【産婦人科医監修】妊娠の体重増加はいつから気をつける?妊婦の体重増加の平均値

【産婦人科医監修】妊娠の体重増加はいつから気をつける?妊婦の体重増加の平均値

妊娠すると一般的には太りやすくなります。なかには妊娠中に20キロ以上体重増加した妊婦さんもいるようです。妊娠時のいつから体重増加しやすいか、増加しやすい時期と、増加量の内訳、平均でどのくらい体重が増加するのかなどを解説。毎日の体重をグラフ化するなど、妊娠中の体重管理のポイントもご紹介します。

妊娠中に体重が増加しやすい理由

妊娠すると、太りやすくなるといわれますが、なぜ体重が増加するのでしょうか。


ホルモンの影響

妊娠すると、ホルモンの影響で栄養を確保しようとする働きが強くなるため、脂肪を身体に溜め込みやすくなります。
また、赤ちゃんが成長するためのエネルギー源を確保しようし、身体が自然と反応して皮下脂肪がつきやすくなるという理由もあります。


食事量が増える

食事
iStock.com/ALLEKO

つわりにもさまざま種類がありますが、空腹になると気持ちが悪くなる「食べつわり」になる妊婦さんもいます。

食べつわりになると、お腹がすいて気持ち悪くならないようにするため、常に口になにかを入れていることが多くなり、それゆえに食べてしまって、体重が増加します。


血液量増加によるむくみ

妊娠すると、多くの血液を赤ちゃんに送るため妊婦さんの身体の血液量が増加します。血液量が増加するとむくみやすくなり、むくみで体重が増加する場合もあります。


運動量が減る

個人差がありますが、お腹が大きくなると、少し身体を動かしただけで疲れやすくなり、自然と運動をする時間が減るでしょう。運動量が減ると、筋肉量や消費カロリー量が減るため、妊婦さんは太りやすくなります。

体重増加のリスク

妊娠中に一気に体重が増加すると、ママや赤ちゃんにどのような変化があるのでしょうか。


妊娠高血圧症候群

妊娠したあとに高血圧を発症した場合に妊娠高血圧症候群と診断されます。

妊婦さんの肝機能や腎機能、血液凝固機能などに障害が現れ、激しいむくみやけいれん発作等のトラブルが発生する可能性があります。また、胎盤の働きを弱めてしまうため胎児が育ちにくくなったり、酸素の供給が難しくなってしまうケースもあります。


妊娠糖尿病

体重の増加などによって、妊娠中に血糖値が上がり、糖代謝異常を起こす病気です。

妊婦さんは妊娠高血圧症候群を併発しやすくなったり、視力に影響が出る網膜症になる可能性があります。

また、赤ちゃんの身体にも影響を与え、胎児が大きくなりすぎると産道を通れなくなるため、帝王切開での出産になったり、出産するまでに時間がかかり、難産になることがあります。このほか、腰痛が悪化する、妊娠線ができやすくなるなどのリスクもあるので、注意が必要です。

妊娠中の体重増加の平均値とは

体重計
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妊婦さんは、妊娠全期間を通して平均どれくらい体重が増加するのでしょうか。


およそ7~10キログラム程度増えるケースが多数

妊娠すると、一般的に合計で7~10キログラム程度体重増加する場合が多いようです。増加量のおおよその内訳を下に記したので、確認してみてください。ただし、体重増加には個人差があります。


・赤ちゃんの体重、3~4キログラム程度
・羊水 500グラム程度
・胎盤 500グラム程度
・血液増加 2キログラム程度
・母体の皮下脂肪 2キログラム程度


どのくらい体重増加してもいいかは妊娠前の体重と身長で算出できる

個人差があるといっても「自分はどのくらい体重が増加してもOKなのか」「理想の体重増加の目安がわからない」というママも多いでしょう。

どの程度、増加していいかの目安は、妊娠前の体重と身長を使い、BMI数値を算出することで確認することができます。

【算出する手順】
妊娠前の体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMIの数値を出します。
BMIが18.5未満だと低体重、BMI18.5~25.0だと標準体重、BMI25.0以上だと肥満と判断されます。


・BMIの数値が低体重の場合は、9~12キログラム程度
・BMIの数値が標準の場合は、7~12キログラム程度
・BMIの数値が肥満の場合は、医師との相談が必要になります。

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体重増加に気をつける時期はいつから

個人差がありますが、つわりが落ち着いて食欲が戻る妊娠4~5ヶ月目頃になると、体重増加が止まらず、一気に体重が増える妊婦さんが多いようです。

妊娠6ヶ月の頃も要注意。羊水の量が一気に増えるため体重が増加しやすい時期といわれています。妊娠6ヶ月は赤ちゃんの成長も著しく、妊娠5ヶ月のときと比べて急激に体重が増える妊婦さんもいるようです。

子宮の中で胎盤が完成し、お腹も大きくなってくる時期なので、食欲に身を任せて食べてしまうと一気に体重が増えてしてしまうので注意が必要です。

妊娠中の体重増加を予防する方法

医師から安静にするように言われている場合以外は、適度な運動をすることが体重管理につながります。ウォーキングやマタニティスイミングやマタニティヨガなど妊婦さんでも無理なくできる運動がおすすめです。

また、バランスよい食事を心がけるのと、同じ食材でも「揚げる」、「炒める」よりも、「蒸す」調理法であればカロリーを抑えることができます。

しかし、つわりがひどく何も食べられないときには、栄養バランスは考えずママが食べられるものを食べることが大切です。

体重推移を曲線グラフで記すとよりコントロールしやすくなる

朝やお風呂あがりなど、毎日決まった時間に体重計にのるだけでも、体重増加についての意識が高まります。

さらに、毎日の体重の変化を曲線グラフなどで記録しておくと、よりいっそう効果的です。

最近は、妊婦さんの体重を記録し、簡単に体重の推移を曲線グラフ化できたりするものもあるので、活用してみるといいでしょう。

妊娠中の体重増加の目安を知ろう

お腹を触る妊婦さん
iStock.com/NataliaDeriabina

妊娠すると、ホルモンバランスの変化や赤ちゃんへたくさんの栄養を送るために血液量が増加するなど、妊婦さんの身体にはさまざまな変化が起こります。

赤ちゃんが成長していくと妊婦さんの体重もそれにともない増加しますが、急激な体重増加は、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などの病気にかかったり、腰痛がひどくなったりなど、妊娠経過や出産時に影響を及ぼすことがあるので、体重管理が必要です。

妊娠中の体重増加の平均は、7~10㎏程度が理想の増加量です。なかには20㎏以上体重が増加した妊婦さんもいるようです。太りすぎは妊婦さんの身体にも負担がかかるうえ、難産になる可能性が高くなります。

個人差がありますが、つわりが落ちつき、食欲が戻ってくる妊娠4~5ヶ月の頃には適度な運動や栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。また、毎日体重を測って曲線グラフにして体重の増加を意識する、適度な運動をするなど工夫が必要です。

妊娠中の体重増加の内訳や目安を知り、体重の増えすぎを防ぎましょう。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
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2018.10.21

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