「本を読みなさい」より効果的…読書のプロが「子供が自ら本を手に取るにはコレ」という最も効果のある親技
実は「読んでいない時間」が大事
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1日に1回、本を話題に出そう
子供を本好きにするヒントを「ヨンデミー」代表の笹沼颯太さんに聞いた。
「読書嫌いの子が本を読むようになるには、実は読んでいない時間が大事。読書を楽しめるようになる効果的な仕掛けを、親のほうで仕込みましょう」
笹沼さんによると、読んでいる間だけではなく、本に出合う瞬間、読み終わった後に誰かと感想を話す時間など、本に関するすべての時間が、読書体験といえるそうだ。
「そもそも『本を読みなさい』と親に何度言われても読まない子は、読書=勉強につながるもの、楽しくないものと思っている場合が多く、まずは読書=楽しいもの、とイメージを置き換えることが始めの一歩になります。おすすめは、毎日1回、本の話題を子供との会話に自然に出すことです」(笹沼さん・以下同)
親が先に本を読んでおく必要はない。「今度○○が映画化するらしいね」などと、話すだけでOK。「話題に出すだけ」と、続けるハードルが低いので親たちにも好評で、実際に子供が本に興味を持つのに最も効果を感じた技だという。
「子供が本を読まないと悩む家庭でも、子供が小さな頃には読み聞かせをしていたご家庭が多いんです。『あれ覚えてる?』などと思い出を振り返る感じで話すも良し、『お母さんが小さい頃にハマった〈若草物語〉っていうシリーズがあって』などと、自分の好きだった本について話すも良し。目的は本って面白そう!と思わせることなので、子供が読めないくらい難しいものでもOK。夕飯時に話すという家庭が多いですね」
続けることで、子供は1日1回は本のことを思い浮かべるようになる。しかも、ちょっと楽しい会話の中で。地道ながら、これで子供の中にある本への嫌悪感が楽しいものへと置き換わっていき、「ちょっと読んでみようかな」となる子が多いという。
「最大のポイントは『親も楽しく』です。本当に話題に出すだけでいい。子供からの反応が特になくてもOKです」
親が「推し本」を熱く語る
子供が本を手に取るなど、興味を示したり読むようになってきたら試してほしい、会話の応用技があるという。
「子供はまねをして学ぶ『まねぶ』が得意です。まねぶことに大切なのが、お手本があること。そこで親にやってほしいのが、親自身が過去に読んだ本をどう楽しんだのか、読みながらどんなことを考えたのか、主観でワクワクと語ること。『このキャラが推しなんだよね。現実にいたら、絶対かっこいいと思う』『お母さん、お父さんにも以前、似たような出来事があってね』『私は違う人が犯人だと思っていたんだけど』など、なんでもOKです。映画を見たあとに立ち寄ったカフェで、感想を語るくらいの温度感が理想です」
そうすると子供は「お母さん楽しそう。本ってそんなに面白いのかな」と、その姿をまねして読書を楽しめるようになるという。そもそも本の楽しみ方は千差万別。ただ、まねするサンプルの一つになってやればいいので、ここでも「いい感想を言わないと」などと気を負わないことが大切だ。
また、もう一点、ここで気をつけたいのが親から子へ質疑応答をしようとしないこと。子供からの答えが親の考えと違うと訂正したり、誘導したりしたくなってしまう、尋問のようになることが多いからだ。そうなると子供は楽しくなくなってしまう。あくまで親がどう感じたか「楽しむお手本を見せる」にとどめよう。