出産を控えている妊婦の方へ。費用を補助してくれる制度について学ぶ

出産を控えている妊婦の方へ。費用を補助してくれる制度について学ぶ

2017.10.05

妊娠が分かったとき、とても幸せな気持ちになると同時に出産費用についての不安や疑問を持つ妊婦は多いもの。特に貯金が少ない場合、不安は大きくなりがちです。そんな悩める妊婦に知ってもらいたいのが、出産費用を補助してくれる制度の存在。ここでは高額になりがちな出産費用を補助してくれる、頼もしい制度についてご紹介します。

出産費用を補助してくれる制度

出産育児一時金を受け取るために必要な条件

出産費用は「治療行為」ではないため、高額になりがち。そんな出産費用を大きく助ける役割を担っているのが、子ども1人につき42万円が支給される「出産育児一時金制度」です。この制度を利用する条件として、下記2点が挙げられます。


・健康保険や国民健康保険の被保険者または被扶養者であること

・妊娠4カ月以上で出産すること


とても心強い制度なので、事前に確認しておきましょう。

出産育児一時金の制度を利用するためには

手続きの流れ

出産育児一時金制度を利用するには、出産の前に申請の手続きが必要です。

共働きの夫婦の場合は、妻か夫のいずれかの健康保険組合に申請をすることになります。組合によっては42万円以上の金額が支給される「付加給付金」がある場合も。まずは夫婦それぞれが加入している健康保険組合に問い合わせてみましょう。

妊婦が専業主婦の場合や、保険組合から脱退後半年以上経過をしているケースでは、夫の健康保険組合に申請することになります。

また自営業者など、夫が健康保険組合に加入していない場合は国民健康保険から一時金が支給されるため、住んでいる自治体の役所で申請手続きが必要です。


申請の際に必要なもの

受給申請のために必要な用紙は、加入している健康保険組合によって異なります。押印欄がある申請書が多いため、印鑑を準備しておくと安心です。

また分娩を行う医療機関の窓口で保険証の提示が必要なため、申請時にはこちらも忘れずに持参しましょう。

出産育児一時金の受給方法は?

直接支払い制度

あらかじめ出産一時金の受取にかかる代理契約(申請手続き)を交わすことで、出産一時金の請求や受取を医療機関が妊婦に変わって行うのが「直接支払い制度」です。この制度を利用すると、健康保険組合から医療機関に直接出産一時金が支払われます。

入院費用が出産一時金を超えている場合は、退院時にその差額を支払いましょう。また、入院費用が42万円未満の場合、差額申請を行うことで差額費用が受け取れます。国内において、多くの分娩機関が採用している制度です。


受取代理制度

「受取代理制度」は、医療機関が作成した受取代理申請書を妊婦が健康保険組合にあらかじめ提出することで、医療機関が直接出産一時金を受け取る制度です。


年間の平均分娩取扱い件数が少なく、厚生労働省にあらかじめ届け出ている分娩機関がこの制度を採用しています。


2つの受け取り制度のうち、どちらを採用しているかは出産を予定している分娩機関に尋ねてみましょう。

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知らないと損する!高額療養費について

出産

高額療養費制度とは

切迫早産や帝王切開など、妊娠・出産中にトラブルが起こると自己負担額が高額になりがち。そんなケースで頼りになるのが「高額療養費制度」です。

この制度は健康保険が適用される治療をした人のうち、ひと月(月初から月末まで)にかかった金額が月額上限額を超えた場合に、その超えた金額を払い戻してもらえるというものです。

月額上限額は年収や所得によって異なりますが、世帯年収が370万~770万円の妊婦の場合、「80,100円+(総医療費-267,000)×1%」が月額上限額となります。


つまり、ひと月の医療費が267,000円以内であれば、80,100円の支払いで済むのです。


念のため、妊娠初期のうちに自身の月額上限額を確認しておくと安心できるでしょう。


高額療養費の受給資格

高額療養費制度を利用するためには、妊婦が健康保険や国民健康保険の被保険者または被扶養者である必要があります。


受給のための申請方法

高額療養費を受給するためには、加入している健康保険組合や国民健康保険などに、支給申請書を提出または郵送することが必要です。

健康保険組合によって申請の用紙が異なるので、まずは各健康保険組合の窓口に問い合わせてみましょう。国民健康保険に加入している場合は、市町村の役場が申請窓口です。

申請を失念すると、払い戻しは受けられないため、手続きは確実に行いましょう。

健康保険が適用となる症状とは?

健康保険が適用となる症状

通常、妊娠や出産にかかる医療費は健康保険の適用外。しかし、トラブルのあるケースでは「治療行為」が取られるため、健康保険が適用されます。

では、どのようなケースで健康保険が適用になるのでしょうか?チェックしてみましょう。

妊娠中に起こるトラブルとしてあげられるのは、


つわり(重症妊娠悪阻)や切迫早産、妊娠高血圧症候群などです。


また、出産や入院中に起こるトラブルのうち健康保険が適用されるケースとして、微弱陣痛での陣痛促進剤の使用、吸引分娩、止血用の点滴、帝王切開、無痛分娩の麻酔などがあります。


健康保険が適用されるメリット

健康保険が適用されると、医療費の自己負担割合が3割になるだけでなく、「高額療養費制度の対象になる」というメリットがあります。これはとても嬉しいものです。


健康保険適用の症例か、確認する方法

健康保険が適用されているか確認したい時は、領収書を見てみましょう。「一部負担金」の項目に記載されている金額は、健康保険が適用されています。

差額ベッド代や入院時における食事負担額などの「保険負担外分」に記載されている金額は、健康保険の対象外です。また治療を受ける前に、お医者さんに健康保険が適用されるかどうか確認するのも良いですね。

出産費用の補助制度をもれなく利用しよう!

パソコンで調べる女性

出産にかかる費用は高額になりがちですが、その多くは出産育児一時金で補うことが可能です。また切迫早産で長期入院が必要となるような場合でも、高額療養費制度を使えば、入院費用は抑えられます。

申請などの手続きを事前に確認して、活用できる制度はしっかり利用して、少しでも出産費用の負担を軽くしましょう。

2017.10.05

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