「経営の神様」松下幸之助も稲盛和夫も大切にしていた…100年続く企業の経営者に共通する"たった一つのこと"
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長く続く会社は何が違うのか。税理士の山下明宏さんは「『経営の神様』と呼ばれる2人の経営者、松下幸之助氏と稲盛和夫氏が、共通して大切にしていたことがある。それは、会計力だ」という――。 ※本稿は、山下明宏『稼ぐ力は会計で決まる』(幻冬舎)の一部を抜粋・再編集したものです。
経営には3つの道がある
かつて「経営の神様」と呼ばれた松下電器(現在のパナソニック)の創業者・松下幸之助さんは、経営には「王道」「覇道」「邪道」という3つの道があると説きました。
松下さんの見立てによれば、世の中の90%の会社は「覇道の経営」を行っています。社会貢献などは考えず、従業員の幸福を犠牲にしてでも、ひたすら自社の利益を追求するような経営です。
それより悪いのは、社会のルールさえ守らずにお金儲けだけを考える「邪道の経営」ですが、こちらは全体の5%程度。残りの5%が、もっとも望ましい「王道の経営」です。
では、「王道の経営」とは何か。それについて松下さんはこんな言葉を遺しました。
宇宙根源の法則に則った経営こそ王道や。
さすがに、「神様」の言葉は深遠です。「宇宙根源の法則」といわれても、あまりに深遠すぎて、ふつうの人間にはすぐには飲み込めません。
「宇宙根源の法則」とは何なのか
しかし、やはり「経営の神様」と崇める人の多い京セラの創業者・稲盛和夫さんも、著書の中で同じようなことをおっしゃっています(『「成功」と「失敗」の法則』致知出版社)。
私は、この宇宙には、すべての生きとし生けるものを、善き方向に活かそうとする「宇宙の意志」が流れていると考えています。その善き方向に心を向けて、ただひたむきに努力を重ねていけば、必ず素晴らしい未来へと導かれていくようになっている……と思うのです。
宇宙根源の法則に、宇宙の意志。日本を代表する2人の偉大な経営者がおっしゃるのですから、企業経営には何か目に見えない不思議な力が強く作用しているのでしょう。その不思議な力を味方につけられるかどうかが、堂々たる「王道の経営」を実現するためのポイントなのだろうと思います。