ボスの会食のため「一見さんお断り店」の予約枠もこじ開ける…上級秘書が行う心を震わせるレストラン予約術

ボスの会食のため「一見さんお断り店」の予約枠もこじ開ける…上級秘書が行う心を震わせるレストラン予約術

エグゼクティブの重要な会食のために必要な、一流レストランや予約困難店の予約を、役員秘書はどうやって取り付けているのか。商談成功のための細やかな業務を行い、表には決して出ることのない上級秘書に、ジャーナリストの村上敬さんが訊いた――。(後編/全2回)

ミシュランの三ツ星が喜ばれるとは限らない

前編からつづく)

ミシュラン三ツ星を獲得して予約困難店として知られる南麻布の「茶禅華」と、ホテルオークラの開業と同時の1962年にオープンし、歴代VIPに愛用されてきた広東料理「桃花林」。高級中国料理として都内トップランクの両店だが、接待に使うならどちらのお店を選ぶべきだろうか。

価格帯は「茶禅華」がやや上。シェフは日本料理の名店でも修行経験があり、日本の食材を活かした上質な中国料理が楽しめる。一方、「桃花林」は伝統的な広東料理。総料理長が黄綬褒章を受賞した折り紙付きの名店である。どちらも甲乙つけがたいが、外資系企業で社長秘書を務める小川恵梨香さん(仮名)が接待の店選びで迷うことはない。どちらが上かではなく、招くゲストに合わせて選ぶからだ。

とはいえ、相手の好みに合わせるという単純な選び方ではない。上級秘書が狙うのは、相手の心に小さなサプライズを起こすことだ。

「ゲストが流行のお店を好むタイプならむしろクラシカルな店を、逆に定番の店で接待を受けることが多い方なら最先端のお店を選びます。ゲストがよく通うタイプの店を選ぶと、すでにご自身で行かれた可能性が高い。未訪問でも、その方が詳しいジャンルだと期待値を超えるのは簡単ではありません。私なら、あえて先方に馴染みがない店をアレンジしますね。

中国料理にするなら、グルメ情報に敏感な方にはあえて老舗の『桃花林』、逆に定番店がお好きな方には『茶禅華』をアレンジして、いつもと違う雰囲気や味を味わっていただきたい。それでゲストの心に会社や上司の印象を残すことができれば、秘書として大成功です」

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※写真はイメージです

ゲストの好き嫌いは事前に問い合わせる

小川さんは職務歴十数年のベテラン上級秘書。外資系企業で、部長級から経営トップまで、約10人のエグゼクティブを陰で支えてきた。会食のアレンジは重要な仕事の一つで、これまで絶妙な店選びで上司の接待をサポートしてきた。前編では接待に使える店のチェック方法などを紹介したが、理想のアレンジをするには、事前に店側だけでなくゲスト情報も収集する必要がある。ゲストの好みやキャラクターがわかってこそ、冒頭に紹介したようなテクニックを駆使できるのだ。

では、会食する相手の情報をどうやって入手するのか。上級秘書の場合、まず正攻法で相手の秘書に話を聞くという。エグゼクティブの会食相手は、やはりエグゼクティブ。向こうにも秘書がついていることがほとんどで、お互いに情報交換することに抵抗はない。

「ある高級ブランドの海外本社トップは日本のお寿司がお好きです。ただ、日本酒は口に合わず、お酒はワインだけ。一流店でもワインを幅広くそろえるお寿司屋さんは限られていますが、ゲスト側のアシスタントから教えていただき、なんとか条件を満たすお店をアレンジできました」

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2025.05.17

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