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保存した母乳の飲ませ方の手順と保存期間
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
母乳育児をしているママは、自分が病気になったときや、仕事復帰を考えて搾乳した母乳は冷蔵庫や冷凍庫で保存することができるのか気になっている人もいるかもしれません。冷凍保存と冷蔵保存それぞれの特徴と飲ませ方と何時間保存が可能なのか保存時間についてご紹介します。
母乳は保存できる?
母乳を保存できると、ママが感染症などにかかったときや薬を飲んでいるときは、母乳に細菌やウイルス、薬が混ざる可能性があります。
ママが感染症にかかったときや、仕事に復帰したなどのときには赤ちゃんにすぐに母乳をあげられないケースもでてきます。
母乳を保存しておけば、保存した母乳を保育園や家族に預けて赤ちゃんに飲ませることができて便利です。
母乳の保存の仕方や保存した母乳の飲ませ方、保存期間について詳しくみていきましょう。
冷凍保存
母乳を冷凍保存したときの特徴と飲ませ方をご紹介します。
冷凍保存の特徴
赤ちゃんがおっぱいを飲む量より、母乳の出がよいときには冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存は、約3カ月程度の長期保存ができるのが特徴です。
母乳を冷凍保存するときに便利なフリーザーパックは、母乳を解凍して哺乳瓶に移しかえるときにパックの内側に指で触れない作りになっているので、衛生面も安心して使えます。
パックに母乳を入れすぎると、冷凍時に膨らんで壊れてしまう恐れがあるので、パックの4分の3程度で入れることがポイントです。
冷凍庫の中で保存するときには、フリーザーパックは立てずに平らにして寝かせることが大事です。
冷凍保存した場合の飲ませ方
冷凍保存した母乳を飲ませる前日に冷蔵庫で解凍します。流水で解凍してもよいです。
飲ませる直前に人肌程度のぬるま湯で温めます。
熱湯や電子レンジを使って解凍すると、母乳のビタミンやミネラルなどの免疫物質が失われて母乳の性質を変えてしまう可能性があります。また、電子レンジは均等に母乳があたたかくならない場合もあるので、赤ちゃんがやけどをしてしまうかもしれません。
母乳の解凍には、電子レンジを使わないように注意が必要です。
解凍した母乳を赤ちゃんに飲ませて全部飲めなかったときには、母乳は再冷凍はせずに余った母乳は衛生面を考えて処分しましょう。
冷蔵保存
母乳を冷蔵保存したときの特徴と飲ませ方をご紹介します。
冷蔵保存の特徴
母乳の冷蔵保存は、家庭用冷蔵庫で24時間まで保存できます。使わなかった母乳は搾乳した当日であれば冷凍保存できます。
冷蔵保存は、短期間の保存に適しています。冷蔵保存するときには、冷蔵保存用の哺乳瓶キャップつけることをおすすめします。
家庭用の冷蔵庫は冷蔵庫の開け閉めが頻繁に行われるため手前側に保存すると、開閉のたびに外の高い温度が触れてしまうため、母乳の成分が変化してしまう可能性があります。なるべく冷蔵庫の奥に保存するようにしましょう。
冷蔵保存をした場合の飲ませ方
冷蔵庫から取り出したら、37度程度の人肌程度のぬるま湯で温めます。
冷蔵保存から母乳を取り出すと、脂肪分が分離しているかもしれませんが、水と脂肪は分離するため、分離していること自体は問題がないので、軽く振ったり、優しくかきまぜてから飲ませるようにしましょう。
冷凍・冷蔵保存が望ましい保存時間
母乳の冷凍保存と冷蔵保存ができる保存期間について解説します。
冷凍保存
搾乳した母乳は、-18℃程度の冷凍庫でフリーザーパックを使用して冷凍保存した場合、6カ月保存ができますが、自宅で搾乳して保存する場合は、3カ月を目安に赤ちゃんに与えるようにしましょう。
冷凍した母乳は、免疫物質や成分はほとんど変わりませんが、なるべく早めに与えることをおすすめします。
すぐに冷凍保存ができない場合、常温に何時間置いておいも大丈夫なのか気になるママもいるでしょう。25℃程度の室温に4時間置いてあったところから冷凍庫に移すのであれば細菌の数などに差はほとんどありません。
冷蔵保存
4℃以下の冷蔵庫で冷蔵保存した場合は4~5日以内に与えるようにしましょう。
時間が経つにつれて、母乳の栄養分や免疫物質が損なわれやすいため、なるべく早く与えることをおすすめします。
冷蔵庫で解凍した母乳は24時間以内に与えるようにしましょう。
もしも、すぐに冷凍保存ができない状況のときには、72時間冷蔵保存したあとに冷凍庫に移して冷凍保存をしても母乳の成分に変わりはありません。
正しい母乳の保存方法を知ることが大事
母乳は冷凍庫や冷蔵庫で冷凍保存、冷蔵保存が可能です。
母乳を保存できるとママが病気になったときや仕事復帰をして昼間に母乳をあげられない環境でも母乳をあげられます。
冷凍保存は長持ちし、冷蔵保存は時間をかけずにすぐに赤ちゃんにあげられるよさがあります。冷凍保存と冷蔵保存で保存できる期間が変わってくるため、正しい保存の仕方を知って保存期間を守れば、免疫物質や成分はほとんど変わりません。
母乳を温めるときに便利だからといって熱湯や電子レンジを使用すると、母乳に含まれるビタミンやミネラルなどの免疫物質が失われて母乳の性質を変えてしまったり、赤ちゃんがやけどをする恐れがあるので、流水で流したり、冷蔵庫で解凍するのを待つことが大切です。
正しい母乳の保存方法を知り、子育てに役立てましょう。
監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
Profile
杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。