赤ちゃんとママが横になった体勢のまま授乳ができる「添い乳」。やってみたいと思う反面、危険という話も耳にしたり、不安に思うママもいるでしょう。実際にどのような点が危険だと言われ、上手に添い乳をするにはどうしたらよいのでしょうか。添い乳の体験談や、よくある質問、あると便利なグッズを紹介します。
添い乳とは、ママと赤ちゃんが横になり向き合った状態で、起き上がらずに授乳をする方法です。赤ちゃんが小さいうちはお世話などで忙しいママにとって、身体を休めながら授乳ができるのは嬉しいですよね。
また、おっぱいを飲んだ赤ちゃんがそのまま寝てくれることもあるので、寝かしつけを兼ねて添い乳で授乳をしているというママも多いようです。
では、添い乳はどのようにして行うのがよいのか、基本的なやり方を紹介します。
おっぱいを飲む赤ちゃんの様子が常に見えるように、ママと赤ちゃんの位置を決めることはとても重要です。
ママは普段寝るときに使っている枕では、添い乳中の赤ちゃんの表情は見えにくいかもしれません。その際は枕を2つ重ねたり、折りたたんだバスタオルで調整するなどして、頭を高くする工夫をするとよいでしょう。
添い乳中、ママはあまり身体を動かすことができません。体勢が安定していないと感じたら、クッションや枕を使い、ママの体勢がラクになるように調整しましょう。膝でクッションを挟さんだり背中や腰をクッションで支えると、体勢がラクになるというママもいるようです。
抱っこで授乳するときも同様ですが、おっぱいのくわえ方が浅いと赤ちゃんはうまく母乳を吸うことができません。また、ママのおっぱいを傷つける原因ともなりますので、添い乳のときもおっぱいを深くくわえさせてあげましょう。
ママとピッタリ密着している方が、赤ちゃんはおっぱいを飲みやすいです。赤ちゃんの体勢が安定しないときは、背中を軽く支えてあげたり、赤ちゃんの背中にもクッションをあててあげるとよいでしょう。
添い乳はさまざまなメリットがある一方で、気を付けて行わないとリスクになることもあります。
もっとも気を付けたいのは、添い乳中の赤ちゃんの窒息です。赤ちゃんに覆いかぶさるように添い乳をすると、おっぱいで鼻をふさいでしまい、赤ちゃんは口からも鼻からも呼吸ができなくなってしまいます。添い乳をする際は、必ず下側のおっぱいを吸わせるようにしましょう。また、クッションなどのグッズは月齢の低い赤ちゃんほど危ないので、授乳が終わったら片付けるようにしてくださいね。
おっぱいの同じ部分ばかりを吸わせていると、乳腺炎やおっぱいの痛みにつながります。添い乳をすると同じような角度での授乳になり、体勢も変えにくいため、どうしても同じ部分を多く吸わせてしまいます。添い乳ばかりではなく、抱っこでの授乳も取り入れながら行うことを推奨します。
では、添い乳をするときにやってはいけないことはあるのでしょうか。また、危険を回避するために、どのようなことに気を付けるとよいのでしょうか。
抱っこで授乳をするときも同様ですが、赤ちゃんの表情が見えないほどの暗い部屋では危険です。特に添い乳の場合は抱っこのときに比べ赤ちゃんの表情が見えにくいため、しっかりと様子がわかるくらいの明るさにしましょう。
ママの腕枕は赤ちゃんにとっては高すぎて、赤ちゃんの首に負担がかかってしまいます。またママも肩や首に負担がかかってしまいリラックスできないので、腕枕で添い乳をするのはやめましょう。
赤ちゃんを柔らかい敷布団に寝かせると、顔が埋もれてしまうなどの危険があるため、基本的に赤ちゃんには堅い布団が推奨されています。添い乳をする場合は、敷布団が柔らかすぎると赤ちゃんの体勢が安定しないというデメリットもあるので、敷布団は硬いものを使いましょう。
赤ちゃんが泣いていたり苦しそうにしていても気がつかないほどママが疲れているとしたら、知らない間に眠ってしまい赤ちゃんに覆いかぶさる可能性があるため、添い乳をするのは危険です。抱っこで授乳したあとで、ゆっくりとベッドで休むようにしましょう。
授乳クッションはほどよく厚みのあるものが多いので、赤ちゃんやママの体勢の調整に使えます。また、授乳が終わったあと、授乳クッションの上に赤ちゃんを乗せると、包まれているようで安心して寝てくれる赤ちゃんもいるようです。
バスタオルは折りたたんだり丸めたり、自在に形や高さを変えることができるため、赤ちゃんやママの体勢を調整するのに役立ちます。また、赤ちゃんの布団の上にバスタオルを敷いておくだけで、吐き戻してしまったときもシーツが汚れずに便利です。
夜中に赤ちゃんが泣いたとき、すぐにおっぱいを出せるとママもラクですよね。伸縮性のあるカップ付きキャミソールなら、胸元をめくるだけで素早くおっぱいを出せるため便利です。胸元だけを出せばいいので、お腹などを冷やさない点でもおすすめです。
むし歯になる原因はさまざまなことが影響するため、母乳だけが原因でむし歯になることは、ほとんどありません。ですが、離乳食が始まった赤ちゃんには、添い乳をして寝かしつける前に、歯の表面の汚れを取っておくことが大切です。寝る前や最後の食事の後に、歯みがきやガーゼで歯をきれいにをする習慣をつけておくとよいでしょう。
ママのおっぱいが小さいと、添い乳はラクな方法ではないかもしれません。タオルやクッションなどを使って赤ちゃんの口元にちょうどおっぱいがくるように、調整してみましょう。それでもうまくできない場合は、無理に添い乳はせずに、ママがリラックスして授乳ができるやり方を選ぶとよいかもしれません。
赤ちゃんが夜ぐずるたび頻繁に添い乳をしていると、「浅い眠りになると起きる。おっぱいを吸うと寝る」という癖がついてしまい、おっぱいがないと寝られなくなってしまうことがあります。
赤ちゃんが本当にお腹がすいて泣いているのかどうかを見極め、お腹がすいていなそうなときは、添い乳ではなく別の方法で寝かしつけができるとよいでしょう。
卒乳する時期は赤ちゃんやママによってさまざまなので、一概に添い乳をすると卒乳が遅くなるとはいえません。しかし、添い乳は寝かしつけの手段として便利なので、赤ちゃんよりもママのほうが添い乳に頼ってしまい、結果として卒乳が遅くなってしまうケースもあるようです。
添い乳はいつまでにやめたほうがいいのか、特に決まっていません。もし、ママが添い乳がラクなのであれば、急いでやめさせる必要もないでしょう。
ただ、ママが添い乳をやめてゆっくりと寝たいと思うのであれば、赤ちゃんが自力で眠れる方法を、探してあげるとよいです。
添い乳に慣れていると、その他の寝かしつけ方法が分からないというママもいるかもしれません。いつか添い乳をやめるときのために、並行して他の入眠儀式を習慣づけておくとよいでしょう。たとえば、毎回同じ子守唄を歌う、優しくひたいを撫でる、などは簡単に始めることができます。
その他にも、赤ちゃんが安心するガーゼなどを持たせる、ママが寝たふりをする、お腹や胸をトントンする、などの方法を実践するママが多いようです。
ママや赤ちゃんによって、どのような授乳方法が合っているのかはさまざまで、正解はありません。しかし、ママがリラックスしていると、赤ちゃんも安心します。添い乳がラクなのであれば、無理にやめなくてもよいそうです。
ただ赤ちゃんに危険がないように、添い乳の注意事項をしっかりと意識し、授乳時間を楽しめるとよいですね。
河井恵美(エミリオット助産院)
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等、様々な診療科を経験し、助産師歴は25年。青年海外協力隊でコートジボアールとブルキナファソに赴任した後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在は、シンガポールの産婦人科クリニックに勤務し、日本人の妊産婦さん方のサポート。世界にいる親御さんを応援するため、インターネット上でエミリオット助産院も開設している。
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2021年08月27日
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