「てりたまバーガー」「大人様ランチ」…繁盛店が投入する"季節感のない"期間限定メニューの本当の意図
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小さな飲食店が値上げをしようとするとき、メニュー全体の価格を上げる以外にどんな方法があるのか。飲食店を専門とする中小企業診断士の難波三郎さんは「期間限定商品として高価格帯の商品を加えるという方法もある。これは多くのチェーン店が行っており、大きく8つのメリットがある」という――。(第3回/全3回) ※本稿は、難波三郎『小さな飲食店のお客が減らない値上げ』(秀和システム)の一部を再編集したものです。
客単価をどう伸ばすか
値上げは2段階、そして2階層で行うべきだと考えています。まずは仕入れ代、人件費、光熱費など、増えた経費をまかなえるように、全体の値上げを行う。
そして2段階(2階層)目が、高価格帯の商品を加えることです。これを、期間限定商品としてとりあえずやってみる方法です。
チェーン店の例を交えながら、そのメリットを8つ紹介します。
メリット①失敗してもいい
グランドメニューの中に、新たな商品を加えるのは勇気がいります。しかし、期間限定商品であれば、失敗したらやめて、次の商品と交換すればすみます。
期間限定商品と書きましたが、その期間を書かずに始めるといいでしょう。
また、ヒットしても一定の期間が来たら、次の商品と交換しましょう。
これを繰り返すうちに、商品企画と試作、ネーミング、宣伝といった流れがわかってきて、実力と自信がついてきます。
私は2006年に『メニューが飲食店を救う!』という本を出版しました。そのため、いただくお仕事はメニュー関連ばかりでした。
上場企業から「季節メニューの商品企画を手伝ってほしい」という依頼を受けたこともあります。
100店舗を超える企業だったので、かなりプレッシャーを感じました。
しかし、そんな気持ちはすぐになくなりました。担当チームの皆が、「全部ヒットするわけではない」と知っていたからです。
このお店は居酒屋でしたが、季節メニューを年に80アイテム以上も作っていたため、失敗もヒットもあるし、いろんなアイディアを出してチャレンジすることだけが重要だと知っていたのです。あなたにも、気楽に始めていただきたいです。
メリット②利益額が増える
お店の売上は、「客単価×客数」です。平均より高価格帯の商品を加えて売れれば、客単価が上がって利益額が増えます。
「でも、値上げして客数が減ったら、利益額は減るのでは?」といった心配は、いりません。
なぜなら、高価格帯の商品を食べないお客は、来なくなるわけではなく、いつもの商品を食べに来てくれるので、客数は減らないからです。