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【小児科医監修】赤ちゃんに多いRSウイルスの予防対策。予防接種ワクチンの有無など
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上高田ちば整形外科・小児科 副院長/日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科医会 こどもの心相談医
上高田ちば整形外科・小児科 副院長/日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科医会 こどもの心相談医
上高田ちば整形外科・小児科 副院長。小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。
寒くなってくるとRSウイルスが地域や保育園、身近な友だちの間で流行り、我が子も感染するのではと心配なママもいるでしょう。赤ちゃんがかかりやすい病気、RSウイルスに感染しないためには予防対策が必要です。RSウイルスを予防するワクチンはあるのか、日常のなかで感染予防の対策をご紹介します。
RSウイルスとは
RSウイルス感染症とは、「RSウイルス」というウイルスが原因で感染する、乳幼児の代表的な呼吸器の病気です。
RSウイルス感染症の症状
・38~39℃程度の発熱
・鼻水
・咳
・喘息のような症状(ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴や、ひどいせき込み)
流行時期
RSウイルスは、例年秋から冬にかけて流行ります。特に11月~1月にかけての冬が感染のピークです。
かかりやすい年齢
RSウイルス感染症には、年齢問わず感染する可能性がありますが、特に乳幼児がかかると症状が強く出るりやすい病気で、2歳までにほとんどの子どもがかかるようです。
一般的に幼児に感染しても、風邪のような症状で治まることが多いのですが、6カ月未満の赤ちゃんが感染すると、重症化しやすく細気管支炎や肺炎などを引き起こし入院となる可能性もあり、注意が必要です。
RSウイルスのワクチンについて
予防接種のワクチンはありませんが、RSウイルスに効果がある抗体成分の注射薬があります。注射を打っても、RSウイルスの感染を確実には予防できませんが、万一、RSウイルスに感染した場合にも、重症化を防げることが多いようです。
ただし接種対象者は規定があり、専門家も以下のように話しています。
“
RSの予防接種はありません。早産のお子さんなどが毎月接種している抗体ならあります。
出典: AskDoctors
対象は次の通りです。
・早産児
・先天性疾患を持つ乳幼児
・慢性肺疾患を持つ乳幼児
・免疫不全を伴う乳幼児
・ダウン症の乳幼児
以上のような、RSウイルスに感染すると重症化しやすい乳幼児は、感染症から命を守るために注射薬を保険適応で接種することができますが、それ以外の乳幼児は適応外になります。
RSウイルスの予防法
RSウイルスの感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。RSウイルスには特効薬や健常児が受けられる予防接種ワクチンがないため、専門家も感染予防のために次のような助言をしています。
“
普段の風邪の予防が大事です。家族全員が手洗いうがいをきちんと行うこと、風邪をひいたらマスクするか、赤ちゃんに近づかないことです。母乳だとかかりにくいかもしれませんが、確実ではありません。
出典: AskDoctors
感染しないために、どのような予防対策ができるでしょうか。
手洗い、うがい
RSウイルスを体内に入れないように手洗い、うがいを徹底することが大切です。ドアノブや手すり、電車のつり革などにRSウイルスがついているかもしれません。ウイルスを触った手で鼻をかんだり、目をこする、咳やくしゃみをするときに手で覆うと体内に入り、RSウイルスに感染する原因になります。
石鹸を使って手洗い、うがいをし、手洗いのあとはアルコール消毒をすると、よりよいでしょう。
マスクの着用
RSウイルスは、咳やくしゃみなどで飛沫感染するので、マスクの着用を心がけましょう。
0~1歳の赤ちゃんがRSウイルスにかかったときには、大人も感染の可能性がありますので、ママやパパがマスクを着用して感染を予防してください。
消毒と除菌
RSウイルスは手や物を介して感染します。
RSウイルス感染者の触ったおもちゃや、ドアノブはアルコールや塩素系の消毒剤でこまめに消毒することで感染を未然に防げるかもしれません。
人ごみを回避する
特にRSウイルスが流行する、秋口から冬にかけては人ごみへの外出はなるべく避けるようにしましょう。
流行時期でなくても、人の多い場所へ行くときにはママやパパは必ずマスクを着用し、可能であれば赤ちゃんも子ども用のマスクを着用するなどの対策が必要です。
たばこの煙を避ける
たばこの煙はRSウイルスの気道の感染症を悪化させるリスク引き起こす可能性となる場合があります。赤ちゃんや子どもの前でたばこを吸うのは控え、外出先では禁煙席を選ぶなどの対策が大事です。
感染者と密な接触は避ける
RSウイルスは、接触感染でもうつるため、子どもがRSウイルスに感染したときにはキスなどくっついたり密な接触は避けましょう。家庭内であってもタオルや食器の共有をさけ、別々のものを用意するなどの配慮が必要です。感染者の食べ残しを口にするのもNGです。
手洗い、うがいの習慣をつけ、RSウイルス流行時には人ごみを避ける、マスクの着用などを意識をすることのほかにも、栄養バランスのとれた食事や、十分な睡眠など規則正しい生活で免疫維持を心がけましょう。
園での発信にも目を向ける
保育園や幼稚園で、RSウイルスなどの感染症が流行すると、園だよりや掲示、ホームページなどで感染症に注意のお知らせが発信されます。RSウイルスは感染力が強いので、園からのお知らせに注意を向けて、感染者が出たときには特に意識をして予防しましょう。
RSウイルスは日常の予防が大切
RSウイルスは、2歳までにほとんどの赤ちゃんがかかるといわれている病気ですが、予防ワクチンや一般的な特効薬などはありません。
そのため日頃の予防対策が大切です。日常生活での手洗い、うがいやマスクの着用、家の中の消毒や除菌など対策をすることで感染が防げるかもしれません。
発症の年齢が低いほど重症化しやすくなるため、RSウイルスの流行時期にはママやパパが意識して、積極的に予防対策を行うことが赤ちゃんをRSウイルスから守ることにつながります。
監修:千葉智子先生(上高田ちば整形外科・小児科 副院長)
Profile
千葉智子
上高田ちば整形外科・小児科 副院長。小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。
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