公開1週間の再生回数はわずか42回…老舗書店・有隣堂が始めた公式YouTubeが6回で打ち切られた「3つの原因」
「動画自体も、動画を作る一連の作業も全く面白くなかった」
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老舗書店・有隣堂の公式YouTubeチャンネルが『有隣堂しか知らない世界』だ。登録者数は37万人を超え、企業YouTubeとしては異例の成功と評価されているが、プロデューサー兼ディレクターを務めるハヤシユタカさんによると、企業YouTubeとして最初から順調だったわけでは決してないという――。 ※本稿は、ハヤシユタカ『愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと キャラクターは会社を変えられるか?』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
「名物キャラ」は鳥じゃなかった
――2020年2月25日 ゆうせか誕生の4カ月前
有隣堂のYouTube事業は、松信健太郎副社長(現社長)の鶴の一声で始まり、半年後には1本目の動画がアップされる。
ただし、この時のチャンネル名は『書店員つんどくの本棚』。現在の『有隣堂しか知らない世界』ではない。
動画に登場するキャラクターは「つんどく兄」「つんどく弟」という2人の書店員で、現在のMC(司会者)、「R.B.ブッコロー」はブの字も登場しない。
「あれ? この本はブッコローの話じゃないの?」という声が聞こえてきそうだけれど、もうちょっと待ってほしい。
あの鳥が生まれる前には、いろんな紆余曲折があったのだ。
いかにも書店らしい本紹介動画
『書店員つんどくの本棚』の動画の内容は、「つんどく兄」「つんどく弟」が、おすすめの本を紹介するというもの。
全てアニメーションで展開され、この2人のキャラクターもイラストで描かれている。有隣堂の書店員という設定で、小さく「YURINDO」と書かれたエプロンを着用。ナレーションは有隣堂の社員2名が担当した。
記念すべき1本目の動画は「【8分で解説】天職の探し方」と題され、転職を迷っている人や、進路に迷っている学生などに向けて書かれた本を、書店員ならではの視点で紹介していた。いかにも「書店の会社が作ったYouTubeチャンネルね」という直球ド真ん中の内容だ。
ちなみにこの動画の制作を担当したのは僕ではない。とある制作会社だ。
僕は松信さんを焚き付けた手前、こうした動画の作りになった経緯は聞いていたが、口を出すことなくそっと見守っていた。
さて、公開されてどうだったのか。