「最近仕事で困っていることは?」と聞くのは三流…部下の本音を引き出せる一流上司が繰り出す最初の質問
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部下に慕われる上司は部下とどのようなコミュニケーションをとっているのか。行動科学マネジメント研究所所長の石田淳さんは「部下と距離を縮めるには、上司からプライベートの話をすること、部下の話をしっかりと聞くことが大切だ。部下の話を聞く際には質問の順番に注意が必要だ」という――。 ※本稿は、石田淳『【新版】教える技術 行動科学を使ってできる人が育つ!』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
心理的安全性を作る
新入社員や中途入社の社員、他部署からの異動メンバーなど、職場に新たに加わった人材と信頼関係を築くために、大切なことは何だと思いますか?
それは「いきなり仕事の話をしてはいけない」ということ。
仕事上でパートナーとなる人と関係を築く最初の段階で必要なのは、“安心して仕事の話ができる土台づくり”をしておくことです。つまり、心理的安全性を作ることです。
土台づくりの方法はいたって簡単。プライベートの話をすればいいのです。
たとえば趣味の話とか、休日の過ごし方とか、その程度のことでかまいません。自分との共通点が見つかればお互いの距離がぐっと縮まるでしょうし、たとえ共通点が見つからなくても、間違いなくその人に対する親近感がわきます。
「この人は信用できるのだろうか?」「うまくやっていけるかな?」といった不安を抱えた状態と、「頼りにしてもよさそうだ」「私に心を開いてくれているなぁ」という安心感・親近感がある状態。
どちらの状態のときに、教える、教えられる、という行為がスムーズに運ぶのかは、あらためて言うまでもないでしょう。
話す内容は「ごく普通のこと」でOK
かつての日本企業では、仕事とプライベートの線引きがとても曖昧でした。
朝出社したら始業前にちょっとした世間話をし、昼になったら社員食堂で一緒に食事。残業をこなしたあとは毎晩のようにお酒を酌み交わし、週末になると部下が上司の家に遊びに行く。ときには家族ぐるみでどこかに出かけることも……。そんな交流が、決して珍しいものではなかったのです。
しかし近年では、年始の挨拶をするために部下が上司の家を訪ねるなんてことはもちろん、お中元やお歳暮のやりとりすらなくなってしまいました。
このように安心して仕事の話ができる土台づくりが、自然にできる環境ではなくなってしまった現在、信頼関係の構築には意識的なはたらきかけが必要だということです。
前述の通り、話す内容はごく普通のことでかまいません。
あなた「昨日のサッカー見たか?」
部下「日本代表の試合ですよね? 見ましたよ。課長もサッカーお好きなんですか?」
あなた「中学・高校はサッカー部だったんだよ」
部下「あ、そうなんですか! ポジションはどこだったんですか?」
あなた「ディフェンスだったんだ」
部下「えっ意外⁉」
こんなふうに話が弾めば理想的です。もしも少々ぎこちない会話になっても、あなたが誠意と興味を持って部下に接していれば、必ず二人の距離が縮まります。
まずは仕事の話ではなく、プライベートな話題を。
この鉄則を、お忘れなく。