お金をかけずに「頭のいい子」が育つ…東大生が明かす「頭のいい子が育つ家庭」に共通する"幼少期からの習慣"
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頭のいい子が育つ家庭は、何が違うのか。東大生作家の西岡壱誠さんは「東大生に聞いてみると、自然と親子でニュースに触れている家庭が多い。今後の大学入試の傾向を踏まえても、ぜひ実践してほしいことがある」という。西岡さんと東大カルペ・ディエムの共著『東大生が読み解く ニュースが1冊でわかる本 2025年版』(TAC出版)の一部を再編集して紹介する――。
入試に「時事ネタ」が増えている
近年、入試問題でいわゆる「時事ネタ」が出題されるケースが増えています。ニュースで話題になった事項が題材として用いられていたり、出題テーマになっていたり……。中にはニュースを見ていれば直接答えがわかるような出題もあります。
2025年1月の大学入学共通テストでも、実に多くの「時事ネタ」が出題されました。例えば地理総合の第4問では、「ファブレス企業」の経営構造を示した図をもとに答える問題が出題されたのですが、みなさんは「ファブレス企業」と聞いて、どんな企業かすぐにイメージがつきますか?
地理を勉強してきた受験生は触れたことがあるだろう用語なのですが、「ファブレス企業」とは、自社で生産設備を保有せず、製造を100%外注先に委託している企業のことです。工場などの施設(fabrication facility)を持たない(-less)という意味で、「ファブレス(fabless)」と表現されています。日本の代表的なファブレス企業としては、任天堂やユニクロ、無印良品などが挙げられます。
ファブレス企業の大きなメリットとして、企画・経営といった部門に自社の経営資源を集中投下できること、新製品の企画・開発を柔軟に行えること、複数の生産工場に依頼することでサプライチェーンのリスクを分散できることなどがあります。一方で、製造に関するノウハウが蓄積しにくいこと、納期や品質の管理が難しいこと、あるいは情報漏洩のリスクがあることなどのデメリットもあります。
国語でも数学でも“観光”の問題が出た
この「ファブレス企業」は教科書にも収録されていますが、日頃から新聞や報道番組などに触れている受験生であれば、教科書でわざわざ暗記するまでもない概念だったかもしれません。
他にも地理総合では、原発の地位低下やインバウンド増加など、日本社会の動向に関する統計問題が出題されました。公共の倫理では男女共同参画社会に関して、政治・経済では労働問題について、それぞれ出題されています。
また、時事ネタの出題は社会科に限った話ではありません。例えば国語では、「観光」をテーマとする評論文が出題されました。コロナ禍の終息と円安の影響を受けて訪日観光客が急激に増加しており、昨今では現地のキャパシティを超えて観光客が訪れる「オーバーツーリズム」などが問題視されているため、確かに今年は「観光」というものを今一度考え直すタイミングであったと思います。
訪日観光客数の増加は、数学1の統計問題で外国人宿泊者数に関する統計が扱われたり、今年から新設された情報の第4問で地方別・都道府県別の旅行者数に関するデータが扱われたりと、今年度の共通テストの中で繰り返し登場していました。それだけ重要視されていたニュースだということなのかもしれません。