「できない」を受け入れれば子育てはもっとラクになる!【木下ゆーき】

「できない」を受け入れれば子育てはもっとラクになる!【木下ゆーき】

SNSフォロワー数35万人以上の子育てインフルエンサーの木下ゆーき氏をお迎えしてお届けする「KIDSNA TALK」第3弾。今回は、「子どもの心をつかんだ遊び」「子育てあるある」「完璧を目指さない子育て」についてトークします。

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加藤
加藤

まず木下さんがお子さんにしてあげた遊びの中で、とくに反応がよかったものを教えてください。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

アンパンマンの人形を使って、ブランケットをかぶって踊るやつは、とくに楽しんでくれましたね。なにをやってるのかはよく分かってないと思うんですけど、本気で大人が舞を舞ってるのが面白いんじゃないでしょうか(笑)。子どもだけじゃなく、妻もすごく笑ってくれたのが嬉しかったですね。

加藤
加藤

動きを一発で形に出来るのがすごいですよね。遊びではありませんが、お子さんがご飯を食べないときに食べさせる方法もあげられていますよね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

とくにイヤイヤ期は食事中に他のことに気が向いてしまって、全然食べようとしない時がありますよね。そういう時、子どもが興味を示すもので一旦こちらを向かして、聞く体勢を作るみたいなことをいろいろ試した時期がありました。

たとえば、ご飯中に「じゃあクイズを始めます。クイズの内容何がいいですか?」と子どもに聞きます。そこで子どもが好きなジャンルでクイズを出題して、「正解したらプレゼントとしてご飯をあげます」と言うと、すごく食べてくれましたね。

遠回りしているようにみえますが、一回子どもが好きなものを経由すると、結果そっちの方が早かったりするんですよ。

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加藤
加藤

大道芸もそうですが、やっぱりエンターテイナーですよね。基本的にその場を楽しくしたり人を楽しませたりするのが好きだから、子どもも奥さんも楽しませようと自然にできるんでしょうね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

人を笑わせるのはすごく好きです。ただ子育てに関しては、大変すぎるからこそ、笑わなければやっていられないというのもあるかもしれない。大変な状況であればあるほど、振り返ったときにはめちゃくちゃいいエピソードになるじゃないですか。

だから僕は子育てで、「すごく大変だなー」と思った瞬間を、スマホにメモをとるようにしているんです。

喜怒哀楽で分けて、その時抱いた感情を書いておくと、あとあと振り返ったときに「こんなことしてたなー」と笑えてきたり、友だちと話した時にも「分かる!」と盛り上がったりするんですよ。

自分が過去に経験した大変だった思い出で、人を笑顔にすることができると分かったら、大変なときにも「よし!エピソードゲット」と思えるようになります(笑)。メモはおすすめです。

加藤
加藤

ところどころは覚えてても、細かい部分はほとんど抜けちゃいますもんね。メモがあれば、子どもが成長してから話してあげて「そんなことがあったんだ」と会話にもなりますよね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

なので、つらい瞬間、大変な瞬間こそ、あとあと自分を救ってくれる経験になるかもしれません。

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加藤
加藤

木下さんは大前提として、子どもを楽しませるというより、自分自身も楽しんでいらっしゃる印象があります。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

自分が楽しいっていうのはかなり大きいですね。だから無理をして子どもを楽しませたりとかはしていないですね。肯定してるほうがラクなんだと思います。

加藤
加藤

子育てしていると、どうしても「なんでやってくれないの?」「なんで食べてくれないの?」とマイナスの部分にフォーカスしてしまいがちですが、木下さんのように意識して受け止め方を変えれば楽しめそうです。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

否定から入ってもお互いマイナスな気持ちに落ちてしまうので、であれば、大人がいったん「そうだよね、分かるよ、その通りだよね」と肯定したほうが、言ってる自分もラクになるし、言われた側もラクになるんですよね。

メンタル的にプラスのところからスタートできると思うので、とりあえず何事も肯定するのは大事かなと思います。

ただそれも、多くの本でいろいろな方が言われていて、みなさん分かっているけれど出来ない。それが子育ての大変なところなんですよね。

「こうすれば解決」というようなHow toやQ&Aは世の中にたくさんあるけれど、「こうしたらいいよ、でもできないよね」というところまで拾ってくれるメディアってなかなかないと思うので、それを今お伝えさせてもらって僕も嬉しいです。

たぶん見ている方も「そうそう、できないんだよ!」とすごく共感してくださるんじゃないかと思います。

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加藤
加藤

メディアもそうですし、お母さんたちも「こうしたらいい」という正解を求めてしまうんですよね。

実際、「できない」「解決策がないこともある」という現実があっても、「できている」「うまくいっている」人もいるから、「じゃあ自分は失敗なのか?」「どこを間違えているのか?」と模索し始めて、完璧じゃないことを受け入れ難いんですよね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

結局、完璧を求めると自分の首を締めてしまうし、「完璧なんてない」ということを受け入れるしかないんですよね。最初から「これは無理」と諦めることも大事だと思います。

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加藤
加藤

Twitterでさまざまな子育てあるあるを発信されていますが、とくに共感された話題を教えてください。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

レゴブロックを踏んで悶絶とか、冷凍の離乳食をチンしすぎて爆発とか、キッチンで隠れてチョコを食べていたらバレるとか、たくさんありますね(笑)。

ほかにも、お昼も子どもをやっと寝かしつけて、カップラーメンを食べようとお湯入れたら泣き出して、結局また寝かしつけて、汁を吸ってぶよぶよにのびたラーメンを食べる……食事じゃなくて後処理じゃん!っていう。

加藤
加藤

子どものセンサーってすごいですよね。熟睡してるのに、こっそり冷凍庫からアイスを取り出して食べた瞬間とかにパッと起きたりしますよね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

寝かしつけは本当に大変ですよね。やっと寝てくれてベッドに置いた瞬間に目が覚めるのはもちろん、置くことに成功したのに、寝室を出ようと立ち上がったときの膝関節の「ポキ」で起きちゃうとかもありますよね……。

なんとか寝かしつけて、「寝たかな?」というタイミングでこっちも寝たふりをして、トントンを止めるんですよね。トントンを止めても「トントンして」のリクエストがないから、手をどけて、「よし!」ってゆっくり目あけたらしっかり目があって「起きてるんかい!」と。で、またゆっくり目を閉じる(笑)。

あとは、「もう寝るよー」と電気を消したら、真っ暗な部屋の中で娘がいきなり大きな声でアンパンマンの曲を歌い出して、「もう寝んねだから静にね」と言ったら、静かな声で歌い出して、「そういうことじゃないよ!」とかね。

加藤
加藤

SNSを見ていると、つい他人の完璧な部分ばかり見えて「自分はダメな親」と責めてしまうけれど、木下さんのように「できないよね」と発信してくれる存在に救われる人はたくさんいると思います。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

Instagramの子育てアカウントを見ると、きれいな家で、きれいな食器で、きれいな服で、「ああ、この人はなんて余裕があるんだろう。それに比べて自分は……」と思っちゃいますよね。そんなときは、僕のボッサボサの髪でスウェットインした恰好を見てくださいよ!(笑)。

加藤
加藤

でも、あの姿こそリアルですよね。だって子どもが小さければ片付いてる状態なんて1日のうち2、3分あればいい方。きれいな状態が普通なわけがないんですよ。

でも、その当時は本当に大変なんですけど、子どもが大きくなっちゃうとそれすらかわいいと思う自分もいます。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

息子は小さい頃、抱っこしてないと寝てくれなくて、ずっと抱っこだったんですよね。なので初めて抱っこせずに寝てくれたときはめちゃくちゃ嬉しくて、本当にガッツポーズしたんですよ。

でも、どんどん成長して、一緒にいなくても寝れるようになってきたときに「はっ!さみしい」と思いました。どんどん自分の手が必要とされなくなっていくんだな、と。

子どもの成長を感じて、嬉しくもあるけどちょっと寂しくて。あのとき「なんで抱っこしなきゃ寝てくれないんだ」と思っていた自分は、すごく幸せだったのかもな、と感じましたね。もちろん、当時はそんなこと考える余裕はなかったから、「早くひとりで寝てくれないかな」と思っちゃうんですけど。

でもこれも何年後かに振り返って、「あの時もっと〇〇してあげたらよかった」とか思うんですよね。結局、子育てはその繰り返し。

加藤
加藤

今は子どもが自分の時間や部屋にこもることも増えて若干寂しいですね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

息子がシャツを裏表に着ているのを見て「まだまだかわいいな」と思うんですが、ふと、「ひとりで服を着られるようになったんだ」と気がついて、「そのうち裏表に着ることもなくなるんだろうな」とか、色んな感情が一瞬で押し寄せてきますね。

加藤
加藤

それは木下さんが息子さんの子育て経験がたくさんあるからこそ、感じられることでしょうね。

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加藤
加藤

木下家は奥さんが12月に第三子ご出産予定なので、まだしばらくにぎやかな日々が続きそうですね。木下さんの動画はうちの娘も大好きで、幅広い世代に受けているんですよね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

〇〇すべき論や、How toのアイデアを、知識として知っておくのはいいけれど、ビュッフェと同じでどれを選ぶかは自由。色んな料理があって食べてみて、美味しかったらお代わりをしてもいいし、試してみて美味しくなければ選ばなければいいんです。

それに、ある日美味しいなと思ったものも、また別の日に試してみたら、「あれ、そうでもなかった」と思うこともあるじゃないですか。

だから、How toや本の方法どおりに出来ないときに「自分はなんてダメな親なんだ……」と思わず、「もう無理、お手上げ!」と素直に認めることが大事。

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加藤
加藤

「できない」と認めることが苦手な人が多い気がします。だから「〇〇すべき論」やHow toがあればうまくいくはずと考えて、ますますつらくなってしまうんですよね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

たぶん、今あまり子育てができていないパパたちもそうなんじゃないでしょうか。

加藤
加藤

やるなら完璧を目指さなければと思ってしまうし、子育てに関する情報が多すぎて、「やり方が分からない」の時点で止まっているんですね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

でも、「分からない」ことがやらなくていい理由にはならないですよね。

それに、本当はやってみたらできる人が多いと思うんです。オムツの替え方も一回やれば覚えられるし、ミルクの作り方も缶に載ってるし。しかもミルクを作る方が絶対にエクセルより簡単ですから(笑)。何事もまずやってみてほしい。

加藤
加藤

最初から完璧を目指そうとせず、もっと気軽にチャレンジしたらいいんですよね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

たとえば、オムツ替えではじめから漏れたことがない人はいないですよね。失敗を恐れず、ミスをたくさんすることで、「漏れたのはギャザーをしっかり立ててなかったからだ」「下の布団まで濡れたから次はバスタオル敷こう」とか、子育てもちょっとずつ上達していくものだと思います。

加藤
加藤

みんな「完璧なママ、パパ」像にこだわりすぎてるのかもしれないですね。だから「できないのは自分が悪い」「努力が足りない」と卑屈に思っちゃう。

最近パパがメインのCMも増えていますが、みんなインテリでスマートなパパ像が多い気がして、もっと「最初はみんなできない」「できなくて当然」という等身大のCMがあってもいいかもしれないですね。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

完璧をお手本にしたらつらいですからね。だから僕は引き続きスウェットをインした姿を続けて、スマートなパパにはならないほうがいいですね(笑)。

加藤
加藤

木下さんくらい自然体なほうが、「これが普通なんだ」と安心できます。

木下ゆーきさん
木下ゆーきさん

ありがとうございます。引き続き、見た人が「うちに似てるな」とか「下には下がいるな」と思えるようなポジションで居続けたいと思います(笑)。

全4回にわたってお届けしてきた、木下ゆーきさんとのKIDSNA TALK、いかがだったでしょうか。

子育て当事者だからこそたどり着いた発想の転換法は、頑張りすぎて自分を責めてしまうママパパに優しく寄り添ってくれるものでした。

「完璧な親を目指さなくていい」「うまくいかないときもあると諦める」、子育てに行き詰ってしまったとき、何度でも思い出してくださいね。


次回からのKIDSNATALKは精神科医の藤野智哉先生をお迎えし、12/1(水)更新予定です。お楽しみに!

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2021.11.24

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