日本の包丁は「間違いなく世界一」…大阪で14年続く「カナダ人店主の包丁店」に海外の料理人が惚れ込む理由

日本の包丁は「間違いなく世界一」…大阪で14年続く「カナダ人店主の包丁店」に海外の料理人が惚れ込む理由

刃物職人と客をつなぐ架け橋になっている

大阪・新世界に外国人客が集まる包丁専門店がある。値段は3000円~200万円で、どれも日本製だ。カナダ出身の店主、ビヨン・ハイバーグさんが2011年に立ち上げた。なぜビヨンさんは日本の包丁を売るようになったのか。インタビューライターの池田アユリさんが取材した――。

「日本人より日本の包丁に詳しい外国人」

「ほんとだ、スーッと切れる」

大阪市浪速区、新世界と呼ばれる繁華街にある包丁専門店「タワーナイブズ大阪 刃物工房(以下、タワーナイブズ大阪)」。3月某日、私はここで、魔法のようにニンジンが切れる包丁を手に、素直な感想が口からこぼれた。包丁の名は、同店が手掛けたオリジナル包丁「未来伝(価格帯は1万2000~3万2000円)」だ。力をほとんど入れなくとも、刃先が素材に吸い込まれるように入っていく。

「そう、その切り方です。優しく、包丁の重みに任せれば、素材がもっと美味しくなります」

目の前で包丁の使い方を教えてくれるのは、同店のオーナーであるビヨン・ハイバーグさん(56)だ。カナダ出身、デンマーク育ちの彼は、大阪の新世界で日本の包丁の良さを14年間伝え続けてきた。ゆえに、「包丁先生」と呼ばれている。


テレビにもたびたび出演。TBSの「マツコの知らない世界」では「日本人より日本の包丁に詳しい外国人」と紹介され、包丁の奥深さを視聴者に伝えた。また、2020年には、出演した番組を元にしたムック本『NHKまる得マガジン 料理をもっとおいしく!包丁レッスン』が発売された。

180cmの大きな体格と優しい笑顔が印象的な一方、包丁の説明をするビヨンさんからは“日本の刃物へのこだわり”が伺えた。

「日本の包丁が一番いい」

「ドイツのキッチン器具のブランドの高級ラインは日本製です。だからこそ自信をもって言える。日本の包丁が一番いい」

ビヨンさんが語る日本の包丁への思いは訪れた客に伝播し、その話を聞いた人たちがやってくる。すると同店は、大々的に広告を打たずとも世界各地から客がひっきりなしに訪れる店になった。タワーナイブズ大阪は、月に約3500人もの購入客で賑わい、週末には日本人と海外からの観光客が後を絶たない。

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筆者撮影 店舗にある包丁はすべて日本製。価格帯は3000円から200万円までと値段が幅広い

彼の思いを受け継ぐのは、多言語に対応できるスタッフたち。店のカウンターでは英語やフランス語、スペイン語などさまざまな言語が飛び交っている。ビヨンさんも流暢な日本語で会話していた最中、「デンマークの知り合いのお客さんが来たので、ちょっといいですか」と席を外し、来店した家族連れの観光客にデンマーク語で軽快に話し始めた。

彼が「世界一」と語る日本の包丁には、どんな可能性があるのだろうか。なぜ、外国人のビヨンさんが日本の包丁に情熱を注ぐことになったのか――。

「もうすぐオープンする予定です」と案内してくれた開業準備中の新世界のバーで、ビヨンさんの話を聞いた。

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筆者撮影 売れ筋は、岐阜県関市の包丁工房とタワーナイブズ大阪がコラボレーションして製造、販売するブランド「関多和」の三徳包丁(1万8000円)
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2025.06.27

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