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伸ばす子育て②上手に子どもの力を伸ばす親は、わが子をよく観察している
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教育研究家/家庭教師集団「名門指導会」代表
教育研究家/家庭教師集団「名門指導会」代表
教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。
前回の記事では、中学受験を通してたくさんの子どもを見てきた西村先生に、未就学児の集中力を育むために親ができることについて考えていただきました。今回は、集中力や好奇心を伸ばすためにはどうしたらよいのかについての記事をお届けします。
子どもの集中力を育むには
前回の記事では、幼少期に何かに没頭する時間がお子さんの集中力を育むということをお伝えしました。
今回は、集中力やその他の力を伸ばすために、親ができることについて考えてみます。
子どもの「聞く力」
学校や塾の授業を身につけられるかどうかは「聞く力」にかかっています。
いくら自分の好きなことには集中できても、学校や塾で先生の話を聞くことができていなければ、学力は伸びていきません。 ところが意外に「聞く」ということがちゃんとできない子は多いのです。
たとえば、先生が四則混合計算(たす・ひく・かける・わるが混じった計算問題)の説明をしたとします。
「かけ算・わり算はたし算・引き算よりも先にやるんだよ」
「たとえばこの計算ではね……」(黒板に式を書き、計算のしかたを説明する)
上の先生の2行の説明のうち、1行目を聞き逃したらどうでしょう?
先生や講師というのは、結論から話し始めることが多いのです。 その結論ありきで、計算のしかたや解き方が決まってしまうことが多いからです。
その最初の「結論」が聞けていなければ、授業の理解は深まりません。
では、その「聞く力」を子どもたちはどのように養うのか。これはもう、親御さんとの会話がその最大の機会だということは言うまでもありません。
親子の会話で「聞く力」を伸ばす
聞く力を育てる最大の機会はお母さん、お父さんとの会話ですが、お子さんが小さい頃なら読み聞かせが絶好の機会です。
絵本などを1ページ読んであげたら、次のページに移るときに質問してあげます。
「主人公は、どんな願いごとをしたのかな?」
「○○ちゃんはどう思った?」
質問はなんでもよいのです。
お母さんに質問されるとお子さんは物語を反芻し、さらに内容に興味を持ってお母さんの読み聞かせを聞くでしょう。こうして、お子さんは聞く力を育んでいきます。
今より少し大きくなると、マンガなどに夢中になるお子さんもいます。
「いつまでマンガ読んでるの!」 きっとそう言いたくなると思います。
でも、上手なお母さんはこんなやりとりをします。
「そのマンガのどんなところがおもしろいの?お母さんにも教えてよ」
こうやってお子さんに内容を反芻させ、物語を頭のなかで組み立て直させているんですね。 読み聞かせのときと同じようにです。
伸びる力は伸ばしておく
子どもには、だいたい何歳くらいでこれくらいのことができるようになる、という標準的、平均的な段階があります。 それを目安に、今はこれくらいのことを与えてあげればよいかな、と考えることは間違ってはいないと私は考えています。
でも逆に、「年齢不相応」と思えるようなことに子どもが興味を持ったとしたらどうでしょう。
最近では「小学校に上がる頃までには、ひらがなは一通りマスターしましょう」と言われるようです。
では、ひらがな以外の文字〜カタカナや簡単な漢字、ABCや数字なども「なんて書いてあるのか知りたい!」とお子さんが言い出したら、どうするのがよいでしょうか。
私は、お子さんが興味を示すなら覚えさせてよいと考えています。 やはり、興味のあることには集中できるから、というのが理由の1つです。
年齢ごとに「できるようになること」というのはあくまでも目安で、多くの子どもたちの平均です。 お子さんの興味や能力が、どの分野もすべて多くのお子さんの平均の範囲内であるとは限りません。
伸びようとする力は、やや早い時期かと感じても伸ばしてあげてよいと思います。
子どもの力を伸ばす親の共通点
上手にお子さんの力を伸ばしている親御さんに共通しているのは、子どもをよく観察しているということです。
「うちの子、数字に興味があるみたい。だったらお風呂で数を数えるときに何か工夫してみようかしら」
と観察の結果を楽しんで日常生活に取り入れる、といったことをされています。
たとえばお風呂での数の数え方にも、ちょっとした工夫でさまざまなバリエーションが生まれます。
1・2・3…と1つずつ数える
10・9・8…と大きい方から小さい方に戻る
1・3・5…と1つとばし(奇数)
2・4・6…と1つとばし(偶数)
などなど。最近は、お風呂に貼る数字シートもいろいろな商品が売られていますよね。
のびのびと子育てを
年齢によって、数の理解や興味はさまざまです。
日々の成長のなかで、子どもの好奇心はどんどん広がっていくでしょう。それをじっくり観察して、無理せず、構えすぎず、お子さんの力を伸ばす子育てを実践していけたらよいですね。
執筆:西村則康
Profile
西村則康
教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。