【産婦人科医監修】妊娠32週目(9ヶ月)の妊婦さんと赤ちゃんの特徴

胎動やおなかの大きさ、あとづわりについて

【産婦人科医監修】妊娠32週目(9ヶ月)の妊婦さんと赤ちゃんの特徴

妊娠後期の妊娠32週は、お腹の張りや、吐き気などあとつわりのマイナートラブルが増えるかもしれませんが、赤ちゃんの身体は4頭身になり成長著しい時期です。妊婦さんの体調の変化や、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。

妊娠週数32週目とはどんな時期?

妊娠32週目は月数でいうと、妊娠9ヶ月の1週目です。妊娠後期にあたります。

妊娠32週目の妊婦さんの特徴

妊娠後期である妊娠32週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。


体調

眠気が強い妊婦さん
iStock.com/baona

少し動いただけで疲れを感じやすく、疲れが溜まると吐き気がでたり、気持ちが悪くなる妊婦さんも少なくないでしょう。寝ても寝ても眠気を感じたり、反対に眠りたくても寝られない不眠状態の悩みも出てくるかもしれません。

一方、妊娠後期になると、赤ちゃんが産まれる期待感と、お腹の中で十分に育ったという安心感からストレスが軽減したというママがいるようです。



お腹の大きさ

子宮がみぞおち近くまで上がってきています。そのため、バストのすぐ下あたりからお腹のふくらみが目立っています。足元が見えづらくなるくらいお腹が大きくなり、お腹の張りを著しく感じるでしょう。


妊娠32週目の妊婦さんの身体

妊娠後期である妊娠32週は、子宮が大きくなってお腹の張りを感じやすくなります。赤ちゃんの頭が恥骨のあたりにくるので、恥骨痛を感じる人もいます。子宮で胃腸が圧迫されるので吐き気が出たり、食欲不振、便秘になりやすいです。妊娠32週に前駆陣痛が起こる人もいます

子宮が心臓や肺も圧迫するため、動悸や息切れを感じたり、膀胱が圧迫されて頻尿や尿漏れに悩む妊婦さんも多いようです。

産道が柔らかくなり腟がゆるみ、おりものの量が増えます。女性ホルモンが活発に分泌されるため乳腺が発達し、早いとこの時期に乳頭から黄色い分泌物、初乳が出る人もいます。

妊娠32週目の赤ちゃん

赤ちゃんの身体

妊娠32週の赤ちゃんの身長は、42~48㎝程度です。赤ちゃんの体重は、1500g~2300g程度です。手足が伸びて4頭身になります。

ほとんどの機能が完成し、尿を排泄できるようになったり、赤ちゃん自身で体温調節ができるようになっていますが、まだ十分には発達していない状態です。皮下脂肪の量が増え、胎毛が必要なくなります。


胎内での様子

出産準備のため、子宮内の羊水が減ってきます。この時期の赤ちゃんは、定期的に胎内でおしっこをしている状態です。

妊娠32週の赤ちゃんは、脳がさらに発達し、しわが増えます。赤ちゃんに喜怒哀楽の感情が出てくるので超音波(エコー)検査では、さまざまな表情が見られるかもしれません。

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妊娠32週目のうちにやっておきたいこと

出産準備

産院や出産方法によって費用に違いがでてきますが、出産費用を調べて用意をしたり、個室を予約したり、入院、出産一時金の申請書類を書いたりする時期です。出産のときに誰に送ってもらうかなど決めておく、陣痛タクシーの予約するなどしておくと出産間近になったときも焦らずに済むでしょう。


バースプランの計画

出産計画を立てる
iStock.com/Kyryl Gorlov

バースプランとは、出産から退院するまでの間をどのように過ごしたいかの出産計画のことです。産院によっては、妊娠35週くらいのときにバースプランの提出をするところもあるようです。

バースプランの主な内容は、普通分娩や無痛分娩など、どのような分娩方法にするか、出産の立ち合い希望の有無や胎盤を見たい、出産時に好きな音楽をかけてほしいなどの希望を書くことができます。

ぜひこの時期には希望を書き出しておきましょう。全ての希望が通るのは難しいかもしれませんが、望むことはなるべく詳しくしっかり書くとよいでしょう。


逆子対策

現在は胎児が逆子の場合、出産方法は帝王切開となることがほとんどです。この時期に逆子と診断されたら、外回転術を勧められるママもいるでしょう。外回転術は、医師がお腹に手を添えてお腹の外側から赤ちゃんを回転させて正常な体位に戻す方法です。子宮を刺激するため、陣痛が起こらないように子宮の収縮を薬で抑えながら行うこともあります。

外回転術はリスクを伴い、確実に成功するとは言い切れない方法のため、実行するかしないかは慎重に決めましょう。なかには逆子体操を行うことで、臨月に入ってから赤ちゃんの位置が正常に戻ったという人もいます。

妊娠32週目の妊婦さんが注意すること

里帰り出産の帰省

里帰り出産を考えている人は妊娠30週くらいから帰省する人が多いでしょう。仕事をしているママは仕事の都合で帰れる時期が限られているかもしれません。特に飛行機は、出産日予定日が近くなると医師の診断書などが必要になる場合もあるため、事前に下調べをして準備しておくことが大切です。

臨月になるとお腹はもっと張りやすくなり、体調が変わりやすくなります。飛行機や電車、車など移動時間が長くなればなるほど妊婦さんの身体に負担がかかります。赤ちゃんは必ず予定日に生まれるとは限らないですし、ママの安全のためにも、なるべく早めに里帰りできると安心です。


あとつわり対策

お腹が大きくなって胃が押し上げられることで、妊娠後期のこの時期に再び、吐き気や胸やけなどつわりのような症状が出る場合があります。今まで普通に食事ができていたのに、食事中に吐き気を感じたり、食後に気持ち悪くなり、食欲不振になる人が出てきます。

そのようなときは、一度に食べる量を減らして食事の回数を増やしてみてください。なるべく栄養があり、消化のよいものを食べるようにしましょう。


妊娠32週目の持ち物

妊娠9カ月に入ったら入院、出産に備え必要なものを揃えておくようにしましょう。少しの外出でも母子手帳と健康保険証、身近な人の連絡先を記したものを持ち歩きましょう。

出産準備を具体的に進めよう

出産を控えた妊婦さん
iStock.com/Blue Planet Studio

妊娠後期である妊娠32週は、妊娠9ヶ月の始まりです。お腹が一気に大きくなるので、お腹の張りを感じたり、胃腸が圧迫されることで吐き気が出たり、食欲がなくなったり、あとつわりの症状が出てくる妊婦さんもいるでしょう。

妊婦さんは体調が優れない日も増えるかもしれませんが、お腹のなかの赤ちゃんの身体は4頭身になり、ほとんどの機能が完成して赤ちゃん自身で体温調節ができるくらいに成長しています。

妊娠32週になったら分娩予約をしたり、バースプランを具体的に考えたり実際の出産準備を通して、赤ちゃんと会えることが実感できる時期です。具体的な日程や出産計画が決まると、赤ちゃんに早く会いたい気持ちが増すかもしれませんね。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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