
多くの赤ちゃんにとって、自分の意思で移動できるはじめての手段が、ずりばいかもしれません。好奇心に満ちた目でずりばいをしている様子はかわいいものです。今回は、赤ちゃんがずりばいをする時期、ずりばいが発達へもたらす影響や前兆行動、練習方法などを紹介します。
ずりばいとは、うつ伏せの状態でお腹を床につけたまま、腕や足を使い前方に進む行動を指します。体を引きずり這う動作であることから、「引きずる」の「ずる(擦る)」と「這う」を組み合わせてできた言葉のようです。
多くの赤ちゃんにとっては自分の意思で移動できるはじめての手段であり、一生懸命に前に進む様子は、つい応援したくなることでしょう。
母子健康手帳省令様式の生後6~7カ月頃のページには「寝返りをしたのはいつですか」、生後9~10カ月頃には「はいはいをしたのはいつですか」というチェック項目があります。
ずりばいに関する項目はありませんが、寝返りができてからハイハイをするようになるまでの期間にずりばいを行う赤ちゃんが多く、目安としては5~9カ月頃と考えてよいでしょう。
ただし、赤ちゃんの成長スピードは個人差が大きいので、なかなかずりばいをしないからといって焦ることはありません。中にはずりばいのステップを踏まずにハイハイを始める赤ちゃんもいます。
一方でずりばいをしなくなるタイミングは、ハイハイが上手になってきた頃が多いようです。多くの赤ちゃんにとってハイハイができるようになると、ずりばいよりもスムーズに移動ができるので、ずりばいはあまりしなくなるのかもしれません。
赤ちゃんがずりばいを行うことによって、以下のようなメリットがあるようです。
ずりばいは、全身の筋肉を使った運動です。特に、首・肩・腕の筋肉や、握力・体幹を鍛えることにつながります。また、手・指への物理的な刺激が増えるため、物を掴んだりつまんだりする感覚がつかみやすくなると言われています。
下半身を動かすことによって、腹筋・背筋など腰周りの筋肉も鍛えられます。また全身運動を繰り返すため血行がよくなり、心肺機能が高められ、肺や胸腺などの発達にもよい影響を与えます。
自らの意思で興味のあるものへ近寄ったり、好きな場所へ移動したりできることが、赤ちゃんに達成感を与えます。また、大好きなママ・パパや、愛着のあるおもちゃに自分から近づくことができるので、情緒が安定します。
ずりばいが活発になると運動量や外部からの刺激が増えるため、よく食べ、よく寝るようになることが多いようです。また、赤ちゃんがずりばいを楽しんだり、ひとり遊びをする時間が増えると、つきっきりだったママやパパの負担も少し軽くなることでしょう。
お腹を床につけたまま腕や足の力を使ってほふく前進のように動くことをずりばいと呼ぶのに対し、ハイハイとは、手のひらと膝を床につけて四つん這いの姿勢で進むことを指します。赤ちゃんのお腹が床についているかどうかが、大きな違いです。
一般的にはずりばいができるようになった後に、ハイハイに移行していくケースが多いようです。
赤ちゃんがずりばいを始めるとき、なにか前兆はあるのでしょうか。先輩ママに話を聞きました。
そろそろずりばいを始めそうだなと思ったら、どのようなことに注意するとよいでしょうか。
赤ちゃんが動くスペースが狭い場合は、家具を壁際に寄せるなどして広い空間を作るとよいです。また、赤ちゃんの腕や肘が痛くないようにベビー用のクッションマットを敷く家庭も多いようです。
ずりばいを始めると、それまで行けなかった場所にも行けるようになります。赤ちゃんが触ったりなめたりしても大丈夫なように、床をこまめにチェックして清潔を保つように気を付けましょう。
コンセントや電気コード、テーブルの角など、赤ちゃんが触ったりぶつかったりすると危険なものがないか、事前に確認しましょう。また、ずりばいをし始めた赤ちゃんの行動範囲はどんどんと広がっていくでしょう。
トイレットペーパの芯よりも小さいものは飲み込む危険性があります。床、床から少し上(手が届く範囲)に飲み込んで危なさそうな小さいものがないか、毎日確認をしましょう。
あたらめてこの機会に家の中が安全か、清潔か、赤ちゃんが動きやすいかなど、よく注意して見てみるとよいでしょう。
赤ちゃんが上手にずりばいができるように、大人は以下のような方法で練習をサポートしてあげるとよいかもしれません。
赤ちゃんがうつ伏せの姿勢でいるときに、お気に入りのおもちゃなどを視線の先に置くと、自分で動き出すきっかけになるかもしれません。音が出るおもちゃや、赤ちゃんが触りたくなるお気に入りのおもちゃなどを選ぶとよいでしょう。
赤ちゃんは大人の真似をするのが大好きです。ママやパパが赤ちゃんの目の前でずりばいをして見せてあげましょう。真似っこ遊びを楽しみながら、いっしょにやってみようとするかもしれません。
赤ちゃんがうつ伏せの姿勢で動きたいように見えたら、足の裏を軽く押してあげましょう。初めての前に進む感覚は楽しく、自分で動きたいという気持ちが高まるはず。
子育て支援センターなど月齢の近い赤ちゃんが集まる場所に行ってみるのもおすすめ。他の赤ちゃんがずりばいをしているのを見ることで刺激を受け、自分もやってみようとするかもしれません。
また、ずりばいが上手になってきたら、座布団やクッションなどを使って、あえてデコボコ道にすることもおすすめです。動きにくい道を進むことで、手や足の使い方を工夫したり、体幹が鍛えられる効果もあります。赤ちゃん自身が、難しいことに挑戦できたという達成感も得られるかもしれません。
ずりばいにまつわる体験談を聞きました。
赤ちゃんの成長のペースは人それぞれなので、寝返りをしてまもなくずりばいをしないからといって、心配しすぎることはありません。ただし、他にも成長に関して不安に思うことがあれば、かかりつけ医や健診の際に相談してみるとよいでしょう。
保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
2022年08月17日
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