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【皮膚科医監修】赤ちゃん、子どもの虫刺されで病院は大げさ?受診の目安や処方薬など
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まみこ皮ふ科クリニック院長/日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
まみこ皮ふ科クリニック院長/日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
まみこ皮ふ科クリニック院長。平成5年宮崎医科大(現宮崎大学医学部)卒。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。患者様の皮膚の悩みが改善できるよう、向き合いながら、その方にあった最善の治療を行っている。地元で安心できる、かかりつけ皮膚科医を目指し、あたたかい診察を行なっている。
赤ちゃんや子どもが虫に刺されたとき、病院の受診が頭をよぎることもありますよね。虫刺されで受診なんて大げさだと思うかもしれませんが、症状によっては処方薬を使って治すことが大切です。子どもが刺されやすい虫の種類と特徴的な症状、虫刺されでは何科を受診するのか、受診の目安などをご紹介します。
子どもが刺されやすい虫の種類
子どもが刺されやすい虫の種類と刺されたときの症状の特徴を解説します。
蚊
蚊は最も一般的で、よく知られているでしょう。蚊に刺されると、すぐにかゆみを生じます。腫れの程度には個人差があるものの、患部が赤くなって腫れたり、水ぶくれになる場合もあります。蚊による虫刺されは、大人の場合腫れの症状のみで、すぐかゆみもひきますが、小さな子どもは2,3日のうちに腫れがひどくなることが多いのです。
これは虫の唾液腺物質に対するアレルギーがおこるためです。大人は刺された経験が多く、子どもに比べて症状が軽くなりがちですが、蚊に刺された経験が少ない子どもは症状が重くなりやすいのです。
イエダニ
イエダニに刺されると、赤くしこりのある発疹が複数できるのが特徴です。かゆみが強く、症状が10日以上続く場合もあります。体の内側にでることがおおく、寝ているときにさされます。家の外のドブネズミや野鳥に生息して排気口や換気口から入り込むといわれています。
ブユ(ブヨ)
ブユは山の中、渓流地に生息しているため、キャンプやバーベキューで刺される人が多いのです。ブユに刺されたときは、蚊と違いなにも感じません。おもにブユは、すねから下の部分を吸血します。数時間後にかゆみと腫れ、皮下出血が生じますが、時間がたつにつれて悪化するので、思い当たることがあれば、早めに必ず皮膚科を受診してください。ブユに刺されてから時間がた強く刺されたあとがしこりになって、治りが悪くなります。早めの受診をおすすめします。
ハチ
ハチに刺されると、強い痛みを伴い患部が赤くなります。初めてハチに刺されたときは、2、3日で症状が収まることが多いですが、2回目以降は、腫れがひどくなったり、ショック症状を引き起こす危険性があります。ハチに刺されたら病院を受診しましょう。
ムカデ
ムカデに刺された直後は、激しい痛みを伴い、そのあとにしびれを感じるのが特徴です。患部が赤く腫れます。まれにショック症状を引き起こすこともあります。
マダニ
マダニに刺されたときには、2~3日後にかゆみや軽度の痛みが出現、微熱が出る場合もあります。マダニはさまざまな感染症を引き起こしたり重症化する可能性もあるため注意が必要です。ただし都市部でマダニに刺されることはほとんどなく、森林や山といった場所やマダニが生息している、といった地方では注意が必要な害虫といえます。
虫刺されは何科を受診?
虫刺されで病院を受診するのは大げさかもしれないと迷うママもいるようです。しかし、赤ちゃんや子どもの虫刺されの場合、かゆみや腫れの症状が重かったり、痛みを伴う場合には病院を受診しましょう。その場合、何科を受診したらよいのでしょう。
症状が皮膚だけのときや、虫刺されの患部の数が少ないときには皮膚科を受診し、蜂やムカデに刺された、咳や呼吸困難などの全身症状がでているなどの場合には、救急外来や内科を受診するようにしましょう。子どもの年齢が低いときには、かかりつけの小児科でもよいです。
病院に行く目安
年齢の低い子どもは虫刺されの箇所が赤く腫れあがったり、内出血のようになることもあるものです。虫刺されではどの程度の、どのような症状がみられたら病院での受診が必要でしょうか。
我慢できないかゆみや痛み
かゆみが強いと我慢できず、かきむしった患部から細菌が入り込んで感染症を引き起こす可能性があるため、子どもがかゆみから患部をかき続けている姿が見られたり、とびひや傷のようになっていたら病院で早めに受診しましょう。
市販薬が効かない
虫刺されのケースでは、すぐに病院には行かずに、市販薬を使って様子を見る場合もあるでしょう。市販のかゆみ止めを使用し、5~6日程度経っても症状がよくならないときには病院に行きましょう。病院を診察し、症状に応じた薬を処方してもらった方が早く治せます。
症状が重症化
ハチやムカデなど毒性のある虫に刺されると、じんましんや呼吸困難、意識がなくなるなどの症状がみられることがあります。これを「アナフィラキシーショック」といいます。
子どもは大人よりも抵抗力が弱いので、子どもによっては体質などでアレルギー反応が強くでることもあります。かゆみや腫れだけでなく、上記のような症状が出ている場合はすぐに受診しましょう。
受診前の注意点
虫刺されで病院を受診する前に気をつけるべき注意点をご紹介します。
患部をかきむしらない
虫刺されの症状には、ほとんどの場合かゆみを伴います。子どもにとってかゆみを我慢することは、難しいかもしれません。しかし、患部をかきむしると細菌が入り込んで炎症が広がったり、感染症や重症化につながる可能性もあるので、患部はかきむしらないようにすることが大事です。
かゆみを我慢するのが難しいときには、タオルで包んだ保冷剤を使って患部を冷やすと一時的にかゆみが抑えられます。
ハチの針は抜く
ハチに刺されたときに針を刺が刺さったままだと、体の中に毒が入り込みます。まずは針を抜くことが大切です。
ハチの針は、手で抜くのはやめてピンセットなどで丁寧に抜きましょう。手で抜くと針を体の中に押し込んでしまい、体の中にもっと毒が入っていってしまう可能性があるからです。
ハチに刺されたら、まずは皮膚科を受診してください。
虫に刺されたときの処方薬
虫刺されで病院を受診すると、塗り薬を処方されるケースがほとんどです。虫刺されには抗ヒスタミン薬とステロイド薬を使用して治療することが多いです。
抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬はアレルギー症状を抑える薬です。抗ヒスタミン薬には、炎症を抑える効果はありませんが、かゆみを抑える成分が含まれています。
ステロイド薬
ステロイドには、かゆみを抑えて、赤みや腫れなどの症状を軽くする効果が期待できます。抗生物質入りのステロイド薬は、細菌の感染が広がるのを防ぐ効果があります。
なかには、抗ヒスタミン剤や抗炎症剤などの飲み薬でかゆみや炎症を抑える場合もあります。
早めの受診で正しい治療を
子どもの虫刺されで病院を受診するのは大げさかも、と受診を迷うママやパパもいるかもしれません。確かに虫刺されでも症状が一般的で自然治癒したり、市販薬を使って症状が回復するのであれば、病院を受診する必要はないでしょう。
しかし、間違った判断やホームケアで虫刺されを放っておくと、感染症のきっかけになったり、患部をかきむしったりして症状を悪化させてしまう場合もあります。かゆみが長く続いているような様子や、赤く腫れている、ただれているなどの症状を目安にして病院を受診するようにしましょう。
虫刺されで何科を受診したらよいのか迷ったときは、赤ちゃんの場合は、まずかかりつけの小児科を受診し、症状によって皮膚科や内科の受診を見きわめてもらうというのも、ひとつの手です。
刺された虫によって症状が異なるので、ただの虫刺されだと思って放置せずに、赤ちゃんや子どもの症状をよく見て、「早めの受診で正しい治療を」が大切です。
監修:桐谷 麻美子先生(まみ子皮ふ科クリニック)
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桐谷麻美子
まみこ皮ふ科クリニック院長。平成5年宮崎医科大(現宮崎大学医学部)卒。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。患者様の皮膚の悩みが改善できるよう、向き合いながら、その方にあった最善の治療を行っている。地元で安心できる、かかりつけ皮膚科医を目指し、あたたかい診察を行なっている。