ロシア・中国・北朝鮮に囲まれた日本は絶体絶命…トランプ2.0のウクライナ支援"撤退"がもたらす窮地

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トランプ次期大統領が公約を実行すべく、着々と主要な人事を次々に決めている。ジャーナリストの此花わかさんがウクライナやイスラエルなどの国際情勢や、移民政策やLGBTQ+といった国内の課題においてトランプ2.0政権がどんな狙いを持っているのか、そしてそれが日本にどんな影響を及ぼすのかを国内外の専門家に取材した――。(後編/全2回)

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※写真はイメージです

トランプ政権2.0は、1.0とは本質的に異なると多くの研究者が指摘している。「またトラ」と呼ばれる第2次政権の人事を見ると、その政策の変化や継続性が浮き彫りになる。

国内外の専門家への取材をもとに、前編で取り上げたインド太平洋地域の政策に加え、後編ではウクライナやイスラエル、そして移民政策やLGBTQ+などのアメリカ国内の議論を紐解き、トランプ2.0政権の狙いを明らかにする。

イスラエルの信頼をアメリカは取り戻せるか

トランプ2.0はこれまでの政権移譲に中東政策に重点を置くと見られている。2020年にトランプ1.0の仲介で実現したイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンなどの国交正常化「アブラハム合意」。この合意はトランプ2.0でも重要な位置を占めるだろう。

「アブラハム合意」はイランの影響力を封じ込める戦略の一環として進められてきた。「トランプ政権は、この合意をさらに強化し、イスラエルとアラブ諸国の協力を一層進めていく」と国際基督教大学教養学部政治学科のスティーブン・ナギ教授は分析する。

また、すでにマイク・ハッカビー氏が駐イスラエル米国大使に指名されたことには宗教的要因もあるという。

「ユダヤ国家の最も強い支持者であり、キリスト教福音派であるハッカビー氏を指名することで、アメリカのキリスト教福音派をトランプ2.0の保守的アジェンダに組み入れようとしている。福音派にとって、これはキリストの再臨がイスラエルで起こるという信念を裏付けるものだ。アメリカがイスラエルを近隣諸国から守ることで、この信念が現実のものとなる」

一方、ハドソン研究所研究員である長尾賢博士は、アメリカがバイデン政権下で失ったイスラエルの信頼を取り戻す人事だ、と評する。

「2023年10月7日のハマスによる大規模テロが起きたとき、バイデン政権は『怒りに身を任せてはならない』という『お小言路線』の軍事作戦の抑制を主張し、イスラエルからの信頼を失った」

トランプ2.0は、イスラエル寄りの姿勢を強調し、親イスラエル派であるハッカビー氏を起用することで、アメリカの中東政策に新たな方向性を打ち出すのではないのだろうか。

中東の安定は、日本にとっても重要だ。

中東の安定がアメリカの対中国戦略に直結し、日米同盟の枠組みにも影響を及ぼすからである。長尾博士は、「本来はインド太平洋に展開するべき空母が、中東に派遣されている状態だ。中国の台湾侵略を抑止する戦力を確保するためにも、中東情勢の安定化が必要になっている」と説明する。同時に、アメリカにとって頼みの綱だったサウジアラビアが中国の仲介を元にイランとの交渉を始めている状況には疑問を呈する。

「イスラエルとサウジアラビアの国境正常化を進め、イスラエルを守りながらイランを封じ込め、アメリカは中東からできる限り撤退して対中国戦略に集中する、といった路線に現実味があるのか疑問が残る」(長尾博士)

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2024.11.30

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