食生活の敗因はなんだったのか
私は1950年1月8日生まれです。2002年6月、52歳で糖尿病を発症しました。
敗因の1つと考えられるのが、お米です。
2000年に『完全米飯給食が日本を救う』(東洋経済新報社)という本を、井上ひさしさんや幕内秀夫さんなどと共著で刊行していたこともあり、普段は玄米を、旅先では玄米は無理なので、とにかく、おにぎりやご飯をしっかり食べるように心がけていました。
パン(小麦)を食べることはまずなかったのですが、努力して、米(玄米、白米)をタップリ食べていたのです。
さらに、40歳すぎから、「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むならヱビスビール、愛読書並びに推薦書は『夏子の酒』」……てなキャッチコピーで、それまで飲んでいたウイスキーやブランデーから、純米酒とビールに切り替えて、浴びるように飲んでいたのが2つ目の敗因でした。結局、私の場合、大量の「ご飯(玄米、白米)+ビール+純米大吟醸」が三位一体となって、糖尿病発症コースにまっしぐらに突っ走ったのだと思います。
今であれば、血糖値を直接上昇させるのは糖質だけ、醸造酒(日本酒、ビール)は血糖値を上昇させ、蒸留酒(ウイスキーやブランデー)は上げない、という知識があるのですが……。
通常、食後高血糖が数年間続いたあとに、空腹時血糖値が上昇するといわれているので、じつは1990年代の初め頃からとっくに、食後高血糖が存在していた可能性が高かったのです。
皆さんも、糖尿病の早期チェックには、健康診断で測る空腹時血糖値ではなく、主食摂取1時間後の血糖値を調べてみてほしいと思います。それが180mg/dlを超えていると、近い将来、糖尿病になりやすいのです。
10年間、食事のたびに食後高血糖を繰り返してきた結果か
おそらく私は、42〜43歳頃から、毎日、食事のたびに食後高血糖を繰り返し、だめ押しに毎晩毎晩、雨の日も風の日も晴れの日も雪の日も、律儀に純米酒とビールを飲むことで、飲酒後高血糖を生じていたのでしょう。
この頃は、テニスの帰りに週1回はスポーツジムにも寄って、自転車こぎや腹筋・背筋運動もしていましたが、なぜか体重は徐々に増加し、お腹周りも順調に育っていきました。
しっかり摘めるお肉なので、筋肉増強ではなく、脂肪増強に間違いありません。
「なぜだ‼」……と、戸惑いと憤りが湧いてくるものの、誰のせいでもありませんし、現実は厳しいものでした。
「今までの健康を目指したライフスタイルは全部ムダだったのか⁉」とガックリときました。正しいと信じていた常識が、完全に間違いだったと思い知らされたのですから、無理もありませんでした。