育児の困ったシーンで大活躍!辻直美先生の「子どもの心をまぁるくする」声かけ法

育児の困ったシーンで大活躍!辻直美先生の「子どもの心をまぁるくする」声かけ法

ママが子どもを「まぁるい抱っこ」することで、幸せな気持ちになれる辻直美先生。第3回目はママたちがよく「こんなときに困る」というシーン別に、多くのママたちの育児相談に乗ってきた経験をふまえ、子どもたちにどんな声かけをしたらよいか、先生ならではのアドバイスをご紹介します。

子どもの立場になって考える

わかってはいるけれど、ママは忙しかったり、焦っているときには、「なんで思い通りに動いてくれないの……」と思うことってありますよね。

でも、子どもも大人と同じ1人の人間で気持ちがきちんとあります。大人の都合でなく、子どもの立場に立って、彼らの気持ちや望みについて考えてみてください。

そうはいっても、時間に追われているときに子どもが泣き出したり、泣き止まないとどうしたら良いか分からなくなってしまいますよね。

そこで、今回は日常生活での困ったシーンやママが焦りがちになるシーン別に、子どもとの上手な向き合い方について辻先生に教えてもらいました。


Q1:保育園に送っていく途中に泣いてしまい、なかなか離れてくれない

保育園に行くとき、「行きたくない」と泣いてしまって先生に引き渡すのに時間がかかり、ママも毎朝出勤するのがとても辛いです……。


A1:10カウントで親子で違うキャラクターに

「大好きなママから離れたくないのは、子どもとして当然の気持ちです。でも、『じゃあ、仕事休んでずっといよう』というわけにはいかないですよね。そんなとき、私は【子どもの好きなキャラクターに変身させる方法】で乗り切っていました。

たとえば『保育園に着いたら10数えるうちに〇〇ちゃん(子どもの名前)は●●のキャラクターになって頑張って!ママもお仕事ママに変身するから!』という声かけをします。登園前のこのやりとりで子どもは、『よし今日も頑張ろう!』と気持ちを切り替えて準備をしやすくなるようです。

このとき10数えるのを子どもにやらせてあげてください。なかにはゆっくり数える子もいますが、ママは焦る気持ちを抑えて数え終わるのを待つのがポイント。『遅刻しそう……』と思ったら、家を出る時間を早めるなどして調整をしてください。

さらに、寂しがる子どもには、安心できるようにママの匂いや存在を感じることができるハンカチなどを持たせるのも方法の1つです」


Q2:忙しいときに限って「ママー、ママー」と呼ぶ

忙しいときに限って「かまって」が勃発。きちんと向き合わず家事をしながら気のない返事を続けていると、子どもが怒りだして何を言っても聞き入れてくれません。


A2:離れている間、子どもは不安なのです

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「子どもときちんと向き合う時間がどのくらいあるかがとても大切です」と辻先生

「短くても良いから、子どもときちんと向き合って話す時間を持つことが大事です。私は、幼稚園から帰ってきたら、2人の子どもをひざの上に乗せて、今日は幼稚園でどんなことをしたのかを聞いたり、話す時間を毎日15分必ず作っていました。

このとき会話の内容が重要。『幼稚園、楽しかった?』『お弁当おいしかった?』という質問だと、子どもが『うん』や「おいしかった』と一言で終わってしまうケースが多く見受けられます。『幼稚園で今日ダンスしたの?ママにも教えてほしいなぁ~❤』など、具体的にやっていることや会話が広がるような声かけを心がけると、子どもの『かまって』が減るはずです」


Q3:子どもが夜、なかなか寝なくて困っています

「子どもが寝たら、家事や仕事の続きをしよう」と思って、早く子どもを寝かせようとしているのになかなか寝てくれません。


A3:きちんと向き合っていないと察すると寝ません

「たぶん『今日は焦って寝かせなくても大丈夫』と、ママが思っているときには、子どもに全面に向きあっていますよね。そんなとき子どもは、すべてをまるっと受け止めてもらって幸せだからすぐに寝るのです。

なかなか寝なくて困っているとき、ママは覚悟を決めて子どもと思いっきりかかわると、案外ころっと眠り、ママの自由時間も長くとれるかもしれませんよ」。


Q4:上の娘が保育園の後、毎日コンビニで買い物をしたがって……

買った物を大切にするわけでもなく、下の子も連れて買い物に行くがの大変なので、「また今度行こう!」と断ると、泣いてしまい、結局行くことになります……。


A4:子どもの本当の望みを聞いてください

「コンビニに行きたがる娘さんの本当の望みに耳を傾ける姿勢が大切です。

ひざにのせたり、まぁるい抱っこをしながら少しの時間でも良いので、娘さんとじっくり向き合う時間をつくってあげてください。

『買い物に行きたい』という言葉の本心には、『ママといっしょにいたい』や『ママにもっと自分を見てほしい』という気持ちが隠れているのかもしれませんよ」。

「困った」は、子どもと本当に向き合うチャンス

よくある育児の困ったシーンでの対応方法、いかがでしたか。育児の困ったシーンに共通しているのは、子どもにも必ず「理由」があるという点です。

離れてくれない、「かまって~」と寄ってくるなど、事柄だけを見るのではなく、ママのことが大好きな子どもの本当の心の声をしっかり聞いてみてください。

逆に考えると、ママが「子育てで困ったな」と感じていることがあるときは、子どもへの接し方、コミュニケーション方法を変えるチャンス!

ぜひこの機会を活かしてより楽しい親子関係を築いてくださいね。


監修:辻直美(正看護師/育母道代表)

Profile

辻直美

辻直美

吹田市市民病院に勤務後、上海での医療提携活動に従事。帰国後、聖路加国際病院救命救急センターに勤務し、その際、地下鉄サリン事件の救急救命にあたり、その後国際災害レスキューナースとして東日本大震災や熊本大地震などの被災地での救命活動、被災者の心のケアも行う。また、自身の育児と同時に同居する舅・姑の介護をすることになり、その経験からベビーの抱っこの仕方、親のあり方、災害時の対応など、育児に関するさまざまな講演会や講座、スリングの商品化などの活動を精力的に行っている。近著に『3秒で泣き止み、3分で寝る まぁるい抱っこ』(講談社)がある。

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