赤ちゃんの身体には、あせもができやすい特徴と理由があります。あせもができる原因とあせもの種類別の症状、首、足、腕などできやすい部位や理由をご紹介します。また、あせもをつくらないために、家庭でできる予防対策とあせもの治療のポイント、処方薬やワセリンなどの市販薬について解説します。
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あせもとは、肌の表面にある、汗の出口、汗腺の開口部に皮脂やホコリが詰まって、炎症を起こした状態です。赤ちゃんは、まだ汗腺などの器官も小さいため汗腺に皮脂やホコリがたまりやすく、あせもになりやすいのです。
ほかにも大人に比べて赤ちゃんにあせもができやすい理由には次のような特徴があります。
赤ちゃんは、大人に比べて体温が高く、新陳代謝がよいため汗をたくさんかきます。
赤ちゃんは骨格が小さいため、皮膚がたっぷりと重なっている部分が多いですよね。赤ちゃん特有の体形が汗をためやすく、こもりやすい理由のひとつです。
また、寝たり、座ったり同じ姿勢でいる時間が長いため、皮膚が重なっている部分に汗や汚れがこもりやすく、あせもを引き起こす原因となっています。
肌の表面積は大人と子ども、赤ちゃんでは大きく異なるのに、汗が出る汗線の数は、大人も赤ちゃんも同じ200万個です。体の小さい赤ちゃんに対して、汗腺の数や汗腺から分泌される汗の量が大人と同程度なので、赤ちゃんの身体中に汗がたまりやすく、あせもになりやすいのです。
また、赤ちゃんはよだれを飲み込むことができないため、常によだれが垂れています。顔周辺の肌も乾燥しがちでデリケートなので、汗やよだれなどの汚れが肌についたままだとあせもを引き起こします。
あせもには種類があり、あせもの種類によって症状や治療も変わってきます。
白または透明な発疹ができ、かゆみは伴わない場合がほとんどです。
水晶様汗疹は、病院に行かなくても正しいホームケアで治すことができます。
かゆみを伴う赤い発疹ができます。紅色汗疹は、激しいかゆみや、汗が沁みる場合もあるため、赤ちゃんの機嫌が悪くなったり、泣くこともあります。
紅色汗疹は、病院でしっかりと治療する必要があります。
赤ちゃんならではの、ふっくらして肉付きのよい腕や足ってかわいいですよね。一方、赤ちゃんの関節やしわが多い部分は、あせもになりやすく注意が必要です。
頭や後頭部は、汗で濡れた髪の毛が頭皮に張り付いてあせもができやすい部位です。
髪の毛は皮脂に絡みやすく、頭にできたあせもが蒸れたり、髪の毛であせもが隠れて外からはわかりにくく治療が遅れたりして、頭部のあせもは悪化しやすく注意が必要です。
赤ちゃんの首回りには深いしわが多く、汗が乾きにくいため、あせもができがちです。
赤ちゃんは、直立の体勢がほとんどなく、起きている時間でも、はいはいや座った体勢で日中を過ごしているので、ひじやひざの内側に汗がこもりやすいです。
腕や足の内側などに汗がついたままになっていないか、腕や足を掻くしぐさをしないか、よく様子を見ましょう。
赤ちゃんのお尻や腰回りはオムツに覆われて蒸れやすくなっています。またオムツのなかも、おしっこやうんちで細菌が繁殖しやすく、あせもができることが多い部位です。
お尻や腰回りにあせもができやすいのは、寝ている時間が長いというのも理由のひとつでしょう。同じ理由で背中にもあせもができがちです。寝起き直後には、オムツ交換だけでなく、背中の汗もふき取ってあげましょう。
あせもにならないように家庭でできるケア方法や予防対策をご紹介します。
あせもの予防対策には、汗を放置しないことが重要です。汗をかいたら、濡れたタオルやガーゼなどでこまめにふき取るようにしましょう。
タオルで汗をふきとるときには、ゴシゴシふくのではなく、やさしく押さえるようにふくと赤ちゃんも気持ちよいかもしれません。
汗をたくさんかいたときには、シャワーで汗を洗い流すとスッキリしますよ。
あせものときにナイロンやポリエステル素材の衣類は、汗が蒸発しづらくおすすめできません。あせもの対策には、吸収性や通気性に優れたコットンや麻素材の洋服を選ぶようにするとよいでしょう。
化学繊維の衣類であれば、吸収速乾のインナーなどを試してみてはいかがでしょうか。
オムツに覆われた赤ちゃんのお尻や腰回りはあせもができやすい上に、おしっこやうんちで細菌が繁殖しやすく心配ですよね。こまめなオムツ交換と、オムツ交換時にしっかり排泄物のふき取りを行うことでお尻を清潔に保ちましょう。
赤ちゃんの体温は大人よりも高く、自分で体温調節をすることができません。大人が赤ちゃんの様子を観察し、エアコンなどで部屋の空調を調節してあげることが大切です。
あせもを掻きむしると、皮膚に細菌が入り込んで炎症を起こす「とびひ」や「あせものより」などの感染症の原因になります。かゆみが我慢できない様子のときには、患部を濡れたタオルや、保冷剤を包んだタオルで冷やしてかゆみを鎮めるとよいかもしれません。
また赤ちゃんが掻いてしまったときに皮膚を傷つけないように、赤ちゃんの爪を短く切っておきましょう。
かゆみを伴う紅色汗疹の場合は、医師の診断できちんと治療してもらう必要があります。あせもでは、患部を保護する保湿剤や亜鉛化軟膏、かゆみを抑えるステロイド剤などが処方されるでしょう。
また紅色汗疹には化膿させないように抗菌剤が処方されることもあります。
ステロイド剤の強さにはレベルがあり、ママやパパが不安を感じる場合は、医師に処方の理由をよく確認しましょう。回数や容量、いつまで使用するか、など医師の指示に従いましょう。
ベビーパウダーや市販薬は、原料によっては症状を悪化させる場合もあるため、使用前に医師に相談しましょう。
赤ちゃんの保湿剤として知られている、ワセリンなどは汗腺をふさいでしまうため汗疹には適さない場合があります。市販品にはワセリンが配合された物もあるので注意が必要です。
あせもの原因は、汗が出る汗腺の入口をホコリや皮脂でふさいでしまうことです。あせものなかでもかゆみを伴う症状の紅色汗疹は、病院を受診し、しっかり治療しないと、とびひやあせものよりなど悪化してしまう可能性があります。
1日の大半を仰向けや座った体勢で過ごす赤ちゃんは、首や腕、足の内側に汗がたまります。赤ちゃんは首や関節にしわが多く、汗やホコリがこもりやすいものです。後頭部も髪の毛でおおわれていて、後頭部を下にした体勢を取ることが多いため、あせもになりやすい部分です。
ママやパパは普段から赤ちゃんのお肌の様子をチェックして、あせもにならないように日常的に予防対策をとることが大切です。
桐谷麻美子(まみこ皮ふ科クリニック)
まみこ皮ふ科クリニック院長。平成5年宮崎医科大(現宮崎大学医学部)卒。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
患者様の皮膚の悩みが改善できるよう、向き合いながら、その方にあった最善の治療を行っている。地元で安心できる、かかりつけ皮膚科医を目指し、あたたかい診察を行なっている。
2018年08月05日
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