「生成AIのある時代に英語を学ぶ意味ある?」そんな声を尻目に超速で英語ペラペラになれる中高年の特徴
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急速に浸透する生成AIによって、私たちの生活は大きく変わりつつある。NHK国際放送局の貴島通夫さんは「定年前後の世代にとって、生成AIの登場は、従来の英語の学び方を劇的に変えるものである」という――。 ※本稿は、貴島通夫『今からでも遅くない!60代からの英語学び直し術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
『ドラえもん』のひみつ道具が現実になった
小学生の頃、初めて『ドラえもん』を読んだときのことを覚えていますか? 小学館のてんとう虫コミックスの第1巻が発売されたのが1974年。定年前後の方なら、あのときの感動を覚えておられると思います。
当時の私は、新たに刊行される単行本を読んでは、その斬新なストーリーに驚かされるばかりでした。「こんな道具が本当にあればいいなぁ」と、のび太がうらやましくなったのを昨日のことのように覚えています。さらに夢は膨らみ、自分なりに「こういう道具があれば人生最高なのになぁ」と妄想する毎日でした。みなさんはどうでしたか?
「英語の現在完了や過去完了が苦手。英語が嫌いな生徒でもわかるように解説して」
「このテーマを英語で簡潔にレポートにしてみて」
「この英語の長文をわかりやすく日本語に訳してみて」
「来週アメリカ人の友達が日本に来るのだけど、英語で家族をどう紹介したらいい? 気の利いた英会話の表現を教えて」
こんな問いかけをすると、秒で答えを出してくれる。そんな道具があればなぁと思ったことはないですか?
「どこでもAI」、生成AIの社会実装が進んでいる
あれから50年。もはや夢ではありません。「ChatGPT」「Claude」「Gemini」「Coopilot」「Perplexity AI」「Llama」などに代表される対話型生成AIは、日進月歩どころか、秒進分歩の勢いで進化し続けています。PCやスマホなど身近な機器に組み込まれ、「どこへ行ってもAI」という、AIの社会実装が当たり前の時代が近づきつつあるのです。
2024年5月、アメリカのオープンAIは「ChatGPT-4o」を公開し、再び世界を驚愕させました。4oの「o」とは、omni(オムニ)の頭文字で、「すべて、全方位」という意味です。従来型とは違って、「ChatGPT-4o」では、テキスト、音声、画像を組み合わせてリアルタイムで情報を処理することが可能となりました。
これはマルチモーダルと呼ばれ、生成AIの理解力のみならず、処理速度も大幅に向上し、生成AIがより自然に人間と会話ができるようになったことを示します。まさにゲームチェンジャーです。
AIからの返事も、人間同士並みの速さで返ってきます。情報処理の遅延で会話が途切れることもなくなりました。さらに、冗談を交えた打ち返し、感情を込めた受け応え、絶妙な“間”の取り方。もはや人間顔負けのコミュニケーション力です。