自動車輸出「日本を抜いて世界一」中国製のガソリン車、ハイブリッド車が次に狙う"日本の牙城
凋落する日本メーカーの奮起が必要だ
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2023年に中国の自動車輸出台数が日本を抜いて世界一となった。中国は日本との差をさらに広げていく構えだ。国内外の自動車業界の事情に詳しいマーケティング/ブランディングコンサルタントの山崎明さんは「中国といえばBEVというのは一面的な見方でしかない。世界における中国製ICE車の存在感は無視できないレベルになり、従来日本の牙城ともいえる地域に浸透している」という――。
今や中国が自動車輸出台数世界一
2023年、中国の自動車輸出台数が約491万台と日本(約442万台)を超えて世界一となった。
2024年もさらに増加し、約586万台となっており、約421万台と前年割れだった日本との差を大きく広げている。2025年もさらに増加する見込みである。
中国製の自動車というと、電気自動車(BEV)の急成長が話題になっており、EUやアメリカが高関税をかけたりして対抗措置を取っていることが報じられている。にもかかわらず輸出台数世界一を続けているのだ。
いったいこれはどういうことなのか。
中国で生産されたBEVの大部分は国内で売られている
確かに中国のBEV生産量は圧倒的で、世界のBEVのうち7割以上が中国で生産され、64%が中国国内で販売されている。つまり中国で生産されたBEVの大部分は中国で売られているわけだ。
これは中国が国策でBEVの生産に補助金を出し、ユーザーにも半ば強制的にBEVを買わせるような施策をとっているからだ。
たとえば北京市での車購入は抽選制だが、内燃機関(ICE:ガソリンとディーゼル)車の割り当て台数は新エネルギー車(NEV:BEV/PHEV/燃料電池車)より大幅に少なく設定されている。
従って中国内でのBEV開発競争は激しくその進化は早い。そのためトヨタやマツダなど日系メーカーも中国の提携先企業の技術を使ったBEVを中国市場では導入している。日本で開発していてはコストも高く、開発スピードも中国メーカーのペースに追いつけないからだ。