新生児科医ふらいと先生のお悩み相談室④熱性けいれん(ひきつけ)を起こしたときの対応
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小児科医/新生児科医
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新生児科医(新生児専門医)×公衆衛生(母性疫学の研究)。漫画『コウノドリ』取材協力、今橋先生の中の人、小児科専門医、小児医療ジャーナリスト、チャイルドリテラシー協会代表理事、みんパピ運営。母と子を通し社会問題を考える。
Twitterフォロワー10.8万人!漫画『コウノドリ』取材協力&今橋先生の中の人としておなじみの新生児科医・今西洋介先生に、乳児を育てるママや妊婦さんがいだきがちな不安をテーマにさまざまなお悩みに回答していただきます。
編集部:そう言っていただけて安心しました。でも、「熱性けいれん」という言葉は知っていても、初めてのときは「これが熱性けいれんなのか」といった判断ができないと思います。
そうですね。よく熱が出てぶるぶる震える「悪寒」を熱性けいれんと思い、救急車を呼んで来院されることがあるのですが、けいれんしているときにはまず、受け答えができません。
けいれんには特徴があって、目が上を向いて意識がなく、手足がつっぱった後にガクガクする「強直性(きょうちょくせい)けいれん」を起こすか「間代性(かんだいせい)けいれん」で力なく、だらんとなってピクピクするかのどちらかです。
とにかく、初めてのときは誰でも動揺すると思いますので救急車を呼ぶことが大事です。
その際に、「何分続いているか」や「どんな様子か」などをなるべく観察しておくことが大切です。数分で収まり、繰り返さない単純型のけいれんであれば、そこまで心配する必要はありません。但し、けいれんの時間が長い場合や何度も繰り返す場合には注意が必要です。
編集部:「熱性けいれん」で後遺症のようなものが残る場合があると聞きました。気を付けるべきことはありますか。
「熱性けいれん」になったからといってなんらかの後遺症が残るわけではありません。
熱性けいれんには、先にお知らせした「単純型」のほかに「複雑型」のタイプがあります。問題なのは、脳炎や脳症などの病気が引き起こす「複雑型熱性けいれん」です。
これはコロナ感染だけでなく、インフルエンザの流行でもあることです。インフルエンザ脳症が合併症を引き起こした結果、後遺症が残ってしまう例です。コロナ禍で特にオミクロン株流行時には熱性けいれんが増加しました。また、お子さんの発熱でコロナ陽性となる場合も多くありました。
仮に、陽性だったとしても激しい熱けいれんを起こしている場合や何度もけいれんを起こしている場合には迷わず救急車を呼んでください。
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ふらいと先生(今西洋介)
2022.06.15
高熱が「熱性けいれん」を引き起こすのですから、すべてがコロナ感染が原因ではありません。迷ったら救急車を呼んでもらってまったく問題ないと思います。初めて経験することで落ち着いて対応できる方はいないです。