「○○くんはかっこいいのに、あんたは汚いおじさん」暴走する"推し活モラハラ妻"による家庭崩壊の一部始終
家はグッズとポスターでいっぱいで夫の居場所はベッドの半分のみ
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推し活が行き過ぎて離婚に繋がるケースがある。離婚や男女問題に詳しい弁護士の堀井亜生さんは「推し活やペット、健康オタクなど、一見ほほえましく肯定的に見えるものであっても、暴走して家族を悩ませ家庭生活を壊せば、それはモラハラになる可能性がある」という――。 ※本原稿で挙げる事例は、実際にあった事例を守秘義務とプライバシーに配慮して修正したものです。
「推し活」で娘が活動的に
会社員のAさん(52歳)は、専業主婦の妻と結婚して30年になります。今は娘(24歳)と3人暮らしです。娘は就職せず、自宅で過ごしていることが多い生活です。
妻は昔から真面目で、家計のやりくりや家事をきっちりこなすタイプでした。Aさんは妻や娘との会話も少なく、淡々と必要なことを話すだけ。家庭内はいつも静かで、あまり交流もありませんでした。
しかしある時から、娘が、とあるアイドルの大ファンになりました。娘は、その推しのグッズを買ったりイベントに行ったりと、「推し活」をすることで以前に比べて活動的になり、Aさんは少し安心しました。
やがて、娘の送り迎えなどをするうちに、妻も一緒に推しを応援するようになりました。ドラマやライブの映像をリビングのテレビで見たり、グッズを開封したり……。最初はAさんも、「娘との接点ができてよかったな」「妻も趣味ができて悪くない」と思っていました。
ところが、それが徐々にエスカレートしていったのです。
推し活にのめりこむ妻と娘
最初はアクリルスタンドやキーホルダーといったグッズをいくつか買う程度でしたが、気がつけばリビングにはTシャツやパーカー、ぬいぐるみの山ができて、写真集や雑誌が積まれています。冷蔵庫もトイレの壁も「推し」のポスターで埋まり、ついには仏壇の横にもミニキャラのぬいぐるみが並べられました。家中が推しのグッズであふれ、Aさんの居場所はどんどん縮小していきました。
それだけではありません。「推し活」で忙しくなった妻は家事をしなくなり、食事はスーパーのお総菜やコンビニの弁当が増え、洗濯物は取り込まなくなってきました。
妻と娘は推しのイベントやファン同士の集まりで全国各地へ行くようになり、時には海外まで足を延ばしました。その間、Aさんは自宅で一人、自炊と仕事の日々です。