子どもの「好き」を応援する脱学力・脱学歴の学び【探究学舎 宝槻泰伸①】

子どもの「好き」を応援する脱学力・脱学歴の学び【探究学舎 宝槻泰伸①】

子どもの教育は、親にとって最も関心が高いテーマです。今回お届けする「KIDSNA TALK」では、子どもの探究心に火をつける興味開発型教育で話題の探究学舎代表 宝槻 泰伸(ほうつき やすのぶ)さんに3回にわたってお話を伺いました。第1回目は、教室で行われている「学びの特徴」と「親の関わり」についてです。

KIDSNA TALK
 
 

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加藤
宝槻泰伸さんは面白い経歴をお持ちの方だと伺いましたが…。
宝槻 泰伸さん
僕は、公立高校に1年だけ通いましたが退学をし、その後大検資格をとって京都大学に進学しました。

二人の弟は最初から中卒で、大検をとって京都大学へ。だから巷では「大検三兄弟」と呼ばれています。三兄弟はブラザーの兄弟と京大をかけています。だじゃれです。(笑)
 
探究学舎 代表 宝槻泰伸氏
宝槻 泰伸さん
そして、わが家の教育というのは、とてもユニークでした。一言でいうと子どものときから学問をやっていました。

教科書を使った勉強も受験で必要だったのでやりましたが、それ以上に経済学や社会学、工学の本をたくさん読みました。また、NHKスペシャルなど大人が見て面白い教養番組を子どもの頃から結構見てきましたし、映画やマンガもたくさん見ました。
 
加藤
探究学舎は子どもの興味開発型ということで、普通の塾とは違うそうですね。

宝槻 泰伸さん
ひとことでいうと通常の学びは“ルールが決まっていたり、手順が決まっていたりという印象で四角い“。僕の提供している学びは“丸い”、やわらかいです。

教室でやっている学びは、公園などで遊んでいるように思いますが、知識を紐解いています。だから子どもは喜びます。
 
 
加藤
四角い学びと丸い学びにどのような違いがあるのでしょう。
宝槻 泰伸さん
四角い学びとは、知識や技能以上に重要とされる「言われた通りにやる力」です。
 
※写真はイメージ(iStock.com/vm)
宝槻 泰伸さん
20世紀前半は、軍隊が主役の時代であり人々にとって身に着けるべき能力は言われた通りにやる力であり、「まじめさ」「規律性さ」「規範意識」が大事でした。

そして、20世紀後半は高度成長期の時代です。もちろん、知識やクリエイティビティも必要でしたが、大半の仕事は工場労働だったんです。マニュアルがあって、上司がいて部下がいて…という世界観です。

だから中身よりも、中身に向かって四角く人間が整っていくというのが重要だったんです。

マニュアルに沿ってしっかりと礼儀正しくやるために、世界全体で四角い勉強を与えてきたというのが四角い学びです。
 
宝槻 泰伸さん
それに対し、今は四角さよりも知識や技術はもちろん、クリエイティビティが必要な時代です。

だから「言われた通りに動く力」よりも「自ら考えてアイデアを形にして実践する」丸い学習の方が人々に求められているのです。

特に、成熟した資本主義ではただ楽しいだけでなく、本当にこれが将来に必要な学習体験だと思うからこそ、私たちも丸い学習を提供し、学ばせる親も支持してくれているのだと思います。
 
加藤
ただ、親が四角く育てられているから丸い教育を受けさせたいと思ってもなかなかその考えを変えていくのは難しい気がします。どのようにしていけばいいのでしょうか。
宝槻 泰伸さん
なかなかむずかしいと思います。でも、僕の授業を見学にきてくれた親は四角い自分に丸い杭をうつ経験になるとは思います。

でも、劇的な方法はなかなか万人に受け入れられるものではないです。だんだんと自ら変わっていくというのが、安心な方法だと思います。
加藤
では、どうやればいいのでしょうか。
宝槻 泰伸さん
それは、四角い価値観をちょっとずつ手放すことです。

これは簡単にいうと「宿題やった?」「早くやりなさい!」「いつまで動画を見てるの?」「すぐにやめなさい!」などと言うことを辞めることです。
 
宝槻 泰伸さん
本当はいいたくないですよね。でも言っちゃうでしょう?
加藤
言っちゃいます。
宝槻 泰伸さん
それはなぜかというと、不安だからです。子どもがゲームとかをずっとやっていて伸びきっているのを放置しておくことが不安なんです。だから四角くしなきゃと思うんです。

でも、本当はどうなってほしいかというと「子どもの夢中な姿を見たいんです」

でもそれは動画を見たり、ゲームやマンガじゃなくて、スポーツや音楽、昆虫採集などの自然観察や実験などで見たいんです。
 
※写真はイメージ(iStock.com/wonry)
宝槻 泰伸さん
賢くなりそうだし、 クリエイティブなことをやっているようにしたい。
だから、そういう姿を丸い姿としましょう。丸い姿を見つつ、四角い私をちょっとずつ手放すという方法を「探究学舎」は実践しています。

そうやって変わっていく保護者の方がとても多いです
 
加藤
具体例としてお話しいただける保護者の方のお話を教えていただけますか?
宝槻 泰伸さん
6年前に探究学舎を訪ねてきた母娘の話ですが、当時娘さんは中学1年生で不登校でいつも喧嘩が絶えなかったんです。

そのときお母さんは娘さんを四角くしなきゃと思っていたんですね。でも、娘さんは殻に閉じこもって意地を張っている状況。関係がどうしようもない状態で説明会にきたんです。

そして、「先生に相談があります」と言って、おかあさんがボロボロ泣き始めたんです。

でも僕が、「なんで学校に行かなきゃいけないと思っているんですか?」と言ったときにおかあさんが「えっ」と。

「学校に行かなきゃいけない」って思っていたときに、「学校に行かなきゃいけないのはなぜ?」と尋ねられたことにびっくりしたようでした。そうして、私と話をするうちに自分の固定観念に気付いたんです。

その後、娘さんは探究学舎で友達をつくり、コミュニケーションを広げ、人間関係も構築していきました。今お母さんは探究学舎の社員になり、娘さんは大学生になってアルバイトをうちでやっています。
 
宝槻 泰伸さん
そして、今も母娘の関係は良好で、子どもたちが好きなことをすればいいんだと応援しています。そして何百人、何千人の探究学舎の子どもたちにも愛情を注いでくれています。
加藤
すごいですね。
子どもの「好き」を育む第一歩は、まず親が固定観念を捨てること。そして子どもの探究心を育むためにはまず、親が四角から丸くならないといけないことを痛感しました。
次回のKIDSNA TALKでは、探究学舎さんで行われている「魔法の学び」について伺います。更新は、5/11(水)予定です。お楽しみに!

2022年05月04日

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