【第1回】お受験する・しない。「小学校の選び方」は中学受験に影響するのか

【第1回】お受験する・しない。「小学校の選び方」は中学受験に影響するのか

幼児期のお子さんのご家庭のお父さん、お母さんのなかには「お受験」に関心がある方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、40年中学受験に関わる西村則康先生に、小学校を受験する理由や「越境」について考えていただきました。

子どもの「お受験」とその後

「お受験」つまり私立や国立の小学校受験。

長年、子どもの教育に携わってきた私自身は、小学校受験を強く奨めるわけでも否定する立場でもありません。でも、この「お受験」という言葉が、個人的にあまり好きではありません。

「何もそこまでさせなくても」と揶揄するような気持ちが込められているように思うからです。

その「お受験」と中学受験の関係について、今回は考えてみたいと思います。

そもそも小学校受験させる理由は?

小学校受験を考えるご家庭は、そもそもお子さんの教育に熱心、もっと言ってしまえば我が子への興味、関心が高いのだと思います。

子どものお受験を考える



もちろん、我が子とはいえ親とは別人格、親がよいと思うことが子どもにとってすべてよいというわけではありません。

しかし自分の環境を自分で整えられない子どものうちは、親が代わってよい環境を用意してあげたいというのが、お子さんに小学校受験をさせるご家庭の考え方でしょう。


小学校受験組は多い

では、中学受験を専門に40年間指導を続けてきた私の感覚として、中学受験する子どもたちのなかではやはり「小学校受験組」が多かった、というのが正直な印象です。

特にこの十数年、家庭教師という形で中学受験に関わるようになってからは、その傾向が強いように思います。

受験塾にお子さんを通わせながら家庭教師までつけるわけですから、お子さんの教育に熱心でないわけがありませんね。

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なぜ「お受験」させるのか

名門大学の付属校

ではそもそも、お子さんに小学校受験をさせる理由は何でしょうか。

1つは、名門大学の付属校に我が子を通わせ、その学校の教育を存分に享受してほしい、というもの。

親御さん自身がその学校の出身者で、我が子にも同じ教育を受けさせてあげたい、という場合も多いようです。 この場合、特別な例を除けば中学受験はさせないでしょう。


「名門」小学校から外部の中学校を受験

同じように「名門」と呼ばれる小学校でも、付属の中高や大学に進学するのはほんの一握りで、大部分のお子さんが外部の私立、国立中を受験するという学校もあります。

中学受験を考える



このような学校にお子さんを通わせる理由として、その学校の教育理念や特色ある指導内容に賛同して、というのはもちろんなのですが、その手前で



「将来中学受験をさせることを考えた場合、地元の公立小学校の教育環境に不安がある」


というケースがあります。


小学校を「越境」する理由

公立小学校での「越境」(行政で指定された校区外の学校に通わせること)の理由も、上記と同じであることが多いようです。

私が以前担当したお子さんのお母さんは「地域の学校の学校公開に行ったとき、1年生のクラスで授業が成り立っていなかったんです。それを見て越境を決めました」と仰っていました。

「お受験」の考え方は家庭によって異なる

今回は小学校受験をする理由や、それぞれのご家庭の考え方についてお届けしました。

次回の記事では、子どもの将来に役立つ小学校の選び方や、私立の小学校から得られることを考えてみたいと思います。


執筆:西村則康

Profile

西村則康

西村則康

教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。

2017年10月30日

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