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子どもの想像力は無限大。学びのきっかけになる、読み聞かせの方法
Profile
製造メーカーの生産開発部、情報システム会社の開発部で長く勤務。執筆活動としては、育児サイトやITサイトへのコラム執筆や教育関連の電子書籍4冊出版など。プライベートでは4児の父。
子どもに本を読んで聞かせることは大事なことです。良い本を聞かせるだけでもよいのですが、さらに工夫をすることで子どもの思考力を高めることができます。ここでは、本の読み聞かせを効果的におこなうための3つのコツを紹介します。
読み聞かせが大切なわけは
読み聞かせは大切だと言われています。その理由はいくつもあります。
まず話の内容を知ることで知識を得ます。別の世界を知ることができます。ただこれだけでしたら、字を読める子なら自分で読書するのと同じですね。
読んであげることが特にいい理由は、大人が抑揚をつけて読むことで感情が伝わり、子どもの感情表現が豊かになるということです。ママは女優になったつもりでたっぷりと感情をこめて読んであげてください。
話の途中で質問してみましょう
小さい子に読み聞かせをするときには、中断しないで読み進めたほうがいいと言う人もいます。中断してしまうと話の流れをつかみにくくなったり、興味が損なわれたりするからです。
けれども子どもが少し大きくなって慣れてきたら、途中で区切って質問をしてみるのもいいと私は思います。その理由を説明しましょう。
私は学生のころテニスをやっていました。高校のテニス部や大学のテニスサークルでは後輩の指導をすることがよくありました。そのなかで試合形式の練習するときに、ときどき私は中断して指導をしていました。たとえばこんなふうに。
「〇〇君、今のショットは右を狙えば一発でエースになったよ」
「△△君、今のケースではもっと前に立たないと」
「●●さん、そのボレーはナイスコースだ!」
試合を中断することには意義があります。もし試合が終わってから振り返ってアドバイスしたとすると、そもそもそのシーンを覚えていなかったり、わかったとしても次の試合のころには忘れてしまったりします。
ところが試合中に中断して教えると、まだイメージが鮮明に残っているので理解もしやすいし、同じケースになったときに思い出しやすいのです。
ましてや小さな子どもだったらなおさら、あとから言ってもよく覚えていないので効果はあまりありません。なにかが起こったその場で教えたほうが身につきます。
ですから読み聞かせのときにも、毎回とは言いませんが、ときには話を中断しながら読むことを私はおすすめします。
子どもに質問させて考えさせる、3つのコツ
では、読み聞かせ中に中断して、何をすればいいのでしょうか。そこでやるべき3つのポイントをお伝えします。
登場人物の気持ちを考えさせる
他人の気持ちを想像するということを、子どもは覚えてもらいましょう。
たとえば、桃太郎の話を聞かせているとしましょう。桃から生まれておじいさんとおばあさんに育てられた桃太郎は、ある日突然、鬼退治に行くと言い出します。ここで子どもに質問してみましょう。
「おばあさんはどう思ったかな?」
勇気があって偉いと思うでしょうか、それとも心配するでしょうか。答えはどちらでも構いません。人の気持ちを考えさせるのが目的ですから。
「なんでそう思ったの?」「なるほどね」というように子どもの意見は否定せずに聞いてあげてください。こういったことを繰り返していると、人の気持ちを考えることの大切さを伝えることができます。
話の続きを考えさせる
子どもの想像力、創造力は無限大です。どんどん伸ばしてあげましょう。
たとえば、「桃太郎は鬼退治に行くことにしました。でも鬼は強いのです。鬼に勝つために桃太郎はどうするかな?」と質問してみましょう。話の続きを考えさせるのです。
犬と猿とキジを仲間にして連れて行くのが本来のお話ですが、いろいろな案が出てくるとおもしろいですね。ジムでトレーニングしてパワーをつけるとか、雑貨屋で戦士の剣を買うとか、金太郎と浦島太郎を連れていくとか。
子どもと一緒に考えてみましょう。想像力もつきますし、お話も楽しくなります。
接続詞を理解させる
国語力をつけるために、接続詞に着目してみましょう。
桃太郎は猿に言いました。「吉備団子をあげるから、一緒に鬼退治に行ってくれないか?」ところが、
……ここで中断してみましょう。本当は「ところが」ではないと思いますが、あえて「ところが」にしてみて、「猿は何と答えたかな?」と質問してみましょう。
「ところが」なので、「お団子はあまり好きじゃないんだ」とか「鬼は怖いから行きたくないよ」など、否定的な回答になるはずですね。子どもはわかっているでしょうか。そしてさらにお話を続けます。
そこで桃太郎は、
……でまた中断。今度は「そこで」ですから「じゃあ、バナナをあげよう」とか「安全確保された後方支援だから心配ありません」というような解決策を答えられれば大正解です。後方支援とか言う子どもはいないと思いますが(!)。
「ところが」とか「そこで」とか、接続子によってそのあとの文章が変わります。これは学校の国語の問題と同じですね。小さいころからこういった質問に慣れていれば、小学校に入ってからの国語のテストはバッチリなはずです。
親も一緒に楽しみましょう
そして読み聞かせを続けるコツは、親も一緒に楽しむことです。いろいろ想像しながら読むことで親も子どもと一緒に楽しんで読み聞かせを続けましょう。子どもにとっても親にとっても楽しい時間にしてしまいましょう。
子どもへの読み聞かせは大切です。効果的な読み聞かせをすれば人の気持ちがわかるようになるし、想像力もつくし、国語力もつきます。子どもの理解力や性格に応じて工夫しながら読み聞かせをしてみてください。
ライター 四児の父・あべっかん
本職はIT系のエンジニアです。息子二人と娘二人を育てながら教育関係のブログを書いています。