子育て×脳科学②「遺伝・生まれつき」は ほぼ関係ない!【てぃ先生×瀧 靖之教授】

子育て×脳科学②「遺伝・生まれつき」は ほぼ関係ない!【てぃ先生×瀧 靖之教授】

子育てや教育テーマをお届けする動画記事コンテンツKIDSNA TALK。第5弾は、現役保育士のてぃ先生と脳科学者である瀧 靖之教授、KIDSNA編集長・加藤による対談が実現!今回は、誰もが気になる「運動神経や芸術的才能と遺伝の関係」について、お話いただきました。

KIDSNA TALK
220209

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すごい人の「遺伝・生まれつき」は ほぼ関係ない
加藤
今回は、「遺伝と脳の発達」について伺いたいと思います。まず、「運動神経」は遺伝ですか?それとも「脳と体の発達」によって変わっていくものですか?
瀧教授
両方というのが正しいと思います。私たちの身体はすべて、「遺伝要因」「生活習慣」という先天的要因と後天的要因の作用で発達していきます。

但し、大事なことは「遺伝は変えられない」けれど、後天的な「生活習慣」は変えることができます。だから「遺伝だから」ということはあまり考えなくていいと思います。

ただ、私たちは親しみがあるものに対して、ハードルを低く受け入れる傾向があるんです。だから、親がアスリートで常に運動している姿を見ている子どもは、必然的に運動を積極的にやるようになります。結果、運動神経がいいということにつながります。
加藤
自分が好きで努力をすれば、スポーツ選手にもなれるということですね。
瀧教授
オリンピック選手やアスリートの方に対し、「生まれ持ったもの」「別格な才能」という考えそのものが大きな間違いです。実際、彼らの見える結果の裏にある大変な努力を私たちは見ていません。

私たちが意識しなくてはいけないのは、どんなにすごい人でも「遺伝」「生まれつき」といった人はほとんどいないということです。

結局は、「努力」です。その努力をいかに楽しく続けられるかが重要です。
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加藤
そう思うと希望が持てますよね。今は子どもが伸びていなかったとしても、急激に伸びる可能性もあるから応援できます。
てぃ先生
レベルによっての例外はありますか?例えば、「金メダルを取りたい」っていうレベルは、努力だけではどうにもならないこともあるのではないかな、と思うのです。
瀧教授
もちろん体格は遺伝的要素が強いです。だから、どうしても体格に左右されるスポーツだとあるかもしれませんね。
それでも外国人選手に比べると身長差があるバスケットボールの田臥 勇太選手のように努力で打ち勝てることもあると思います。
加藤
体格も必要ですが、「どこを強化するか」ということも重要ですね。
瀧教授
また、上を目指せるアスリートの傾向として、いま選手としてプレーする競技だけをずっとやってきた、という人は実は少ないです。サッカー選手になろうと思ったときにサッカーだけでなく、陸上や野球などのスポーツだけでなく、芸術なども色々やらせた方がもっと伸びると言われています。
てぃ先生
そう考えると小中学生のしくみって間違っているかもしれないですね。だって、サッカーのクラブに行ったらサッカーで野球はできないじゃないですか。週3サッカー、週2野球とかいいですよね。
瀧教授
なぜ色々なことを行うことが良いかというと、案外、体の使い方が似ていたりするからです。また、勉強も多面的に学ぶ方が実は、結果につながると言われています。
てぃ先生
確かに「あのアスリーとに意外な特技が!」とかってテレビなどでやっていたりしますよね。しかもその特技がすごくレベルが高かったりしますよね。(笑)
秀でた才能は遺伝ではなく「努力」の成果
瀧教授
「一芸に秀でる人が多芸に秀でる」っていう言葉がありますが、あれは神様が与えた天性の才能ではなくて、一途な興味や好奇心だと思うんです。つまり、それは神様の結果ではなく、努力の結果です。
てぃ先生
「何かに優勝したい」と目的があったときに瀧先生は、先天的な「才能(遺伝)」と後天的な「努力」の比率は割合ではどのくらいだと思っていますか。
てぃ先生と瀧教授
瀧教授
私は「才能」は0.5%で「努力」が99.5%だと思います。「努力」が重要だと思っています。努力をすれば人というのはかなりいろんなことができるようになります。
てぃ先生
なんか諦めていたけどがんばろうかな。
瀧先生
またイヤイヤやることに意味がなく、興味のあることを突き詰めてやるということが重要です。それには「好奇心」が大事です。スポーツも勉強も芸術もすべての力は好奇心から始まります。
加藤
保護者としては、好奇心を育てるためにも多くの機会を与えることが大事ですね。
瀧教授
多くの機会を与えてあげることも大切ですが、それよりももっと大事なことは、「大人も好奇心を持つこと」です。
てぃ先生
耳が痛いです。大人は子どもたちに対し、「やりなさい」と言っても自分はやらないということ、ありますものね。
瀧教授
いや、それが普通です。大人は忙しいから、そうならざるを得ないですよ。だからすき間時間でちょっと読書やスポーツ、楽器演奏というように、子どもとの時間もちょっとを積み重ねていくこと子育てが大切です。

それならできると思うんです。その積み重ねで十分だと思います。
不得手を得意に変える「好奇心」
加藤
スポーツの中でも「チームと個人」「道具を使う、使わない」など、脳の発達で適正はありますか?
てぃ先生
先天的な「才能(遺伝)」にも関係ありますか?
瀧教授
脳には可塑性があり、変化に対応しますので、コミュニケーションスキルが人よりも低いからといって、チームスポーツができないわけではありません。

また、走るのが苦手だからといってサッカーができないわけではありません。結局は努力に勝るものはありません。大事なことは、苦手なことよりも得意なことを突き詰めさせることです。

そして子どもたちは自分で選択ができないので、多くを経験させる必要はありませんが、色々なことを少しずつ体験させてあげる機会を与えるといいと思います。
てぃ先生と瀧教授02
てぃ先生
スポーツの中にも、直接ボールを持つものからバットやラケットなど体の延長線上に道具を持って行うスポーツがあります。私は、苦手とまでは言わないのですが、後者の道具を使ってのスポーツがあまり得意ではないのですが、脳科学的な観点での関係はありますか?
瀧教授
純粋に「慣れ」だと思います。私は逆にずっとスキーをやっていたし、自分の体を拡張するスポーツが得意です。どれだけそのことに時間をかけていたかということだと思います。

てぃ先生も、結果的に得意なスポーツの方を長くやっていたということだと思います。得意なスポーツになるかならないかは、人生の中でそこに時間をかけていたか、いないかの違いだと思います。多少の才能はあると思いますが、「努力する時間が短いか、長いかの違い」です。
てぃ先生
確かにできなかったことに対して、努力することなく「できなくてもいいや」って思っていました。笑
瀧教授
私はスポーツが好きなのですが、実は泳げないんです。言い訳ではないですが、私の子どものころには北海道の小学校にはプールがありませんでした。だから息継ぎのノウハウも皆無です。機会がなかったので…。言い訳ですね。苦笑
加藤
機会を提供することが、とても大事なんですね。
てぃ先生
そして前提として子どもがいろんな興味を持てるようにしてあげることも大切ですね。
瀧教授
だから「好奇心を伸ばすこと」が重要です。そのためには保護者もいろんなことを楽しくやる、というのが大切です。そして、保護者も「自分はダメ」と思わず、脳の可塑性の観点からも今日から少しずつ行えばいいのです。いかに楽しくやるかが大切です。
てぃ先生
「楽しく興味を持つ」というのは子どもだけでなく、大人も同じですね。そしてアウトプットすることも重要ですね。
瀧教授
うまい下手ではなく、アウトプットすることで多くの人や社会とつながります。そうするともっと楽しく、スキルもあがり、世界は広がり、もっと好きになっていきます。
てぃ先生
習い事が終わったあとに「今日も楽しかったね」で終わるのではなく、「今日はどんなことしたの?」と振り返ることも大切だと言いますものね。
瀧教授
私たちは「予定は立てるけど振り返りはしない傾向」があります。だから三日坊主になる。笑 
加藤
確かに、子どもには「今日はどうだった」と振り返りをするのに、自分のことは振り返らないですね。
瀧教授
結構、それが普通です。苦笑
てぃ先生
振り返り、ということで言うと最近、習慣付いたことがあります。食事などの写真をスマートフォンで撮りますが、見返すことってほとんどないと思いますが、寝る前に見返すようにしているんです。ほんとは寝る前にスマートフォンを見るのはよくないと思いますが…見直すことで自分の行動を整理できて夜寝るときと朝起きたときの充実感が違うんです。
瀧教授
いい習慣ですね。
てぃ先生
だから「今日もバタバタ過ごして何をやったかわからないな」という終わり方ではなくなるので、ちゃんと目で見るのは重要だと思います。
瀧教授
私たちは「大人になると勉強も時間がなくてできない」とよく言いますが、よく思い返して考えてみると結構、すき間の時間があるんですよね。

だから、日々の振り返りを行うことでこの時間が結構有効に使えるのではないかと、考えることができるので「振り返りの時間」を持つことは良いことづくめかもしませんね。私もさっそくやってみたいと思います。
加藤
写真だと入力するなどの手間がいらないのでいいですね。振り返りは本当に大事ですね。
生まれた瞬間 すべての人が「脳に情報はない」
加藤
芸術的才能はある意味、「センス」「感性」といった運動とは、ちょっと違うように思います。この分野も後天的な練習によって培われるものでしょうか。
てぃ先生
私もそのことにすごく興味があります。運動は、確かに後天的な練習の成果が大きいのかな、と思うのですが、音楽とか芸術。

例えば「絵を書く」「彫刻を施す」などはアイディアやセンスの部分が大きいのではないか、と思うのです。技法を学んだところで、発想は養われるものなのでしょうか。
瀧教授
結論を言ってしまうと面白くないのですが、「先天的要因もあるけれど、後天的要因が非常に大きい」です。言ってしまうと結局、芸術も運動も勉強も趣味もすべて同じです。

私たちは生まれたときには脳には何も情報がないんです。そこからいろんなものを獲得していくんですから、「後天的要因」が大きいです。

但し、個性として「より何かに興味を持つ子どもたち」と「何かに特別にコミットする子どもたち」がいるので、先天的な要因もあるとはいえます。例えば、「音楽を一度聞いただけですぐに再現できる」とか「一見しただけで同じことを描ける」などそういうお子さんもいます。

ですが、圧倒的に「努力が大きい」と思います。親しみのある楽しい努力の結果だと思います。
てぃ先生
確か「絶対音感も作れる」と聞きますものね。
瀧教授
子どもの頃から楽器をやっていればかなり絶対音感はつくと思います。但し、3歳から始めるのと8歳から始めるのとでは異なり、遅く始めると比較的、「相対音感」の方になると言われています。
不器用さが「秀でた才能」に変わる瞬間
てぃ先生と瀧教授03
てぃ先生
ここまでいくと瀧先生にズバリ聞きたいのですが…「これは才能です」というのはあるんですか?
瀧教授
いや、ほとんどないと思います。

明らかに体格が必要なものは、多少、先天的な要因があるとは思います。ですが、多くの場合「努力」は後天的要因の結果だと思います。「努力」は、別の言い方をすると「不器用さ」だったりします。
加藤
「不器用さ」ですか?
瀧教授
なぜかというと、不器用な人は器用ではないからいろんなことができないんです。だから、「自分は才能ないから…」と人よりも長く、一生懸命やるんです。それが結果的にその分野で人よりも秀でているという結果になっている気がします。

だから、「器用である」ということが絶対的にいいというわけではないと思います。「苦手だから少し頑張ってやってみよう」と思ったことが、意外に好きになって、結果伸びたりします。

だから私が少なくとも生きていた中で、「これは才能」というのはほとんどないですね。
てぃ先生
つまり、身体的な要因が関わってくる競技は、先天的な要因もあるかもしれないけれど、それ以外はすべて後天的な要因ということなんですね。
加藤
救われますね。「私なんて何もできないからうちの子も…」と思ってしまう方は、結構多いと思いますが、あまり関係ないということですものね。
てぃ先生
たまに、「両親ともに運動が苦手だからうちの子もダメなんです」っていうご家庭がありますが、そう言ってしまうことでお子さんも、より苦手になっちゃうのでしょうね。
瀧教授
そうです。「思い込みもありますし、機会も与えられない」ことにつながると思います。
てぃ先生
できないことで、機会が減ってしまうのはとてももったいないことですね。
瀧教授
私たちには、ひとりひとり無限の可能性があります。私たちはその可能性に対して、「これはどうせできない」と自分で壁を作っているんです。だから、それをいかに取っ払ってあげるかが重要なんです。

だから、子どもに向かって「あなたはどうせこうだから」「あなたはこれが苦手だから」ということを決して言ってはいけないんです。やればできるんです。
逆に「努力」と「不器用さ」が武器になるんです。
加藤
なるほど、こうお話を伺うと今までなんとなく諦めていた、機会を作らなかったことなどもやってみよう!という気持ちになりますね。
次回のKIDSNATALKは2/16更新予定!お楽しみに!

2022年02月09日

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