命令するのではなく、お誘いを。子どもに効果的な「言葉がけ」の方法とコミュニケーションの取り方

命令するのではなく、お誘いを。子どもに効果的な「言葉がけ」の方法とコミュニケーションの取り方

2017.05.29

Profile

吉村直記

吉村直記

社会福祉法人みずものがたり 理事/おへそグループ統括園長

社会福祉法人みずものがたり 理事・おへそグループ統括園長。 1985年8月11日佐賀県生まれ。5歳の時交通事故で父を亡くし、母に兄弟3人の真ん中として女手一つで育てられる。ロータリー財団の親善大使として派遣されメキシコ合衆国へ一年間留学。大学在学中に幼児教育に興味を持ち、関東の保育コンサルティング会社に入社。1年半で50件以上の保育園の立ち上げや運営に関わりながら乳幼児教育を学ぶ。 25歳でおへそ保育園園長に就任。現在、0歳~12歳までの子どもたち、障害を持つ子どもたちが共存する“おへそグループ” を統括。執筆・講演活動、また、一男一女の父として子育てにも奮闘中。

子どもはいつも好きな事には全力で取り組みますよね。一方、嫌いなことには全力で拒否します。親がやってほしいことを上手に子どもに伝える「言葉がけ」とはどのようなものなのでしょう?今回は、おへそ保育園園長の吉村直記さんに「大好きなことには全力」という子どもの特性を捉えながら、子どもたちに効く言葉がけを考えていただきました。

執筆:吉村直記

1985年8月11日佐賀市生まれ。
社会福祉法人みずものがたり 理事
小規模認可園「おへそ保育園」・幼保連携型認定こども園「おへそこども園」・放課後学童クラブ「おへそ学道場」 統括園長。

自ら考え、学び、行動し、情熱を持って社会に貢献できる人づくりを日々研究している。
執筆、講演活動、空手指導、また、一男一女の父として子育てにも奮闘中。

子どもは大好きなことに一所懸命

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子どもたちに「さあ、外で遊ぶぞ~」と声をかけると、一目散に園庭に向かって走り出します。好きな遊びや、楽しいことには、キラキラ目を輝かせて取り組みます。疲れなんか全く感じさせません。

好きなことには全力な子どもたちですが、一方で嫌いなことには全力で拒否します。100か0(ゼロ)か、いずれにせよ「全力な」子どもたちです。

それが子どもの素晴らしいところでもありますが「掃除、片付け、勉強など、親がやって欲しいことには…」と困っている方もいらっしゃるかもしれません。では、子どもたちに効く言葉がけとはどのようなものなのでしょうか?

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園で心がけていることは、子どもたちが「その先の楽しさ」に気づくような言葉がけをするということです。

例えば、「早く準備をしなさい!」ではなくて、「早く出かけて一緒に遊ぼう!」と声をかけてあげます。準備をするということには意欲は出なくても、その先の目的が認識できれば、早く遊びにいきたいわけですから、子どもたちは急いで準備に取り掛かります。それが大好きなお母さんやお父さんや、先生であれば、余計に意欲が出るでしょう。

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他にも「ねえ、その虫の名前はなんて言うの?」と園児たちに聞くと、「図鑑で調べればいんだよ」と教えてくれて、一緒に調べてくれたりします。

同じように「勉強しなさい!」より、「どうやって解くのかお母さんに教えて!」の方が、子どもたちは俄然やる気を出します。お母さんに教えてあげる、お母さんに「すごいね」って喜んでもらえる。それが分かれば、得意げになって教えてくれます。

結果的には同じ行動だったとしても、命令されるのと子どもを心を乗せてあげるのでは、取り組みに対するやる気が全く違います。大人も同じですよね。
「掃除をしなさい!」よりも、「掃除を手伝ってくれる?」と言われた方が、自分自身に決定権があるわけですから意欲が増します。その先に「楽しさ」「喜び」「達成感」「幸せ」が待っていれば、大人も子どももワクワクして行動することができます。

将来、お誘いしても遊んでくれない日が来るかもしれません。そう思うと、こんな悩ましい日々もかけがえのない時間に思えるから不思議です。

大切なのは子どもを安心させる納得感

園長でありながら、私も2児の父親でもあるので、子育て真っ最中ですし、仕事と子育てでドタバタの日々です。

園長先生だから、さぞかしイクメンで子育てなんて余裕でしょう?と思われることもありますが現実はそんなこともありません。

妻もフルタイムで共働きですから、子どもに我慢させることも多々あると感じています。家に帰ってきて「遊んで!」「絵本を読んで!」と子どもにせがまれて、「ちょっと…」となってしまうことも当然あります。

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でも、大切にしていることが一つあります。それは「子どもの納得感」です。子どもの要望にすべて応えることはできませんが、「少し休憩したら、遊ぼう!」「平日はゆっくり遊べないけど、今度の休みはくたくたになるまで遊ぶぞ~」と5歳の子に伝えると、安心した表情で「分かった!」と言ってくれます。

『すべて思い通りにはできないけど、こういう形であれば実現できる!』と、子ども自身が欲求をコントロールすることを学ぶ機会にもなっていると思います。もちろん、その約束は守るように努めています。

親子と言えども、お互いが我慢し過ぎず、お互いが納得できる方法を模索し話し合うことは、私たち親子にとってとても良いコミュニケーションの機会となっています。


執筆:吉村直記

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吉村直記

吉村直記

社会福祉法人みずものがたり 理事・おへそグループ統括園長。 1985年8月11日佐賀県生まれ。5歳の時交通事故で父を亡くし、母に兄弟3人の真ん中として女手一つで育てられる。ロータリー財団の親善大使として派遣されメキシコ合衆国へ一年間留学。大学在学中に幼児教育に興味を持ち、関東の保育コンサルティング会社に入社。1年半で50件以上の保育園の立ち上げや運営に関わりながら乳幼児教育を学ぶ。 25歳でおへそ保育園園長に就任。現在、0歳~12歳までの子どもたち、障害を持つ子どもたちが共存する“おへそグループ” を統括。執筆・講演活動、また、一男一女の父として子育てにも奮闘中。

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