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【小児科医監修】おむつかぶれの薬。病院で出される主な薬と新生児も使える種類
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赤ちゃんのお尻は皮膚が薄く、外からの刺激にダメージを受けやすいため、おむつかぶれになりやすいものです。おむつかぶれのときに病院から処方される薬の種類や新生児でも塗布できる薬と効能、使用する際の注意点を紹介します。また、すぐに病院を受診できないときの対応策についても解説します。
おむつかぶれの原因と症状
おむつかぶれの原因
赤ちゃんの肌は大人に比べ、皮膚を守る角質層が薄く、外からの刺激に弱いのが特徴です。さらに、おむつの中は汗や排泄物の水分で常に蒸れた状態になり、肌はよりいっそう敏感な状態になっています。
そこに赤ちゃんの肌にとって刺激となる、おしっこやうんちの成分と長時間接触することで、おむつかぶれが引き起こされます。
おむつかぶれの症状
おむつがあたる陰部やおしりの皮膚が赤くなったりブツブツができたり、ひどくなると皮膚がただれたり、むけることもあります。
ほかにも湿疹が広がっている、赤ちゃんがかゆがったり、痛がって泣くなどの症状がみられたら、早目に小児科や皮膚科で診てもらうことが必要です。
おむつかぶれのときに処方される薬の種類
おむつかぶれと診断されたとき、症状によって処方されることが多い薬の種類を紹介します。
保湿薬
おむつかぶれになりかけている、もしくはおむつかぶれ予備軍といった症状のときに処方されることが多いです。
新生児はおむつ替えの頻度も高く、おしりふきでお尻をふき取る頻度も多いでしょう。おしりふきで清潔にしたままの赤ちゃんのお尻の肌は、外の刺激からのバリアが無い状態です。保湿薬を塗ることで、おしりの表面を保護して肌を排泄物の刺激から守り、潤いを保ちます。
非ステロイド抗炎症薬
おむつかぶれの症状が軽い場合は、非ステロイドの薬を処方されることが多く見られます。基本的には症状が改善されるまで使用します。酸化亜鉛製剤は副作用が少なく、効果が高いためよく使われます。
一般的にはステロイド剤よりもおだやかな作用のものが多いですが、副作用がでることもあるので、使用する際は医師の判断に従って使うようにしましょう。
ステロイド薬
ステロイド剤はおむつかぶれのなかでも、皮膚がただれたり、赤みやかゆみなどの炎症が強いときに処方されます。炎症が治まったり、症状が鎮静化するまで使う薬です。
ステロイド剤は、おむつかぶれの症状があらわれている患部だけに塗るように注意しましょう。粘膜面などデリケートなところには使用しないようにしましょう。
すぐに受診できないときは
おむつかぶれを発見したのが、夜間や病院にすぐに行けないときは、まず患部をよく洗いましょう。患部をこすらないよう、タオルをやさしく押し当てるようにして水分をふき取ります。
その後、お尻を保護・保湿できるようなものを塗っておくとよいのですが、手元にないときの選び方や対応について詳しくみていきましょう。
過去の処方薬は使える?
過去に医者から処方された薬が残っていたら使ってよいのか迷う人もいるかもしれません。
塗り薬には使用期限が書かれていることが多いですが、使用期限は開封しなかった場合の期限です。一度開封すると中身が空気に触れて成分が変化しやすくなり、本来の薬の効果が薄れてしまい、品質が保証できなくなります。
薬によっては身体に害を及ぼす場合もあるため、使用期限の過ぎている薬を自己判断で赤ちゃんにつかうのは避けたほうがよいでしょう。どうしても、という場合には、処方を受けた医師に電話確認などができると良いでしょう。
市販薬の選び方と注意点
おむつかぶれの市販薬を使用する場合、薬剤師に相談してから購入するとよいでしょう。おむつかぶれの程度によって保湿剤、非ステロイド剤を購入すると良いでしょう。
ただし、あくまでも市販薬は受診するまでの「応急処置」と考えて使うようにしましょう。
おむつかぶれに使ってよい市販品は?
赤ちゃんのおむつかぶれに使用でき、ドラッグストアなどでも購入できるものを紹介します。
ワセリン
石油からできている「ワセリン」は、皮膚を害する危険性が少ないので新生児にも多用されます。炎症を和らげる作用はありませんが、排泄物などから肌を守る働きがあります。
馬油
「馬油」をおむつかぶれの赤ちゃんに塗ることがあります。「馬油」は皮膚の表面に塗ると炎症を抑え、赤ちゃんの肌を保護する役割を果たします。
新生児のおむつかぶれにも使ってよい?
ワセリンや馬油は基本的にはおむつかぶれに塗ってもOKですが、新生児の肌はとてもデリケートなので、おむつかぶれになったら、まず病院を受診し、そのうえで処方された薬を使ってください。
また、用法や用量もきちんと確認をし、守るようにしましょう。
処方薬でも症状悪化、完治しない場合は?
処方された薬を使っても症状が治らない場合は、おむつかぶれではなく別の皮膚トラブルの可能性があります。
なかでも、おむつかぶれと間違えやすいのが「カンジダ皮膚炎」です。カンジダ皮膚炎は、おむつかぶれで傷ついた皮膚からカビの一種である「カンジダ菌」が入り込んで感染し、炎症を起こすトラブルです。
赤いブツブツがでて、皮膚がただれるなどの症状がおむつかぶれと似ていますが、おむつが触れていない部分にも炎症が起こるのが特徴です。
一般的なおむつかぶれの薬で完治は難しく、抗真菌薬での治療が必要です。正しくケアしていても症状が治らず、悪化する場合はもう一度病院で受診した方が良いでしょう。
おむつかぶれには処方薬を使って早く完治させよう
赤ちゃん、とくに新生児は、大人よりも皮膚が薄く肌のバリア機能が弱いものです。おむつをしていると、肌の刺激となる成分と皮膚が長時間密着するので、おむつかぶれになりやすいのです。
さらに新生児の赤ちゃんはおしっこやうんちの頻度が多く、うんちに水分が多いので、おむつかぶれも広範囲に広がりやすいでしょう。より注意が必要かもしれません。
新生児に薬を使うのは抵抗があるママもいるかもしれませんが、おむつかぶれを悪化させないためにも「おむつかぶれかな」と思ったら早めに病院を受診しましょう。もし、処方された薬を塗っても治りづらい、悪化した場合は、他のトラブルの可能性が考えられます。できるだけ早めに再受診をするようにしてください。