「これほどジャッジミスを招きやすい評価軸はない」元ヘッドハンターが断言"面接で妥協してもいい"意外な要素

「これほどジャッジミスを招きやすい評価軸はない」元ヘッドハンターが断言"面接で妥協してもいい"意外な要素

ちょっと落ち着いて考えたらなかなか危険なアプローチである

理想の人材を採用するのは難しい。妥協してもいいポイントはあるのか。経営層のヘッドハンティングに従事してきたグロービス・キャピタル・パートナーズ ディレクターの小野壮彦さんは「意外かもしれないが、カルチャーフィットは妥協してもいい」という――。 ※本稿は、小野壮彦『世界標準の採用』(日経BP)の一部を再編集したものです。

企業カルチャーに合う人材を採用したい気持ちはわかるが…

もう一つ、採用のジャッジにおいて妥協してもよいと考えられる要素として、意外かもしれませんが「カルチャーフィット」が挙げられます。前著『人を選ぶ技術』でも、私は「カルチャー」をジャッジの基準とすることに対して警鐘を鳴らしました。

しかし、この点においては一部で賛同を得られなかった面もあったように感じます。それだけ、自社のカルチャーに強くこだわる方は多いのでしょう。そこで、本書では、このテーマについてもう少し丁寧に説明を加えたいと思います。

企業カルチャーに合う人材を採用したいという気持ちや、その重要性は十分に理解できます。実際、多くの企業でカルチャーフィットが重視されているのは、企業カルチャーに合わない人材を採用することで、組織の一体感や心理的安全性が損なわれるリスクがあるからです。当然ながら、企業カルチャーが深く強く根づいている組織ほど、そのリスクがより大きくなる傾向があります。

また、スタートアップの初期段階においてカルチャーフィットが特に重要視されるのも自然なことでしょう。スタートアップにとって、企業カルチャーの形成はコミュニケーションの良化を助け、中長期的な成功を左右する鍵となるからです。

採用のジャッジ基準として使うことには反対

米カリフォルニアのベンチャーキャピタル、コースラ・ベンチャーズのマネージング・ディレクター、キース・ラボイスは、企業カルチャーをコンクリートに例えています。初期は柔らかくて可変ですが、いったん固まると変えることが難しく、軌道修正には、まるで電動削岩機で破壊するかのようなコストと痛みを伴うというのです 。

採用の文脈で捉えるなら、初期段階でカルチャーに合わない人材を取り込んでしまうと、異分子を含んだままコンクリートが固まってしまうというわけです。その修正に様々なリソースが奪われるという警告も納得できます。

ただし、本書のテーマは組織開発ではなく、あくまで「採用」です。私が企業にアドバイスをする際には、一貫して「企業カルチャーを育むことは重要。しかし、カルチャーフィットを採用のジャッジ基準として使うことには反対」という立場を取っています。

なぜかというと、面接で果たしてカルチャーフィットを正確に見極められるのだろうか? という疑問がどうしても拭えないからです。ここだけの話、現場での体感として、これほどジャッジミスを招きやすい評価軸はなかなか他に見当たらないのではないかとすら考えています。

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2025.07.02

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